国家公務員の採用について

今回は、国家公務員の採用について取り上げます。国家公務員では採用試験の合格=採用とは限らず、官庁訪問という採用活動を経て自ら各府省などからの内定を獲得する必要があります。

官庁訪問とは、国家公務員の受験者が志望官庁を訪問し、業務説明や面接を受けたりするもので、志望する府省等に採用されるための重要な採用活動です。各府省にとってさまざまな人材を見極める機会となり、受験者にとっては内定を勝ち取るために必須のプロセスです。

官庁訪問について、国家総合職および国家一般職(大卒)ではそれぞれについて、各省庁人事担当課長会議申合せに基づくルールが定められます。受験者の方は官庁訪問のスケジュールや進め方について、人事院の公式サイトからしっかり確認しましょう。

国家公務員採用試験に合格した方は採用候補者名簿に記載され、各府省等は採用候補者の中から採用面接などを行い採用者を決定します。また、各採用試験の最終合格者については、採用予定数より多くなっています。

採用候補者名簿の有効期間は、国家総合職、国家一般職(大卒)は、最終合格発表日から3年間です。国家一般職(高卒、社会人(係員級))は、最終合格発表日から1年間です。

このうち、国家総合職、国家一般職(大卒)の場合、採用希望時期を延期することができます。例えば、学部4年次に総合職試験を受験して合格し、大学院修士課程に進学する者から、修士課程を修了する2年後に採用されたいと希望を出すことができます。

この場合、修士課程修了後に採用候補者として各府省等に通知されます。なお、採用希望時期を延期しても、名簿の有効期間は最終合格発表日から3年間であることは変わらない点に注意が必要です。

各府省等は候補者の中の誰を採用するかについて、多様な人材を確保するため、人物重視の観点に立って採用者を決定しています。この採用内定を獲得するまでのプロセスが官庁訪問というわけです。

また、官庁訪問の開始前から、各府省等の主催する業務説明会や、人事院が主催する官庁合同業務説明会は、参加自由で任意とはいえ、できるだけ参加することをおすすめします。やはり説明会への出席の有無やそこで話した内容は、官庁訪問で聞かれることがあると思います。

業務説明会の日程については、各府省等のホームページや人事院の公式サイトでも「説明会・セミナー情報」で掲載しているほか、人事院ではメールマガジンによる情報発信も行っています。

業務説明会以外にも、各府省等ではホームページ等により、情報発信を行っています。国家公務員の採用活動は情報戦でもあります。こまめにチェックして先に早く動くことが重要です。

国家公務員では、採用を希望している複数の府省等の面接を受けることもできます。もちろん、やみくもに受けることはできず、官庁訪問のルールに基づくことが必要です。また、各府省等は受験者を長く拘束することが珍しくありません。

なお、国家一般職(高卒)には、官庁訪問はありませんが、やはり採用=合格でもありませんん。採用試験の最終合格後に志望官庁の採用面接を受け、採用の内定を得る必要があります。人事院などの情報に従いながら、志望官庁に積極的に動くことも大切です。

人事院では、夏の官庁訪問期間中は節電及び軽装の励行期間となっており、各府省等を訪問する際には、上着及びネクタイを着用しなくても良いとしています。もちろん、実際には上着及びネクタイをきちんと着用する方がほとんどであり、ここは注意すべきです。

特に国家総合職(春試験)の官庁訪問については、訪問開始以降、第1クール~第5クールまでの日程(クール制)で行われ、その後、内々定解禁というルールが設定されています。

このクール制には、同一官庁への再訪問禁止期間が設定されています。第1クール(3日間)及び第2クール(3日間)については、同一省庁への訪問は3日に1回行うこととなっており、この間は、翌日・翌々日の同一省庁への訪問はできません。

第3クール(2日間)については、同一省庁への訪問は2日に1回行うこととなっており、この間は翌日の同一省庁への訪問はできません。第3クール(2日間のうち1日目)、第4クール(1日間)及び第5クール(1日間)の各日については、それぞれ任意の省庁を訪問することが可能となっています。

国家総合職(春試験)の官庁訪問の場合、まずは第1クールの3日間で、志望度の高い府省等の訪問を優先していくことが重要といえます。

その一方、国家一般職(大卒)の行政区分の場合、全国を9地域に分け、その地域に所在する官署の採用を対象とする地域別の試験として実施していますが、本府省への採用については、すべての地域の合格者から本府省への採用が可能となっています。

したがって、関東甲信越以外の地域の区分を受験する場合でも、その地域に所在する官署と本府省の両方を志望することも可能です。受験地域もよく検討しましょう。

官庁訪問は、人物本位の採用を行う国家公務員特有の仕組みです。採用において年齢、性別、新卒、既卒、出身校・出身学部等が影響することはありません。全国から有能な人材を幅広く求め、ペーパーテストだけでは測れない人物評価を行う重要な機会といえます。

特に国家公務員の採用にあたっては、相手の考えを理解するコミュニケーション能力、多様化する行政需要に柔軟に対応する能力、臨機応変に自ら行動できる能力、しんどいときや苦しいときも乗り越えられる能力など、さまざまな人材への需要があります。

また、受験者の側から見ても、官庁訪問という国家公務員の採用プロセスを通じて、どの官庁が自分に合っているか、自分の能力を発揮できる官庁はどこか、といったことが見えてくると思います。官庁訪問は、採用する側・される側双方にメリットのある仕組みです。

国家公務員の採用漏れ

国家公務員に採用漏れがあるのか、という点については、国家公務員が採用=合格ではないという点を考慮すると、やはり頭に入れておく必要があると思います。

特に厳しいのが国家総合職であり、採用された方の人数は最終合格者の半分以下ということが珍しくありません。採用試験を単に合格すればなんとかなるなどという甘い考えは捨てて、志望官庁に入りたければ、少しでも採用試験で上位の合格を目指していきましょう。

国家一般職大卒、国税専門官などは、希望官庁にこだわりが無いなら採用漏れということは少ないと言われます。ただ、人気の集中する官庁を志望先にするのであれば、やはり採用試験の段階から上位合格を目指し、採用漏れに引っかからないようにすべきでしょう。

また、裁判所職員(裁判所事務官、家庭裁判所調査官補)も、毎年採用漏れが出ていると言われます。裁事・家裁とも採用漏れの割合は数%程度であり、採用試験で合格者の平均点を上回っていれば大丈夫ですが、ギリギリ合格では危ないかもしれません。

国家公務員の採用は、上位合格すればどんな志望官庁でも入れるというわけでは無いものの、下位合格者は採用漏れの可能性があります。合格に必要な最低限の勉強にこだわらず、合格者のなかでも平均的なラインを上回る対策が必要だといえます。

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