行政系公務員併願の総合学習計画(1年9ヶ月~2年)

今回は、行政系公務員の幅広い併願を目指し、本試験まで1年9ヶ月~2年の学習期間をかけて独学を行う学習計画を取り上げます。在学生なら大学2年の春~夏、既卒者・社会人なら受験の前々年度の春~夏からの学習開始が対象です。

今回の記事は、地方上級、東京都Ⅰ類B、特別区Ⅰ類、市役所、国立大学法人、国家一般職、裁判所事務官(一般職)、国税専門官、財務専門官、労働基準監督官Aの行政系・事務系の区分(職種)に対応しています。

この学習計画は、全くの初学者でも安心して基礎から本試験まで備えることができることを想定しています。

その一方、大学1年から学習を始めて(大学1年のうちに出来ること(行政系/心理系/福祉系/技術系))、引き続き公務員試験を目指す方も、引き続き試験勉強を進められる学習計画を取り上げます。

なお、今回の記事は、1年9ヶ月~2年のうち、最初の7ヶ月~10ヶ月を取り上げています。受験年度の前年度に入る前年4月頃以降の学習計画は、行政系公務員併願の総合学習計画(10ヶ月~1年半)で取り上げています。

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数的処理(判断推理、数的推理)

まず、数的処理(判断推理、数的推理)の基礎固めを行います。全くの初学者の方は、「玉手箱」(数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱判断推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱の2分冊)をおすすめします。数的処理に必要な算数・数学の知識と、定型的な典型問題を一通り問題練習できる良書です。

その一方、「玉手箱」を学習した経験がある方には、「クイマス」(公務員試験過去問新クイックマスター 数的推理・資料解釈公務員試験過去問新クイックマスター 判断推理・図形の2分冊)の資料解釈以外の部分をおすすめします。クイマスは本試験レベルに応じた過去問集の人気教材であり、基礎固めが出来ている方にはクイマスから始めることも十分おすすめできます。

文章理解

文章理解は、「だからカコモンで克服 文章理解」に取り組んでみましょう。まずは典型問題の現代文と英文だけ解いてみます。古文は0~1問であり、公務員試験では学習する必要の無い分野です。

この段階で、英単語や速読に不安を感じた方には、「速読速聴・英単語 Core 1900」の追加をおすすめします。比較的長めの英文を読みながら多くの英単語を習得できる参考書で、速読と単語力の強化が両立できる良書です。

これとは別に、大学受験で「速読英単語(2)上級編」を使った経験のある方は、これに替えても構いません。このように、比較的長めで質の高い英文を掲載した単語集で、文章理解に必要な基礎能力を鍛えましょう。

余裕があれば、カコモンの演習部分にあたる「問題演習(過去問にチャレンジ)」をこなしてもかまいません。ただし、他の科目・分野の学習を潰してまでこなす必要はありませんし、カコモンの典型問題と単語集だけで十分です。

専門試験対策

専門試験においては、ほとんどの試験で課される科目を学習し、今後の志望先にも柔軟に対応できる実力を養成します。まずは、憲法、行政法、民法、経済学(経済原論、経済理論)、財政学、政治学までは取り組みましょう。

これらの科目は、受験の前々年度(在学生なら大学2年)のうちは「公務員試験過去問新クイックマスター」をおすすめします。要点整理と過去問演習が一体となった過去問集で、初学者でも基本から本試験レベルまで備えることができるメイン教材です。

「クイマス」は、実務教育出版の「スー過去」(新スーパー過去問ゼミ4)よりも基本~標準問題が多めで、要点整理部分の解説が詳しめです。初学者が受験の前々年度(大学2年)のうちにやるなら「クイマス」、前年度~受験年度(大学3~4年)では「スー過去」のほうが良いと思います

なお、憲法、行政法、民法に関しては、入門書として「まるごと講義生中継」をおすすめします。受験予備校の授業を再現した講義調の文体で、非常に読みやすい参考書です。クイマスと併用して何度か通読しておけば、各科目の全体像が見えてきて行間を埋める理解が進みます。

経済学の入門書としては、「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)、「らくらく経済学入門 週刊住宅新聞社」(マクロ、ミクロ、計算問題編、記述・論文編の4分冊)、「速習!経済学 石川秀樹」(速習!マクロ経済学、速習!ミクロ経済学、基礎力トレーニング(マクロ&ミクロ)の3分冊)の各シリーズから1つ選んで読み込んでおくことをおすすめします。

どのシリーズを使う場合も、公務員試験にはマクロ、ミクロの2冊で十分です。どれも初学者を想定した、非常にわかりやすく定評のある参考書ですし、見た目や値段で選んでも構いません。やはりクイマスをメインにしつつ、参考書を何度か通読して理解の促進に活用します。

論文対策

論文対策では、「論文試験 頻出テーマのまとめ方」がとにかくよく売れている定番の参考書ですが、挫折率が高い参考書としても知られています。

本書は、国家・地方公務員とも豊富に過去問を掲載し、代表的な論点をテーマ別に詳しく解説しています。直近の自治体別出題例一覧や、市役所上・中級の傾向と対策も掲載されています。

「頻出テーマのまとめ方」は、各テーマに関する知識量が膨大かつ著者の主観に影響されており、要求されている答案のレベルが受験生にはとても難しく、答案例も高度すぎる嫌いがあります。とはいえ、地方上級、市役所、国家一般職はもちろん、国家・地方公務員問わず幅広くおすすめできる良書です。

やはり、これだけ幅広いテーマを実際の試験問題を交えて収録し、毎年改訂されて最新の出題例をしっかり網羅した参考書は他書にはありません。「頻出テーマのまとめ方」は答案例は参考程度にとどめつつ、論点集と割り切って前々年度(大学2年)のうちからじっくり取り組むなら、申し分の無い良書としておすすめできます。

なお、この参考書は、基本的な論文作成に関する記述がありません。「1週間で書ける!! 公務員合格作文」は、第1編で形式面から、第2編では全体像を把握して問題点から背景を読み解き、自己主張と問題点を結びつける書き方をやさしく解説した、実に優れた参考書です。論文の基本的なルールや組み立て方を習得するには、本書を読んでおくことをおすすめします。

なお、「1週間で書ける」も第3編はテーマ別の論点集ですが、市役所以外の方には物足りないと思います。論点別対策に「頻出テーマのまとめ方」を使うのなら、「1週間で書ける」の第3編は不要です。

前々年度(大学2年)のうちは、こうした論文試験の参考書で、論文試験の形式的な準備・心構えや文章の書き方を理解するとともに、代表的な論点をひととおり習得することで十分です。前年度~受験年度(大学3~4年)には、答案練習を行います。

面接対策

前々年度(大学2年)のうちは、面接対策に関しては、「面接・官庁訪問の秘伝」および「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」をおすすめします。大学、受験予備校、ハローワークなどで提供される模擬面接は前年度~受験年度(大学3~4年)で良いのですが、前々年度(2年生)のうちにこうした参考書を何度も読み込んで、面接試験の実態や実践的な対策を知っておきましょう。

「秘伝」は、自分のコアな部分を分析することで、あらゆる場面に対応できる面接対策を解説しています。「現職人事」は、面接官=採用側の意図を明らかにする面接対策を解説しています。

とても好対照ですが、どちらも実際の試験現場を正確に分析し、現実の面接試験をよく把握した良書です。両方のアプローチをじっくりと読めるのも、前々年度(大学2年)のうちだと思いますし、いまのうちから取り組むことをおすすめします。

社会科学と経済

一般知識(知識分野)は、どの受験生も、社会科学の「だからカコモンで克服 社会科学」と「センター試験 政治・経済の点数が面白いほどとれる本」の経済部分に取り組むことをおすすめします。

社会科学は、一般知識では最もウェイトが高く、専門試験の基礎固めにもなる分野です。また、経済分野は受験生の馴染みが薄く、一般知識はほとんどが高校の教科書~センター試験レベルの問題ですから、高校生向けの入門書を何度も通読しておくことが得策です。

人文科学、自然科学

このほか、基本的に前々年度(大学2年)の間は、人文科学や自然科学を学習する必要はありません。ただし、大学受験が推薦やAO入試だった方など、出来る限り基礎固めをしておきたい方には、「上・中級公務員試験 過去問ダイレクトナビ」か「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ」をおすすめします。

ダイレクトナビは過去問を正文化した画期的かつ実践的な参考書です。20日間で学ぶは詳しめのポイント解説と過去問演習がセットになった速習型教材です。どちらも良い教材ですから、一方の教材を値段や好みで選べば十分ですし、人文科学は日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術、自然科学は生物、化学、地学、物理、数学の順に取り組めば十分です。

人文科学や自然科学は、前々年度(大学2年)のうちは他の分野・科目を潰してまで取り組む必要はありません。ただし、上記科目のうち、学習経験が無い(大学の一般入試の経験が無いなど)科目については、なるべく多くの科目に取り組んでおくと、前年度~受験年度(大学3~4年)の学習が容易に進みます。

行政系公務員併願の総合学習計画(1年9ヶ月~2年):まとめ

今回取り上げた学習計画では、教養試験(基礎能力試験)でウェイトの高い数的処理、社会科学、文章理解を優先的に取り組み、過去問を使って徹底学習するところまで行きます。

専門試験はほとんどの試験で課される憲法、行政法、民法、経済学、財政学、政治学まで取り組み、入門書を併用しつつ、過去問集でガッチリ実力を身に着けます。これらの科目をやっておくと、今後の志望先にも柔軟に対応できます。

社会科学も基礎から過去問演習まで踏み込みます。文章理解は出来れば過去問演習まで行けたら良いのですが、典型問題と単語集で基礎を固めるだけでも十分です。

論文試験は、書き方を知るだけでなく、多くの受験生が挫折しやすい参考書にも取り組んでおくことで、優位に進めます。面接試験は、自己分析のノウハウと採用する側の意図を知る両面を今のうちに理解できます。

ここまでは前々年度(大学2年)のうちに必ずやっておくべき学習です。その一方、一般知識は高校の教科書~センター試験レベルであり、人文科学や自然科学で学習経験が無い科目は、少しでも多く学習しておくことをおすすめします。

今回の記事は、1年9ヶ月~2年の学習計画のうち、最初の7ヶ月~10ヶ月を取り上げています。受験年度の前年度に入る(在学生なら大学3年生になる)前年4月頃以降の学習計画は、行政系公務員併願の総合学習計画(10ヶ月~1年半)で取り上げています。