国家公務員の試験とは

今回は、国家公務員の試験を取り上げます。国家公務員では、基礎能力試験(教養試験)、専門試験、論文(作文)試験、面接試験が課されることが一般的です。

基礎能力試験や専門試験は択一式が一般的ですが、国家公務員の場合、国家総合職、国税専門官、財務専門官など、記述式の専門試験(専門記述試験)を課す試験もあります。

また、面接試験は個別面接が一般的ですが、なかには集団面接、集団討論、プレゼンテーションなどの形式を課す国家公務員試験もあります。

国家公務員の試験科目

国家公務員の試験科目については、職種や区分を問わず共通の試験科目を課す基礎能力試験と、職種・区分によって試験科目が異なる専門試験が実施されます。

基礎能力試験は知能分野(一般知能)と知識分野(一般知識)に分かれます。知能分野では、数的推理、判断推理、文章理解、資料解釈という試験科目が課され、単純な暗記では通用しないような、数的・論理的な思考が試されます。

知識分野は、社会科学・人文科学・自然科学に属する各科目が幅広く課されます。社会科学は法律(法学)、政治、経済、社会、時事問題、人文科学は日本史、世界史、地理、思想(倫理)、文学・芸術、自然科学は数学、生物、地学、物理、化学の各科目が課されます。

知識分野の各科目は、高校の教科書~センター試験レベルの知識を問う問題がほとんどです。高度な解法を要求せず、単純な暗記だけで解ける問題も少なくありません。

国家公務員の基礎能力試験の試験科目は出題数で見ると、知能分野が6~7割、知識分野が3~4割という試験が多く見られます。

その一方、専門試験の試験科目は、試験や職種・区分によって異なります。事務系・行政系では法律系・経済系・行政系の科目が課され、理系(技術系)や福祉系・心理系など専門性の高い試験では、それぞれの専門分野に沿った科目が課されます。

ここで、事務系・行政系の試験科目を取り上げると、法律系=憲法・民法・行政法・刑法・商法・労働法など、経済系=経済原論・財政学・経済史・経済事情・経済政策・経営学など、行政系=政治学・行政学・社会学・国際関係・社会政策などの出題が多く見られます。

どの試験を受ける場合も、試験科目はしっかり確認して、自分の志望先の国家公務員に見合った試験対策を進める必要があります。

国家公務員試験の種類

国家公務員試験には、さまざまな種類があります。大卒程度、高卒程度のほか、院卒者試験や経験者採用試験を行う国家公務員もあります。

国家公務員試験の種類を大きく分けると、国家総合職、国家一般職、国家専門職、国家特別職、経験者採用試験、その他の公募情報(任期付職員、非常勤職員)にわけられます。以下、これらを順次取り上げていきます。

国家総合職は、大卒程度と院卒者の試験が行われる国家公務員試験です。合格者は各府省に採用され、国家レベルの政策決定に大きく関わるキャリア官僚の採用試験です。さまざまな種類がある公務員試験のなかでも最難関の採用試験といえます。

国家一般職大卒は、大卒程度、高卒程度、社会人試験(係員級)の試験が行われます。国家一般職は、法令の執行や運営など行政現場の業務に関わる国家公務員の採用試験です。地方にある国の機関に勤務することが多い国家公務員といえます。

国家専門職は、特定分野の行政事務に関わる専門性の高い国家公務員です。大卒程度と高卒程度で実施される試験が異なり、職種・区分ごとに試験が実施されます。

国家専門職のうち、大卒程度の採用試験が行われるのは、皇宮護衛官採用試験/法務省専門職員(人間科学)採用試験[矯正心理専門職・法務教官・保護観察官]/外務省専門職員採用試験/財務専門官採用試験/国税専門官採用試験/食品衛生監視員採用試験/労働基準監督官採用試験/航空管制官採用試験/防衛省専門職員採用試験です。

高卒程度の採用試験が行われる国家専門職は、皇宮護衛官採用試験/刑務官採用試験/入国警備官採用試験/税務職員採用試験/航空保安大学校学生採用試験/海上保安大学校学生採用試験/海上保安学校学生採用試験/気象大学校学生採用試験です。

国家専門職は、皇宮護衛官のように大卒・高卒程度がそれぞれ実施される試験もあります。また、一部の国家専門職では、社会人試験も実施されます。

国家特別職とは、三権分立の建前上、行政機関である人事院などが関与せず、立法機関(国会)や司法機関(裁判所)が独自に職員採用試験を行う国家公務員試験です。大卒程度と高卒程度で採用試験が行われます。国の立法や司法の業務に関わる国家公務員です。

国家特別職の大卒程度の採用試験には、裁判所職員(裁判所事務官、家庭裁判所調査官補)、国会職員(国立国会図書館、衆議院事務局、参議院事務局)があります。総合職と一般職に分けて実施する試験もあります。

高卒程度の国家特別職には、裁判所職員の裁判所一般職、国会職員(国会図書館一般職、衆議院事務局一般職・衛視、参議院事務局一般職・専門職(衛視))があります。

なお、防衛省専門職員、外務省専門職員も、大卒程度の国家特別職に分類されることがあります。これらは、それぞれ防衛省や外務省が独自に採用試験を行うため、行政職員ではありますが、人事院が関与しないという意味で特別職とみなされることがあります。

また、国家公務員法上の特別職とは、一般職とは区別されるべき国家公務員を対象にしており、裁判所職員、国会職員、防衛省の職員のほか、内閣総理大臣や各大臣、裁判官、外交官など、より幅広く指定されています。

経験者採用試験は、民間企業等で実務経験のある人を主に対象とした採用試験です。経験者採用試験(係長級(事務))は、採用予定のあるいくつかの府省が合同で実施します。このほか、様々な種類の試験があります。

経験者採用試験は、受験資格に職務経験が必要ですが、年齢の上限が緩めに設定されます。社会人試験は、受験資格に職務経験を要さないものの、40歳未満に限る場合が多く見られます。

その他の公募情報は、各府省が任期付職員、非常勤職員の採用試験を実施するものです。欠員などの状況に応じて実施され、人事院の公式サイトから確認することができます。

国家公務員試験の流れ

国家公務員試験も、受験資格さえ満たせば誰でも受験できる試験です。

公務員試験は、受験年度の試験案内(募集要項)の発表を待っていたのでは試験勉強を始めるのは遅すぎます。国家公務員の場合も、志望先の公式サイトで前年度までの実施実績や要項が公開されていますし、まずはこれを確認して試験勉強を始めましょう。

受験年度の試験案内が告知されたら、受験資格や試験内容、採用までの流れをしっかり確認します。変更点があれば、志望先や併願戦略、試験勉強の修正などの活かします。

国家公務員の場合も2次試験まで実施されることが一般的です。ただ、地方公務員に比べると3次試験まで実施する試験も少なくありません。筆記試験だけでなく、人物試験(面接試験、集団討論、プレゼンテーションなど)もしっかり対策を立てましょう。

国家総合職や国家一般職大卒の場合、採用試験の合格=採用ではありません。官庁訪問と呼ばれる採用活動を経て、どの府省や機関に採用されるのか、自ら内定を勝ち取る必要があります。

官庁訪問には一定のルールや活動期間が定められています。人事院主催の合同説明会も実施されますし、府省ごとに受ける採用面接などが官庁訪問の中心です。こうした官庁訪問の情報についても、人事院の公式サイトでしっかりと確認しましょう。

この他の国家公務員の場合、官庁訪問が無くても採用面接や意向調査といった形で、採用試験の最終合格者を対象に、採用先の機関を決定したり、実際の採用者を決めるプロセスが存在します。

国家公務員は国家総合職や一般職大卒を中心に、「合格=採用とは限らない」公務員試験です。採用試験の時点で少しでも高い得点を稼ぎ、なるべく良い成績で合格することを目指す必要があるといえます。

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