防衛省専門職員(国際関係区分)の論文試験

今回は、防衛省専門職員(国際関係区分)の論文試験を取り上げます。まず、実際に出された直近数年間の試験問題は以下の通りです。

    1.近年の安全保障上の課題として「ハイブリッド戦」や「グレーゾーンの事態」に関心が集まっている。これらのハイブリッド戦やグレーゾーンの事態への対応と、冷戦期におけるわが国の安全保障上の課題への対応には、いかなる共通点と相違点があるかについて、国際社会の変容を踏まえながら論ぜよ。

    * ハイブリッド戦:
    非軍事的手段で活性化させた住民抗議運動の力を非公然軍事活動で補い、危機管理等の名目で公然と軍隊を介入させて政治・戦略目的を達成する戦い方
    * グレーゾーンの事態:
    領域主権や権益等をめぐり、純然たる平時でも有事でもない事態

    2.国際事象の原因を説明する場合には、アクターが合理的に行動するという前提に立ちその意思決定に際しての計算に影響を及ぼす国際環境中の客観的・物理的な制約要因(地政学的条件、パワー分布等)に着目する方法と、アクターの頭の中の間主観的・観念的な要因(理念、文化等)に着目する方法がある。
    あなたが適切と考える国際事象を例に取り、その事象が生起した原因を前述のいずれかの方法に基づいて論ぜよ。その際、当該事象の原因の説明において、あなたが選択した方法が他の方法に比してどのような点で優れているかを合わせて述べよ。

  • わが国を取り巻く安全保障環境の改善には、政治・経済・安全保障の全ての面での日米同盟の強化が不可欠であるが、これに加え、そのために重要な役割を果たすアジア太平洋地域内外のパートナーとの信頼・協力関係を強化する必要がある。かかる観点から、具体的な国名を挙げて、我が国との関係をどのように強化していくべきかあなたの考えを述べよ。
  • 近年、領土や主権、海洋における経済権益等をめぐる対立が増えており、より重大な事態に転じる可能性が懸念されている。このような動向について具体例を挙げ、その内容・背景及び関係国の取り組みについて論ぜよ。
  • この一両年に我が国周辺において生起し,我が国に大きな影響を与えた国際事象を例にとり,当該事象が生起した理由を,相手国の指導者,その国内政治過程,国際関係の構造のそれぞれから説明せよ。また,これらの説明の違いが,当該事象への我が国の対応を考える上でどのように役立つかを論ぜよ。
  • 軍事的な活動の場としてのサイバー空間の特徴を,陸上,海上,航空及び宇宙空間のいずれか一つと比較しつつ論ぜよ。また,このようなサイバー空間に出現しつつある脅威とこれに対応する我が国内外の取り組みについて論ぜよ。
  • 中国は近年の目覚ましい経済発展により、国際社会における存在感を増している。また、経済のみならず、海洋における活動や安全保障の面においても、我が国にとって非常に重要な国のひとつとなりつつある。我が国は今後、台頭する中国とどのように係わるべきか、防衛当局者間の対話や交流の観点を含めて論ぜよ。
  • 国際的な安全保障環境の動向について概説した上で、国際社会における安全保障上の問題について具体的な例を挙げつつ論ぜよ。

防衛省専門職員(国際関係区分)の論文試験は、一般的な公務員試験の論文試験とは明らかに異なっています。毎年2題が課されていますが、2つとも外交・防衛・安全保障・国際関係に関わるテーマで、ある程度専門的な知識を前提とした課題です。

論述の内容自体は高度で複雑なものを求めるものではなく、文章の構成方法は、論文(作文)試験/政策論文対策(大卒程度) で取り上げた教材が使えます。これらは、文章の基本的な書き方や論文としての組み立て方について、合格に結びつくノウハウが理解できる有益な参考書としておすすめです。

その一方、取り扱っている課題内容は、やはり専門性が高いものであり、背景となる知識の理解が不可欠といえます。これについては、防衛省専門職員の参考書:論文試験を参考になさってください。