地方公務員福祉職

今回は、地方公務員の福祉職を取り上げます。

この記事では、都道府県、政令指定都市、東京都特別区、および、一般的な市役所(町村役場も準じます)における福祉職を対象に、受験資格、試験内容、過去問、科目別出題数、どんな試験勉強が必要かなど、試験対策を一通り説明します。

※政令市は現在、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市の20市が指定されています。

(なお、地方公務員の福祉職がどんな仕事をしているか知りたい方は、地方公務員(福祉職)の仕事内容を参考になさってください)

地方公務員の福祉職とは

地方公務員の福祉職とは、地方自治体の職員のうち、福祉系の区分や職種として採用される職員を意味します。福祉職の中でも職種が分かれることがあり、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、児童指導員、児童自立支援専門員などの人材が求められます。

地方公務員の福祉職は、ケースワーカーとして勤務する職員が一般的です。その一方で、各自治体の福祉施策の運営や推進に関わり、福祉に関する行政事務や実務を担う職員もおられます。

地方公務員福祉職になるには

地方公務員の福祉職になるには、志望先に対して、自分が該当する区分・職種を選択した上で出願し、採用試験を受験して合格する必要があります。公務員試験は、試験日程が重ならない限りは、いくつ併願して受験しても構いません。

地方公務員は各自治体の採用試験であり、福祉職を目指す場合も、採用試験に合格すれば、その自治体に採用されることが確実といえます。

ただし、東京都特別区(東京23区)は、一括して合同で採用試験を行います。特別区の受験者は、第3志望まで区を選んで出願し、採用試験の合格者は、成績順と志望順に、各区の面接などを受けて、どの区に採用されるかが決定します。

地方公務員(福祉職)の区分(職種)と程度

地方公務員の場合、福祉職という形で独立した採用枠(区分)を設けている自治体は、都道府県、政令指定都市(政令市)、東京都特別区など、規模の大きな自治体や都市部の自治体が中心です。

地方公務員(福祉職)の区分

地方公務員の福祉職に該当する区分の名称は、「福祉」「社会福祉」「福祉技術」「児童福祉」「特別枠」「特別募集」など、自治体によって異なります。

自治体の中には、「福祉心理」「心理・福祉」など、福祉職と心理職を、一体的な区分として募集する自治体もあります。

また、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、児童指導員、児童福祉司、児童自立支援専門員、医療ソーシャルワーカーなど、職種別に募集する自治体もあります。

地方公務員では、自分が該当する区分や職種の名称が、自治体によって異なります。また、全ての区分・職種が、毎年募集されているわけではありません。こうした点は、志望先の公式情報を、必ずこまめに確認しましょう。

地方公務員(福祉職)の「程度」

地方公務員の福祉職は、大卒程度(「上級」「1類」など)で採用試験を実施する場合がほとんどです。「大卒程度」だからといって、大卒だけが対象とは限らず、大卒以外の方が受験できる自治体もあります。

地方公務員の福祉職では、特に大卒程度で採用された方は、現場の経験を何年も経験した方が、各自治体の福祉行政の運営に関わったり、現場で専門職としてキャリアを重ねるといった、さまざまなキャリアアップの道があります。

また、自治体によっては、短大卒程度(「中級」「2類」など)でも、福祉職を採用するところがあります。短大卒程度は、大卒程度に比べて、配属先が一定程度決まっていて、公立の社会福祉施設で、現場職員として採用する自治体が多いといえます。

公務員試験の区分や程度について

公務員試験における「程度」とは、試験内容の目安を示すものであり、受験資格とは別物です。
公務員試験の区分や程度について、詳しく知りたい方は、公務員試験の程度と区分とは?で説明していますので、参考になさってください。

地方公務員(福祉職)の受験資格

ここで、地方公務員(福祉職)の受験資格について、一般的な注意点を説明します。

実際の受験資格は、自治体によって異なります。受験者の方は、各自の志望先の受験案内や募集要項などで、必ず確認しましょう。

地方公務員(福祉職)の学歴要件、年齢制限

地方公務員(福祉職)の受験資格は、学歴を求めない自治体が多いといえます。特に福祉職では、大卒程度や短大卒程度の試験でも、それ以外の学歴の方でも受験できる自治体が多いといえます。

(一般的に公務員試験では、「程度」と受験資格は別物です。これについては、公務員試験の程度と区分とは?で説明していますので、詳しく知りたい方は、参考になさってください)

ただし、公務員試験では、受験資格に年齢制限を設けることが一般的です。福祉職の場合も、自治体によりますが、おおむね20代~30代半ばに設定する自治体が多いといえます。

その一方、近年では、児童相談所や児童福祉施設の職員を増やす動きが高まっています。このため、児童指導員という形で採用枠を設ける自治体では、受験資格を緩和し、年齢制限を40代半ばくらいまで引き上げる自治体もあります。

地方公務員(福祉職)に資格は必要か?

地方公務員(福祉職)の受験資格では、社会福祉主事任用資格、社会福祉士、精神保健福祉士、児童指導員、児童自立支援専門員など、資格の取得(見込みを含む)を求める自治体は多いといえます。

このうち、都道府県・政令指定都市の大半は、社会福祉主事任用資格があれば、受験が認められます。この資格は、社会福祉士や精神保健福祉士であれば認められますし、福祉系学科以外の方でも指定科目を履修すれば取得できます。

その一方、その他の市役所・町村役場では、大半の自治体が、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格や、実務経験を要件としています。

福祉系区分が無い・受験できない自治体では、行政事務の検討も

ご自身が志望する自治体で、福祉職という形で独立した採用枠が無い、あるいは、福祉系区分があるが、受験資格などが合わず受験できない場合、どうしてもその自治体で働きたい場合は、行政事務系の区分で受験できないか、検討する選択肢もあります。

福祉職の採用枠を設けていない自治体なら、行政事務系から福祉関係の部署に配属されることも一般的です。また、規模の小さい自治体では、筆記試験は教養試験のみ(専門試験を課さない)ということが多く、その場合は、併願もしやすいと思います。

(一般的に教養試験は、区分・職種を問わず共通の試験内容が課されるため、どの区分で受験する場合も、同じ試験勉強で対応できます)

こうした場合は、行政事務系で合格して、福祉関係の部署を希望することになります。

ただし、この場合は、あくまでも行政事務系の職員です。本人の希望が一定程度は考慮されるものも、さまざまな部署に勤務することが一般的です。このため、福祉系の仕事に配属されるとは限らないことに留意してください。

地方公務員福祉職の試験内容

地方公務員の福祉職の試験内容は、教養試験(基礎能力試験)、専門試験、面接試験(口述試験)、論文試験を1次試験と2次試験に分けて行い、2次試験に合格した方が、辞退でもしない限り、ほぼ確実に採用されるというパターンが一般的です。

なお、過去の実施例でいうと、神戸市(福祉・大卒)など、3次試験まで実施して最終合格を決める自治体も、全国的にいくつか見られます。このほか、適性検査や適性試験を課す自治体も、少なくありません。

また、地方公務員の試験ですし、福祉職であっても、集団討論、グループワーク、模擬相談、民間企業の採用試験で見られるSPIなど、そう多くはありませんが、自治体ごとに特有の試験を課す所も見られます。

福祉職の教養試験と専門試験

公務員試験では、教養試験(基礎能力試験)も専門試験も、択一式(五肢択一式)で実施されることが一般的です。ただし、福祉職の場合、東京都、東京都特別区、大阪市など、ごく一部の自治体で、専門試験が記述式という所もあります。

その一方、福祉職の場合、自治体や職種によっては、専門試験を課さず、教養試験のみという所もあります。

教養試験は、基礎能力試験とも言いますが、どの区分・職種でも、共通の試験内容が課されることが一般的な試験です。福祉職の方も、行政・一般事務系や技術系など、他の区分・職種の方と同じく、同じ試験勉強で対応できます。

専門試験は、区分や職種ごとに異なる試験です。地方公務員で福祉職の場合、社会福祉士など国家資格の取得試験に準じた内容が一般的です。

また、社会福祉士、児童指導員、児童福祉司など、採用試験を特定の職種に分けて行う自治体もあります。この場合、専門試験は、それぞれの資格や職種の取得に必要な内容に準じています。

地方公務員福祉職の勉強(択一式)

地方公務員で福祉職を目指す方の勉強ですが、ここでは、最も多くの自治体で見られる、択一式の教養試験(基礎能力試験)と専門試験を対象に説明します。

地方公務員福祉職の勉強(教養試験)

教養試験は地方公務員の場合、福祉職でも他の職種・区分でも、同じ自治体なら同じ試験内容が一般的ですし、同一日程の自治体同士でも、共通問題が幅広く見られます。このため、どの区分・職種でも、同じ勉強法で通用します。

地方公務員福祉職で、福祉系の大学・短大や社会福祉士の学習経験や資格を有する方は、教養試験に手こずる方が多いと思います(専門試験も要注意ですが)。特に知能分野(一般知能)は、単純な暗記が通用せず、コツコツしっかり勉強しましょう。

このため、福祉職の方でも、教養試験対策(大卒)を一通り知りたい方は、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。

地方公務員福祉職の勉強(専門試験)

地方公務員福祉職を目指す勉強は、専門試験なら、社会福祉士の国家試験とほぼ同等の内容です。社会福祉士の国試の参考書や過去問、問題集がそのまま使えます。

社会福祉士の方は、その資格取得により、社会福祉主事任用資格、児童自立支援専門員、児童生活指導員任用資格、児童指導員任用資格、家庭支援専門相談員などの資格が付与されます。

つまり、社会福祉士の国試の勉強が、地方公務員の福祉職で要求されることが多い資格の勉強に直結しているといえます。なお、精神保健福祉士の方や、福祉の教職課程の方も、社会福祉士と重なる科目があるため、福祉職の勉強に有利だと思います。

地方公務員福祉職の勉強には、保育士試験が有用

地方公務員の福祉職の勉強では、社会福祉士国試だけでも十分ですが、保育士試験(保育士の国家試験)の教材から取り組んでおくと、社会福祉の基礎固めや、児童福祉の対策に役立つと思います。

介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士(いわゆる三福祉士)の方が保育士試験を受験する場合、免除申請を行えば、保育士試験の「社会福祉」「子ども家庭福祉(児童家庭福祉)」「社会的養護」の3科目が受験免除になります。

三福祉士の方は、保育士試験のその他の科目についても、指定保育士養成施設で修得していれば、その科目は免除されます(全科目免除も可能です)。つまり、先ほどの3科目を中心に、福祉の根幹部分の基礎学習には、保育士試験が最適というわけです。

一般的な福祉職なら、社会福祉士国試の前に、保育士試験から勉強すると、福祉を理解するベース作りに、とても役立つと思います。とりわけ児童福祉では、保育士試験の勉強をすると、地方公務員の福祉職において、難なく解けるようになると思います。

保育士試験を地方公務員福祉職の勉強に使う場合、理想的には全科目の勉強をおすすめしますが、「子どもの食と栄養」は除外しても良いかなと思います。逆に、先ほどの三福祉士の受験免除3科目を中心に、その他の科目まで、出来るだけ幅広く勉強することをおすすめします。

大学・短大などが福祉系ではなく、社会福祉士などの学習経験が無い方で、地方公務員福祉職を勉強しようという方でも、保育士試験の勉強から始めておくと、福祉分野を全くの基礎から理解することが可能です。

福祉系の学習経験や資格を有する方でも、保育士試験は基礎固めにおすすめです。時間的な余裕が無い方も、保育士試験は社会福祉士国試よりも児童福祉が深く詳しく学べるため、そこをやっておくだけでも、公務員試験には役立つと思います。

保育士試験は、社会福祉士の国試よりも、社会福祉を広く浅く、コンパクトにまとまっています。このため、さほど時間をかけすぎることなく、市販の教材で基礎固めを行うことができます。

地方公務員福祉職の勉強=社会福祉士国試を目安に

地方公務員の福祉職なら、社会福祉士の国試の内容をクリアすることが、試験勉強の1つの目安だと思います。これをこなせば、都道府県、政令市、東京都特別区、市町村を問わず、大卒程度の地方公務員(福祉職)まで、一通り対応できると思います。

とはいえ、資格としての社会福祉士と、職業としての地方公務員福祉職は、業務内容や理解すべき事柄で重なる部分が大きい一方で、全く同一でもありません。重ならない部分も少なくありませんし、そうした部分が出題される可能性は低いといえます。

一応表向きは、地方公務員福祉職の専門試験は、社会福祉士国試の試験範囲に対応します。しかし実際には、19科目全てから出ているわけではなく、公務員という職務に関わる、福祉行政の枠組み、福祉制度と法律から、優先的に勉強すべきです。

地方公務員福祉職の勉強が、社会福祉士と同様の内容だと言っても、その全てが対象ではありません。社会福祉士の国試は19科目ですが、これを全て勉強するのは全くの非効率ですし、地方公務員福祉職と密接に関連する科目を中心に攻略すべきです。

そこで、最優先で勉強すべきは、以下の科目だと言えます。

  • 福祉行財政と福祉計画
  • 社会保障
  • 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
  • 低所得者に対する支援と生活保護制度
  • 高齢者に対する支援と介護保険制度
  • 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度

この中では、「福祉行財政と福祉計画」では福祉事務所や福祉六法、「社会保障」では年金、医療保険、労働者災害補償保険、雇用保険が頻出ですし、障害者福祉、生活保護、高齢者福祉、児童家庭福祉に該当する各科目も、絶対に勉強すべきです。

その一方、以下の各科目は、必要に応じて勉強すべき科目といえます。

  • 心理学理論と心理的支援
  • 社会理論と社会システム
  • 現代社会と福祉
  • 地域福祉の理論と方法
  • 社会調査の基礎
  • 福祉サービスの組織と経営
  • 就労支援サービス

このうち、「心理学理論と心理的支援」「社会理論と社会システム」「社会調査の基礎」はそれぞれ、地方公務員福祉職でいうところの、心理学(一般心理学)、社会学(一般社会学)、社会調査に該当します。志望先が、これらの科目を課す場合は、勉強すべきです。

社会学、心理学は、公務員試験向けの教材もあります。また、これら3科目とも、大学向けの基本書や、他の資格向けの教材でも、地方公務員福祉職に対応できます。もちろん、他に教材を使ったことが無い方は、社会福祉士国試の教材でも対応できます。

この他、「現代社会と福祉」「地域福祉の理論と方法」「福祉サービスの組織と経営」「就労支援サービス」は、公務員試験福祉職では、出題数が少ない科目ですが、採用試験まで余裕のある方は、やっておいて損のない科目だといえます。

ここまで、地方公務員福祉職の勉強は、社会福祉士国試19科目中、心理学、社会学、社会調査を考慮すると、6~9科目は必ず勉強すべきですし、残り4科目を含めても、最大で13科目は勉強することが望ましいといえます。

地方公務員福祉職の過去問

地方公務員福祉職の過去問は、択一式試験の場合、他の区分・職種と同様、公式サイトに例題として、数問程度の掲載にとどめる自治体がほとんどです。なお、論文試験や集団討論を課す自治体の中には、それらの課題も公開する所もあります。

一般的には、地方上級や比較的規模の大きな市役所ほど、過去問を数問程度でも公開する傾向がある一方、規模が小さな市役所や町村役場ほど、ほとんど公開していない傾向が見られます。

福祉職の場合も、地方公務員の過去問の公開は、解説や解答がついておらず、試験問題だけという場合がほとんどです。とはいえ、頻出分野の把握や、どの程度まで勉強すべきか、試験内容の手がかりを掴む参考材料として、しっかり解いておきましょう。

東京都と東京都特別区の過去問

地方上級福祉職の過去問でいうと、東京都1類B(福祉A)は、教養試験は択一式ですが、専門試験は記述式(2題中1題選択解答)です。また、東京都特別区1類(福祉)も、教養試験は択一式ですが、専門試験は記述式、語群選択式等(6題中4題選択解答)です。

東京都や東京都特別区では、それぞれ東京都と特別区人事委員会の公式サイトで、直近3年分の過去問を、著作権等の事情がある場合を除き、試験問題を公開しています。志望者の方は、最低でもこれは取り組んでおきましょう。

特別区の過去問の入手方法

東京都特別区の場合、飯田橋にある東京区政会館で、「特別区職員採用試験問題」の閲覧・コピーが可能です。各区役所では閲覧だけですが、東京区政会館なら、最大20年以上の過去問をコピーすることができます。

過去問のコピーは有償です。両替は行っておらず、5千円札、1万円札は使えません。また、春先(2~4月)は混雑する時期ですし、順番待ちの時もあります。20年分は相当な量ですし、お金を多めに持参し、マイバッグも用意しましょう。

特別区・福祉は、過去問20年だけでも効果的

福祉職なら、東京都特別区の専門試験の過去問は、びっくりするくらい、何度も何度も同じ分野から、似たような問題が出ていることに気づくはずです。特別区の福祉職なら、過去問20年分を勉強するだけでも、かなりの割合で点数が取れるはずです。

特別区の過去問を手に入れたら、同じ項目ごとに整理していくのも良いと思います。何度も出ている問題や、頻出項目が、すぐに分かると思います。こうした頻出項目から優先度をつけて、どんどん問題を解いていきましょう。

自治体の過去問の公開は、解説・解答がついてないことが一般的です。特別区の福祉職でも、遅くとも4~5ヶ月前には過去問20年分を入手し、社会福祉士の教材も活用しつつ、問題ごとの解答を検討し、問題を読んだら解答のポイントがスラスラ書き出せるまで、繰り返し勉強しましょう。

特別区の福祉職でも、過去問だけをやれば良いとまでは言いません。頻出項目を中心に、社会福祉士の教材も活用すべきと思います。ただし、特別区の福祉職であれば、過去問20年分を、自分で調べた解答とセットで徹底的に叩き込むだけでも、かなりの実力がつくと思います。

地方公務員福祉職の科目別出題数(専門、択一式)

地方公務員の福祉職の科目別出題数は、教養試験も専門試験も択一式で、それぞれ40問・全問解答制が一般的です。これは、地方上級でも他の市町村でも、最も幅広く見られる一般的なパターンです。

また、地方公務員では福祉職でも、同日実施の自治体どうしでは、出題科目や科目別出題数に関して、全国的に共通問題が、幅広く出題されています。

ここで、地方公務員の福祉職における、科目別出題数の最も一般的なパターンを取り上げます(択一式で40問・全問解答制の場合)。これは、最も多く見られる出題パターンですが、自治体や職種によっては、異なる所もあります(後述します)。それでも、福祉職の地方公務員試験における、各科目のひとつの目安として参考になります。

専門試験の科目別出題数は以下の通りです。

  • 社会福祉概論または社会福祉学(社会保障を含む)22~24、社会学概論または社会学6~8、心理学概論(社会心理学を含む)(「一般心理学・社会心理学」と告知する自治体もあります)6~8、社会調査3~4

なお、過去の出題例を見る限り、社会福祉概論のうち社会保障は2~5問、心理学概論のうち一般心理学は5~6問、社会心理学は2~3問出ています。

具体的な出題科目・科目別出題数、試験内容は必ず確認を

地方公務員の福祉職では、自治体や職種によっては、出題される問題数が違ったり(40問では無い)、選択解答制だったり、専門試験を課さない所もあります。また、東京都や東京都特別区など、専門試験が択一式ではなく、記述式という自治体もあります。

また、福祉職では、具体的な出題科目や科目別出題数に関しても、自治体や職種によって、異なる場合が見られます。志望先の公式情報を、必ず確認しましょう。

試験内容自体は、地方公務員の福祉職は、社会福祉士などの国家試験と重なる内容が多くを占めており、大学などでの知識を前提にすれば、過去問メインの学習で十分対応できます。あとは、公務員試験特有の科目対策を加味すれば十分です。

ここで、地方公務員・福祉職の専門試験対策を取り上げます(以下のリンクは、それぞれの名称によるアマゾン(Amazon.co.jp)の検索結果ページを含みます)。

地方公務員福祉職の参考書:専門試験

地方公務員福祉職の専門試験で一般的に課される科目は、社会福祉概論、社会保障、社会学概論、社会心理学、一般心理学、社会調査と、どれも社会福祉士国家試験の範囲で対応できる科目であり、社会福祉士国試向けの教材がそのまま使えます。

当サイトでは、福祉系公務員の専門試験で使える参考書について、福祉系公務員:専門試験の参考書に情報を集約しています。ぜひ参考になさってください。

地方公務員福祉職の教養試験

教養試験は択一式が一般的で、一部の自治体や区分を除き、区分を問わず共通の試験内容が課される試験です。このため、どの区分の方も、同じような試験勉強で対応することができます。

教養試験の出題科目や科目別出題数に関しては、教養試験の科目別出題数(大卒)を参考になさってください。

大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)は、区分(職種)を問わず共通の試験内容が一般的です。教養試験対策(大卒)の参考書を一通り知りたい方には、まず先に大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)をおすすめします。

論文試験・作文試験(教養論文)の参考書

※論文試験・作文試験(教養論文)の参考書に関しては、地方上級・国家一般職大卒・市役所大卒、国家総合職の政策論文試験、国家専門職/特別職、理系公務員、福祉系・心理系公務員など、大卒程度の公務員試験に幅広く対応できる参考書を、論文(作文)試験/政策論文対策(大卒程度)で一括してまとめていますので、そちらの記事を参照なさってください。