外務省専門職員:専門記述・平成26年度試験問題

今回は、平成26年度外務省専門職員の専門記述試験の試験問題を見ていきます。

外務省専門職員の専門記述は、憲法、国際法、経済学とも3題づつ出題され、3科目とも2題づつ選んで解答しなければなりません。各科目2時間ずつ、合計6時間というかなりハードな記述試験です。

外専の専門記述:憲法

憲法は3問中2問が人権分野、1問は統治分野でした。人権分野は重要な判例をベースにした事例問題であり、1問目は郵便法免責規定訴訟の最高裁違憲判決、2問目は宗教法人法の解散命令請求の合憲性という判例を押さえていれば書けた問題です。

郵便法免責規定訴訟のほうは、郵便法による郵便業務従事者の過失による賠償責任の免除は、憲法17条に違反するというもので、判決後に郵便法の改正が行われています。

本問では、改正前の郵便法を前提に、どのような憲法上の主張を展開して国に損害賠償を請求できるか検討しなさいという事例問題でした。この最高裁違憲判決は、「憲法判例百選2」にも掲載されている重要判例であり、しっかりと勉強していれば解けた問題です。

また、宗教法人法の解散命令請求の合憲性のほうも、宗教法人の解散命令と信教の自由にまつわる有名な判例をベースにしており、「憲法判例百選1」に掲載されています。

人権分野の2問とも、高度な論述の展開を求められる事例問題ではありますが、重要な判例をひと通りきちんと学んでおけば、論点と事例を結びつけることで十分に解けた問題です。

一方、3問目の統治分野からの出題は、憲法43条の全国民の代表の意味を検討しなさいという、非常に典型的で基本的な論点を問うものでした。通説と反対説およびそれに対する反論から結論に導く記述を、理由や根拠付けを持たせて論理的に書く必要はありますが、主要な論点整理と答案練習ができていた方には難問では無かったはずです。

外専の専門記述:国際法

国際法の平成26年度試験問題は、3題とも論述問題でした。出題された課題は以下のような内容です。

  1. 非国際的武力紛争に適用される武力紛争法の内容とその適用のための条件を、国際的武力紛争への適用の場合と比較して論じなさい
  2. 公海上の漁業資源の保存・管理について、国連海洋法条約上の規定とその他の条約による規制に分けて論じなさい
  3. 人権条約の当事国による違反の責任を他の当事国が追及することは可能か、人権条約の履行確保制度および国家責任の一般理論を含めて論じなさい

どの課題も、国際法の基本書をしっかりと読み込んで論点整理を行っていれば、そう難しい課題では無かったと思います。特に1問目の海洋法、2問目の武力紛争法の分野からの出題は、時事的な国際情勢を踏まえれば十分予想できた課題です。

3問目は国際人権法からの出題ですが、他の問題に比べてやや予想もしにくく、一般論だけでは書けない課題ということもあり、敬遠した受験生が多かったと思います。もちろん、3問とも条約集や判例集に基づいた詳しい論述が必要だといえます。

外専の専門記述:経済学

経済学は、平成26年度はミクロ経済学、マクロ経済学、国際経済学の3問で構成され、それぞれが3~4問の小問で構成されています。

ミクロ経済学は電気自動車への補助金の支給をめぐり、需要関数、総費用関数、限界評価関数が与えられ、私的均衡価格・私的均衡数量、社会的均衡価格・社会的均衡数量、それぞれの場合の社会的最適点での総余剰の差、補助金を購入者と生産者に支給する場合の自動車1台あたりの最適な補助金額と補助金総額を求める問題でした。

マクロ経済学は、ある国のマクロ経済モデルと総供給曲線が与えられ、この国の総需要曲線、均衡GDP、均衡物価水準、均衡利子率、通貨供給を増やす場合と特例国債を発行する場合のそれぞれの政策の有効性、および実質利子率が与えられた場合の政策の有効性を求める問題でした。

国際経済学は2国2財1要素のリカードモデルが与えられ、各国が比較優位の財に完全特化した場合、労働者の効用は改善するか、2財の相対価格や2国の賃金比率の取りうる範囲、A国の総労働者数が減少した場合の2財の相対価格を求める問題でした。

経済学も、3題とも非常に典型的な基本かつ重要項目ばかりが問われています。数学の苦手意識さえ克服すれば、十分に解ける問題ばかりです。3問目の国際経済学も、ほとんどのミクロ経済学の基本書に含まれている内容であり、経済学をしっかり勉強していた方なら難なく解けた問題です。

外務省専門職員の専門記述:傾向と対策

外務省専門職員の専門記述は3科目とも、典型的で標準的な論点からの出題が目立ちますが、公務員試験向けの教材だけでは全く足りません。

外専の専門記述は、専門的な基本書を論点整理のベースとして位置づけ、過去問や演習書で事例問題に対応できる論述の展開力を練習し、法律科目は判例集・条約集を併用して重要な判例・条約は徹底して叩き込むことが重要です。

外務省専門職員の専門記述対策は、国家総合職レベルの高度な試験対策が必要です。当サイトでは、以下の記事で外務省専門職員でも対応できる科目別対策を取り上げています。

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