衆議院事務局・大卒の平成27年度試験問題(総合職、一般職)

今回は、衆議院事務局・大卒の平成27年度試験問題(総合職、一般職)を講評します。

衆議院事務局・大卒の平成27年度試験問題:総合職

まず総合職の憲法では、「間接民主制のもとで直接請求が国政まで認められるか」という趣旨の課題が出ました。ここでは、法律の制定や改廃に関する発議請求権を問うものです。

これに対し、憲法16条の請願権の規定(請願権は憲法上の権利だと解するのが通説です)や初期議会の歴史的経緯を書いた上で、日本国憲法はこれに基づく発議請求が国会に向けられるべきことを予定していることや、大日本帝国憲法でも比較的整備されていたことから議院法が国会法へ、請願令が請願法へと実質的に改められており、国会経由の請願制度として憲法上の根拠を有しているという趣旨の答案が書ければ十分だと思います。

ちなみに、この課題については、国立国会図書館の月刊の調査論文集「レファレンス」No.665(2006年6月)の「請願制度の今日的意義と改革動向」(田中嘉彦氏)あたりが元ネタだったのではないかと思います。

この問題自体はとても易しい基本問題といえますが、請願権は一般的な公務員試験では詳しく問われることが少ないため、司法試験や法科大学院の受験経験の方にはとても有利に働いたと思います。

行政法は、鉄道利用者に対する原告適格が緩和されつつある状況について問うものでした。原告適格を否定した近鉄特急料金訴訟の最高裁判決は基本書や判例集で学んだ方も多いと思いますが、北総線運賃訴訟(平成26年3月4日、原告が最高裁へ上告して係属中)の下級審判決では原告適格を肯定(請求は棄却)しており、その中身をどこまで書けたかが合否の分かれ目だったかもしれません。

政治学はナショナリズムに関して説明させる問題、経済学はミクロ経済学の費用曲線が出ました。ともに一般的な参考書ではなく、専門書の主要論点を詳しく読み込んでおけば解ける標準~やや難しいという設問でした。

衆議院事務局・大卒の平成27年度試験問題:一般職

一般職の憲法は、「投票価値の平等について、参議院選挙では衆議院選挙よりも緩やかな基準で判断することも許される、という見解について検討しなさい」という趣旨の課題でした。

これは1票の格差に関するとてもメジャーな論点で、これを落とすようでは衆議院一般職の合格は無かったと思います。典型的な基本問題といえますが、判例や見解の違いをどれだけ踏み込んで書けたかという勝負だったと思います。

行政法は、教育研究集会の開催のため市立中学校の使用許可を申請した公立学校の教職員団体Xについて、「教育上の支障がある」として不許可処分を受けた場合、「最も適切な訴訟」、「適法な訴訟がなされた場合の仮の救済手段の要件(3つ挙げよ)や他の訴訟における仮の救済手段との比較」、「参考判例を踏まえてXがなしうる主張」を論じなさい、という問題でした。

これは行政裁量のところで学ぶ、平成18年の呉市学校施設使用不許可事件の最高裁判決をベースにした問題です。判例百選にも掲載されている非常に典型的な重要論点で、多くの方は十分学んできたと思います。

ただし、判決そのものを問うものだけでなく、どんな訴訟が適切か、仮の救済手段を他の訴訟の場合と比較しなさい、といった設問は、判例集だけでなく、該当項目や関連項目に対する有機的な知識が問われます。

この問題は、26年度衆議院一般職の憲法で出た神戸高専剣道実技拒否事件のように、憲法でも行政法でも重要な判例として有名です。2013年度関西学院大学法科大学院(法学既習者)の憲法の入試問題としても出ており、やはり司法試験・法科大学院入試レベルが要求される課題だと思います。

政治学は、「ウェストミンスター型民主主義とコンセンサス型民主主義について、サルトーリの政党制の類型と関連させて述べよ」でした。基本書をしっかりと読んでいれば平均的な答案は書けた基本問題といえます。

経済学は、「なぜ電気料金は二部制なのか」という趣旨の課題でした。費用逓減産業における望ましい価格形成は、限界費用価格形成原理に基づくものです。経済学の参考書なら必ず載っている典型的な項目ですし、非常に容易な基本問題と言えます。

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