行政系・事務系公務員の専門試験(大卒)

行政系・事務系公務員(大卒程度)は国家公務員では、国家総合職、国家一般職大卒、国家専門職(国税、財務、労基)、外専、防専、国家特別職(裁判所事務官、国会図書館、衆・参事務局)が挙げられます。

また、地方公務員では、地方上級(都道府県、政令指定都市、東京都特別区)、市役所の行政系・事務系に相当する区分・職種が挙げられます。

ここでは、これらすべての行政系・事務系公務員における、専門試験の試験対策を取り上げます。

専門科目の参考書

専門科目の場合、大半の科目は過去問集1冊で乗り切ることができます。ただ、出題数が多い科目で学習量も多い科目は、先に参考書を入門書と位置づけて通読しておけば、各科目の全体像を頭に入れた上で過去問集に取り組むことができます。

具体的には、経済学(経済原論、経済理論)、憲法、行政法、民法は、参考書を読んで各科目の概要や項目ごとのつながりを細部にこだわらず、「ザックリと」で良いのでアウトラインを理解しておくと、過去問集を進める際にメリハリのきいた効率学習がしやすくなります。

また、行政科目(政治学、行政学、国際関係、社会政策、社会学)は暗記だけでも点が取りやすく、学習効果がとても高い科目です。これらは過去問集と併行して要点整理型参考書を読み込んでおくと、暗記事項の多い行政系科目の知識の補強になります。

経済学(経済原論、経済理論)の参考書では、最も網羅性が高い「速習!経済学 石川秀樹」(速習!マクロ経済学、速習!ミクロ経済学、基礎力トレーニング(マクロ&ミクロ)の3分冊)、最も標準的な「らくらく経済学入門 週刊住宅新聞社」(マクロ、ミクロ、計算問題編、記述・論文編の4分冊)、政令市以外の市役所なら「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)のうち1シリーズに取り組むと良いでしょう。

どの参考書も、経済学の初学者には基本から読みやすく、公務員試験にはマクロ、ミクロの2冊で十分です。この3シリーズのなかでは「らくらく」が最も標準的ですが、これが合わなかった方は他のシリーズに替えても構いません。

憲法、行政法、民法の参考書は、TACの「まるごと講義生中継」シリーズをおすすめします。

憲法の「憲法 郷原豊茂の憲法まるごと講義生中継 TAC」は約390ページのなかに、憲法のエッセンスを非常に噛み砕いて分かりやすく解説し、講義特有のライブ感のある文体で一気に読み続けられる良書といえます。

民法の「郷原豊茂の民法まるごと講義生中継 TAC出版」(1、2の2分冊)は、2冊合わせて700ページを超えるボリュームだけに非常に丁寧に噛み砕いて読みやすく、初学者にも全くの基本から分かりやすい良書といえます。ただし、(地方上級や市役所ではほとんど出ないとはいえ)家族法(親族、相続)が含まれていない点には注意が必要です。

新谷一郎の行政法まるごと講義生中継」も、さまざまな法律や判例を含んで体系的な理解が必要な行政法という科目を、約350ページで極めて分かりやすく解説してくれる良書です。基礎~標準レベルを重視して頻出事項をサッと学べます。

行政科目(政治学、行政学、国際関係、社会政策、社会学)の場合は、経済学や法律科目に比べて体系的な理解というより単純に暗記だけで通用する部分が多く、参考書も「行政5科目まるごとパスワード neo」がおすすめです。

本書は、行政5科目から頻出事項をコンパクトに抽出した要点整理型参考書です。初学者でも基本から学べる良書ですし、二色刷りでイラストや図表を交えて見やすく、多くの受験生が何度も読み返す人気の定番参考書としておすすめです。

参考書はスキマ時間などを活用して繰り返し通読し、ざっくりと各科目の概要を頭に入れる導入本(入門書)としておすすめです。また、過去問の解説を読んでもわからないというレベルの方が、基礎知識の補充を行う使い方もおすすめです。

ただし、参考書だけでは公務員試験の問題を解くレベルには到達しません。公務員試験にとって参考書は、絶対に必要ではありません。本試験の傾向や難易度に見合った本格的な学習は、後述どおり公務員試験に特化したメイン教材を中心にすべきでしょう。

専門科目のメイン教材(過去問集)

専門科目のメイン教材は、「新スーパー過去問ゼミ5」シリーズをおすすめします。収録問題の精度や網羅性が非常に高く、最もおすすめできる定番の過去問集です。

また、スー過去が合わなかったという科目の場合は、「公務員試験過去問新クイックマスター」シリーズに替えても構いません。クイマスと競合する過去問集ですが、イラストや図表がやや多めで分かりやすく、標準レベルの問題を重視しています。

このほか、基本問題だけは一通り抑えたい科目には、「だからカコモンで克服」シリーズに替えることもおすすめできます。とても優しく見やすいポイント部分と、定型的な基本問題を多く掲載した過去問集です。

これら過去問集は、専門科目に関しては、憲法、民法(2分冊)、行政法、刑法、労働法、商法(「カコモン」のみ)、経済学(ミクロ経済学とマクロ経済学の2分冊)、財政学(スー過去とクイマスのみ)、経営学(スー過去とカコモンのみ)、政治学、行政学、社会学、国際関係(スー過去とカコモンのみ)、会計学(スー過去のみ)、教育学・心理学(スー過去のみ)が出ています。

行政系・事務系の専門科目に関して言えば、スー過去は、さまざまな国家公務員や、地方上級から市役所まで使える良書です。特に一般知能(知能分野)や専門科目では、あらゆる公務員試験で真っ先におすすめできる定番教材といえます。

その一方、クイマスは、科目によってスー過去が合わなかった場合の代替教材としておすすめです。一般知識(知識分野)ではスー過去よりおすすめできますし、専門科目でも特に法律科目には定評があります。

カコモンは、基本的な典型問題を重視した過去問集といえます。出題数の多い科目には不向きですが、地方上級や市役所の刑法、労働法のように、出題数が少ない科目に時間をかけたくない場合にはおすすめできます。参考書代わりの入門書としても、悪くない教材といえます。

過去問集とは、ポイント部分(要点整理部分)と過去問演習が一体となった科目別・分野別の完結型教材です。これを何度も繰り返すことで、初めて学ぶ科目でも全くの初歩から本試験の問題が解けるレベルまで到達できます。

過去問集は全ての科目を同じシリーズで揃える必要はありません。各自の志望先に応じて、科目ごとに自分に見合った教材に取り組むと良いでしょう。

過去問集は、1回目は1問解くのにも時間がかかってしんどいかと思います。しかし、2回め、3回め、、、と何度でも繰り返すうちに、公務員試験に必要な知識や解法が定着し、本試験問題が解ける力が身につきます。

公務員試験は、過去問集だけでも乗り切れます。初めて取り組む科目でも、試験勉強の初めから我慢強く徹底的に繰り返すことで、本試験の問題を解くのに必要な知識や解法が自然に身につきます。