国税専門官・財務専門官の学習計画(半年~1年/専願)

今回は、国税専門官・財務専門官の専願を想定した学習計画を取り上げます。この学習計画は、大学3~4年、既卒者、社会人を対象にしています。本試験まで半年~1年の学習期間を想定していますが、1年半を切った時期ならいつ始めても構いません。もちろん、全くの初学者が独学で目指すことを想定しています。

国税・財務は、基礎能力試験(教養試験)は共通試験ですし、専門試験も重なる科目は共通問題が広く使われています。国税・財務どちらの場合も、まずは数的処理(判断推理、数的推理)、社会科学、専門試験の最重要科目に先行して取り組みます。

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数的処理(判断推理、数的推理)

数的処理は、出題数が多く解法パターンの練習が必要な最重要科目です。要点整理と過去問演習が一体となった過去問集の「新スーパー過去問ゼミ4 判断推理」「新スーパー過去問ゼミ4 数的推理」をおすすめします。これ1冊で、初学者でも基本から本試験まで備える学習が出来るオールラウンド教材です。

過去問集は、1回目は要点整理を確認して必修問題に取り組み、基本的な解法のバリエーションを一通り理解します。2回目以降は、必修問題に過去問演習を加えて、自力で解けるまで何度も練習して本試験に備えます。

社会科学

社会科学は、一般知識(知識分野)で出るだけでなく、先に学習しておくと、専門科目や時事問題の基礎固めにもつながる重要分野です。メインの教材としては、「公務員試験過去問新クイックマスター 社会科学」をおすすめします。

クイマスは、過去問集としては解説が詳しく、標準問題を重視した教材といえます。高校の教科書~センター試験レベルの問題が多い一般知識では、クイマスが適切な選択だといえます。

専門試験の基本戦略

国税専門官では、民法6問、会計学8問が必須科目で、出題数が多い最重要科目です。商法も必須科目ですが、2問しか出ません。

国税の選択科目(4科目を選択・24問解答)は、「憲法・行政法」は3問づつ、経済学、財政学、経営学は6問づつ、「政治学・社会学・社会事情」は政治学3問・社会学2問・社会事情1などとなっています。

財務専門官では、憲法6問・行政法8問、経済学7問・財政学4問・経済事情3問と、必須科目はどれも出題数が多い最重要科目といえます。

財務の選択科目(2科目を選択・12問解答)は、「民法・商法」が民法5問・商法1問、「政治学・社会学」が3問づつ、会計学(簿記を含む)、経営学が6問づつとなっています。

専門科目は、憲法、民法、行政法、経済学、会計学は単純な暗記だけでは通用せず、理論的な理解が必要な科目です。財政学、経済事情は、経済学の知識があれば理解しやすい科目です。経営学、政治学、社会学、社会事情は暗記科目といえます。商法は出題数が少なく、基本問題が頻出です。

このため、国税/財務どちらの専願の場合も、憲法、民法、行政法、経済学、会計学は理解するのに時間がかかる科目ですし、学習するなら後回しにするのではなく、真っ先に取り組んでおくべき最重要科目といえます。

財政学や財務専門官の経済事情は、経済学をこなしたあとに着手すれば良い科目ですが、出題数を考慮すればきちんと取り組むべき科目といえます。経済事情は、経済分野の時事対策もしっかり行います。

これら最重要科目のあとに、経営学、政治学、社会学に取り組みます。後回しにしても良い科目ですが、出題数を考慮すれば、各科目の範囲をまんべんなく学習すべきでしょう。

商法は会社法、社会事情は社会保障や税制の問題が頻出です。時間的な余裕が無い方は最小限の学習に留める、あるいは、学習しないことを考慮しても良いでしょう。

専門試験(最重要科目)

専門試験は、まずは憲法、民法、行政法、経済学、会計学に取り掛かるべきです。専門科目の過去問集には、網羅性が高く、収録問題に無駄が無い「新スーパー過去問ゼミ4」をおすすめします。

スー過去で要点整理を熟読し、必修問題から過去問演習という流れで、択一式試験は十分に対応できます。その一方、スー過去だけでは分からないという科目や、記述式で課される科目では、入門書の併用をおすすめします。

入門書は、憲法、民法、行政法では、「まるごと講義生中継」をおすすめします。大手予備校TACの授業を再現した参考書で、講義調の文体で何度でも読みやすく、非常に分かりやすい良書です。

経済学の入門書としては、「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)、「らくらく経済学入門 週刊住宅新聞社」(マクロ、ミクロ、計算問題編、記述・論文編の4分冊)、「速習!経済学 石川秀樹」(速習!マクロ経済学、速習!ミクロ経済学、基礎力トレーニング(マクロ&ミクロ)の3分冊)の各シリーズから1つ選ぶことをおすすめします。

どのシリーズを使う場合も、公務員試験にはマクロ、ミクロの2冊で十分です。どれも初学者向けにわかりやすく、定評のある参考書ですし、見た目や値段で選んでも構いません。

会計学の入門書としては、「らくらく会計入門 週刊住宅新聞社」をおすすめします。国税・財務ともおすすめできる良書ですし、スー過去では説明が足りないと感じる部分でも、本書で補充すれば理解が深まる定番の入門書です。

本書は会計学の全体像について、講義を受けているような文体で非常に読みやすく、グラフや図表を多用して一気に理解できるよう工夫された会計学の入門書です。300ページ弱の本であり、スー過去と併用してインプットとアウトプットを効率よくこなす使い方がおすすめです。

会計学を独学で攻略する受験生の間では、「スー過去&らくらく」の組み合わせは、幅広く使われている定番中の定番でもあります。

専門科目のなかでも重要な科目は、スー過去をメイン教材にして本試験に備える問題演習を繰り返す一方、入門書を何度も通読することで、各科目の理解が進みやすくなるといえます。

専門試験(財政学、経済事情)

財政学や経済事情は、経済学をクリアした後で取り組んだほうが良い科目です。出題数を考えれば、しっかり着手すべき重要な科目といえます。

財政学の過去問集は、やはり「新スーパー過去問ゼミ4 財政学」がおすすめです。財政学は経済学に比べて体系的な理解が不要ですし、択一対策は本書だけでも十分対応できます。

経済事情は、経済学の知識や時事対策で解ける問題がほとんどです。経済学の学習と後述どおり時事対策をしっかり行うことで、十分対応できます。

専門試験(その他の科目)

上記の通り、最重要科目や財政学をクリアしたら、経営学、政治学、社会学に取り組みましょう。メインの過去問集としては、「新スーパー過去問ゼミ4」をおすすめします。

これらの科目は、択一対策はスー過去だけでも対応できる科目です。要点整理を読み込んで、必修問題から過去問演習という流れで、本試験まで演習を繰り返せばよいでしょう。

ただし、記述式試験で選択するつもりの科目は、「公務員Vテキスト TAC」を併用して読んでおくことがおすすめできます。

また、記述式を考慮しない場合、入門書には「行政5科目まるごとパスワード neo」がおすすめできます。受験生に幅広く使われる人気の参考書であり、政治学、社会学に加え、社会政策を読み込めば社会事情の基礎固めにもなります。

商法は、過去問集としては要点整理がわかりやすく、より基本問題を重視した「だからカコモンで克服 商法」がおすすめです。

カコモンの商法は、要点整理を熟読し、典型問題に取り組んだあと、演習部分は問題ごとに国税・財務の重要度がついており、ここで最重要の問題だけでも取り組めば十分です。

商法は、学習時間に制約のある方は、カコモンの目次を見て*印のついた最重要項目を行うだけでも良いでしょう。それでも時間的な余裕が無い方は、商法は学習しないことを検討しても良いと思います。

専門記述対策

専門記述試験(記述式の専門試験)は、国税では憲法、民法、経済学、会計学、社会学、財務では憲法、民法、経済学、財政学、会計学から1科目選択です。入門書や択一対策をクリアしたら、いつ始めても良いでしょう。

専門記述は年度によって科目別の難易度が異なり、1科目に絞るのは書けない課題が出たときのリスクが大きすぎると思います。

そこで、30~40程度の論点をまとめる本命科目を1~2科目、5~10程度の論点をおさえる予備科目を1~2科目、合わせて2~4科目、60~100の論点整理をおすすめします。

憲法は「公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ 実務教育出版」をおすすめします。憲法はメイン科目にしやすい科目といえます。

民法は本命科目にはおすすめできませんが、予備科目と考えるなら、最低限の基本論点はカバーできる「公務員試験 専門記述式 民法・行政法 答案完成ゼミ 実務教育出版」をおすすめします。

経済学は、本命科目にするなら、幅広い内容を盛り込んだ「試験攻略 新・経済学入門塾 論文マスター編」、予備科目にするなら典型的な論点はおさえた「らくらくミクロ・マクロ経済学入門 記述・論文編」をおすすめします。

会計学は、「新スーパー過去問ゼミ4 会計学」が東京都/国税/財務の過去問から基本的な頻出問題を20問程度掲載しており、典型論点の確認には最適ですが、解答例が冗長で、会計基準そのままの記述があるのが難点です。

そこで、より幅広い論点を網羅して詳しく解説した「らくらく会計入門 週刊住宅新聞社」の併用をおすすめします。受験生に幅広く使われている定番の組み合わせであり、会計学はこれで十分だと思います。

財政学は、「井堀 財政学 新世社」と「新スーパー過去問ゼミ4 財政学」を併用することで、テーマごとに典型的な論点を整理する学習がとても効果的でおすすめです。

社会学の記述対策には、「公務員Vテキスト 社会学 TAC」がおすすめできます。

国税/財務の専門記述試験は、一行問題や説明問題といった基本問題が中心です。このような基本テキストや典型論点を扱った参考書で、項目ごとに論点整理を行うことで、十分な試験対策となります。

時事対策

国税/財務では、時事対策は非常に重要です。試験勉強の初めから取り組むべき重要分野といえます。

公務員試験の時事問題に特化した参考書としては、「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」がおすすめです。受験生に幅広く使われてきた定番教材で、必ず取り組むべき必須教材といえます。

本書には、併用教材として「公務員試験 速攻の時事 実戦トレーニング編」もあります。掲載問題の難易度にブレがあるのが難点ですが、問題練習は参考程度にとどめておけば、出題可能性の高い項目を知ることができる貴重な教材といえます。

トレーニング編は、重要な時事用語を約400語スマートにわかりやすく解説しており、時事用語集としてとても有用です。速攻の時事をメインにしつつ、トレーニング編で時事用語チェックと問題練習を行えば、標準的な時事対策はクリアできます。

その一方、公務員試験に特有の時事問題対策には、「直前対策ブック 実務教育出版」をおすすめします。直前チェックの総合対策本ですが、白書、各種統計・データ、法改正や重要判例、審議会の答申など、公務員試験では最頻出の時事対策をしっかり行うことができます。

このほか、日常的なニュースや時事問題のフォローが出遅れていると感じる方には、「最新時事用語&問題 新聞ダイジェスト別冊」をおすすめします。原則として年に3回(春・夏・秋号)刊行されており、本書で定期的な時事チェックを行えば安心です。

文章理解

国税/財務とも、現代文6問、英文5問という重要な科目です。古文は出ませんので、学習する必要がありません。まずは、「新スーパー過去問ゼミ4 文章理解・資料解釈」で必修問題をいくつか解いてみます。

ここで、英文を読むのが遅かったり、分からない英単語が多いと感じたら、「速読速聴・英単語 Core 1900」の追加をおすすめします。大学受験で使った経験があるなら、「速読英単語(2)上級編」に替えても構いません。

どちらの参考書も、やや長めの英文を題材に、速読と英単語の練習が両立できる良書です。試験勉強を通じて、何度も読み込んでおけば、十分な基礎固めとなります。

文章理解自体は、暗記的な要素がほとんど無い科目です。習うより慣れろという感覚で、いきなり過去問集から始めても構いません。早期から取り組む必要はありませんが、「新スーパー過去問ゼミ4 文章理解・資料解釈」をコツコツと解いていきましょう。

現代文と英文を毎日、1~2問づつ解いていけば十分です。1日あたりの学習時間は少なくても良いのですが、本試験まで勉強しない日を作らず、問題を解く勘をなくさないようにしましょう。

スー過去を解き終わったら、「公務員試験過去問新クイックマスター 文章理解」または「過去問500」に入っても構いません。

資料解釈

資料解釈は3問出ます。とても学習効果の高い科目であり、決して捨てるべきではありません。こちらも文章理解と同じ感覚で、同じ時期から、「新スーパー過去問ゼミ4 文章理解・資料解釈」を毎日1~2問づつ解けば十分です。

資料解釈もスー過去をやりきったら、「公務員試験過去問新クイックマスター 数的推理・資料解釈」または「過去問500」に入っても構いません。

人文科学、自然科学

国税専門官・財務専門官の基礎能力試験(教養試験)は共通問題です。人文科学は日本史、世界史、地理、自然科学は生物(または地学)、物理、化学が1問づつ出ています。出題ウェイトはとても低く、単純な暗記で通用する基本問題が中心です。

このため、人文科学、自然科学は「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ 日本史・世界史(文学・芸術)の基礎」「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ 社会・地理(思想)の基礎」「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ 生物・地学の基礎」「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ 物理・化学(数学)の基礎」をおすすめします。要点整理と問題演習が一体となった速習型の教材です。

「20日間で学ぶ」は、出題数の低い科目を典型的な基本問題に絞った攻略を行うのに最適です。要点整理を読み込んで、過去問に取り組みます。学習時間に限りのある方は、最重要なテーマや無印の基本問題に絞っても構いません。

面接対策

国税専門官・財務専門官とも人物試験は個別面接です。

面接・官庁訪問の秘伝」は、自己分析を通じて自分のコアな部分を作り、あらゆる質問に対応できるアプローチを解説しています。

公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は面接官=採用する側の事情や本音を読み解き、採用側の意図から望ましい回答を導く手法を解説しています。

2冊の対照的な参考書を読み込むことで、自分自身の準備や心構えと、面接試験を課す側の評価基準を探り当てるという面接対策が実現します。国税/財務の専願なら、秘伝は2章と4章は不要ですし、現職人事は1、3~5章だけで十分です。

このように、面接試験の実態と自分で出来る対策を早期に理解しておけば、その後の模擬面接を余裕を持って受けられます。模擬面接は、大手予備校の利用以外に、大学の学内講座・キャリアセンター、ハローワークなど、各自で必ず受ける機会を確保しましょう。

模試

国税専門官/財務専門官の専願の方には、LECの「地上・国家一般職<行政系>スペシャル模試パック」やTACの「公務員 公開模試」がおすすめです。

もちろん、各回ごとに受験することもできます。模試は受験前年の年末(在学生は大学3年の年末)~本試験の直前まで受験機会があります。なるべく多く受験して、弱点部分の発見と補強に活用しましょう。

過去問演習書/本試験問題集

出題科目を一通りクリアしたら、「国家専門職[大卒]教養・専門試験 過去問500」をおすすめします。専門科目の問題数が少ないものの、直近の過去問を収録した過去問演習書であり、直前期の総合的な実力アップに最適です。

国税専門官・財務専門官の学習計画(半年~1年/専願):まとめ

国税専門官/財務専門官を専願で目指すなら、まずは数的処理、社会科学、専門試験の最重要科目に取り組みます。専門科目は優先順位をつけて取り組み、記述対策は択一対策や入門書を理解した時点ならいつでも始められます。

また、国税/財務では、時事対策が非常に重要です。早期から取り組み、定期的な時事情報のチェックと参考書の読み込みを徹底します。文章理解や資料解釈も出題数が多い重要科目ですが、いきなり過去問から始めても構わない科目です。

面接対策も早期から参考書を熟読しておくと、模擬面接を自信を持って受けられます。人文科学・自然科学・商法・社会事情は最低限の学習で乗り切り、学習時間に限りのある方は苦手科目を学習しないことも考慮します。

一通りの学習を済ませたら、模試の見直しや過去問演習書で、毎日なるべく多くの科目に取り組み、総合的な実力アップをはかります。