市役所(教養のみ)の学習計画(半年~1年)

今回は、教養試験のみが課される(専門試験が課されない)市役所を目指し、初学者が全くの基本から本試験まで独学で取り組む学習計画を取り上げます。対象となるのは、大学3~4年、既卒者、社会人の方々です。

ここでは、本試験まで半年~1年の学習期間を想定しますが、1年半を切った時期ならいつ始めても構いません。初めて公務員試験に取り組む方が試験本番まで独学で行ける学習計画を取り上げます。

なお、今回は、大卒程度の市役所試験を想定しています。このため、教養のみで専門試験が課されない国立大学法人や一部の県庁を目指すことも可能です。このほか、民間経験者採用試験や、理系(技術系)、福祉系・心理系、資格免許職の教養択一試験対策としてもおすすめできる学習計画です。

(以下のリンクは、それぞれの名称によるアマゾン(Amazon.co.jp)の検索結果ページを含みます)

数的処理(判断推理、数的推理)

教養試験で最も大きなウェイトを占め、暗記では通用しないのが数的処理(判断推理、数的推理)です。判断推理・数的推理を合わせて、出題数の3割を占めることが一般的な最重要科目です。

数的処理は、「新スーパー過去問ゼミ5 判断推理」「新スーパー過去問ゼミ5 数的推理」をおすすめします。要点整理と過去問演習が一体となった過去問集であり、初学者でも全くの基本から本試験まで一貫して対応できる良書です。

スー過去は、1回目は要点整理を確認し、代表的な例題である必修問題だけを解いて、一通りの解法パターンを習得します。2回目以降は、必修問題と過去問演習を繰り返し、本試験に備えます。必修問題と*1つの問題は、必ず自力で解けるようにします。

*2つの問題は、2回も3回も解説を読んでも分からない問題は飛ばして構いませんが、解説を読んで理解できる問題は自力で解けるまで練習を繰り返します。国家総合職と難易度が最も高い*3つの問題は、初めから飛ばして構いません。

必修問題と*1つの問題は絶対落とすべきではない問題です。*2つの問題は、理解できない問題に固執する必要はありませんが、何も見ないで解ける問題を1つでも多く増やしていくことが合否を左右すると思います。

その一方、スー過去には、学習効果の高い問題にアイコンがついています。ここまで取り組む余裕の無い方は、必修問題とアイコン付きの問題に取り組むだけでも、最低限の学習にはなります。もちろん、国総や難問は飛ばして構いません。

数的処理(判断推理、数的推理)は、解法のパターンを習得して、実際に自分で解く必要がある科目です。出題数を考慮すると、試験勉強の初期から真っ先に取り組むべき最重要科目といえます。

社会科学

社会科学は一般知識(知識分野)のなかで取りこぼす受験生が最も少なく、時事問題も含まれることから、最優先で取り組むべき科目です。政治・法律、経済、社会/社会事情・時事にまんべんなく取り組みます。

社会科学は、「公務員試験過去問新クイックマスター 社会科学」をおすすめします。要点整理と過去問演習が一体となった過去問集であり、初めて学ぶ科目でも基本事項から本試験まで使えるメイン教材です。

「クイマス」は過去問集にしては要点整理が詳しめですし、標準問題を重視しています。高校の教科書~センター試験レベルの問題が中心の一般知識では、最適なメイン教材といえます。クイマスの場合も、1回目は要点整理を読み込み、必修問題に取り組みます。

2回目以降は、必修問題と過去問演習を繰り返します。必要に応じて要点整理も補充します。クイマスでは、過去問ごとに基本レベル/応用レベル、および、試験ごとの頻出度が表示されています。

クイマスの場合、必修問題と基本レベルの問題は必ずこなすべきです。応用レベルの問題は、市役所志望の方は「地上」、国立大学法人の方は「国立大学法人」を参照し、頻出度が星1つの問題は飛ばしても構いません。

応用レベルの問題は、解説を何度読んでも理解できない問題は飛ばしても構いませんが、解説が理解できる問題は自力で解けることを目指します。必修問題と基本問題は出来て当然まで持っていくべきですし、応用問題では何も見ないで解ける問題を1つでも多く増やすことが出来るかどうかが、合否を左右すると思います。

社会科学は取りこぼしが許されず、後述する時事対策と一体とみなし、試験勉強の早期から取り組むべき重要科目です。

文章理解

文章理解は、大半の市役所では現代文と英文が2~4問ずつ合計6問、古文は1問です。現代文と英文だけ学習すれば良く、古文は学習の負担と出題数を考慮すれば、学習しない受験生が多い科目です。

文章理解はまず、「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」の必修問題を解いてみましょう。現代文と英文を何問かづつ解いてみて、感触を掴みます。

ここで、英文を読むのが遅い、あるいは、分からない英単語がいくつかあると感じた場合は、「速読速聴・英単語 Core 1900」をおすすめします。大学受験で使った経験がある方なら、「速読英単語(2)上級編」のほうに替えても構いません。

どちらも、やや長めの英文を多数収録し、速読の練習と単語力の強化が両立できる良書です。不安のある方は、まずは試験勉強の早い時期には、どちらかの参考書に取り組みます。

文章理解自体は、暗記すべき要素がほとんど無い科目です。習うより慣れろの感覚で、いきなり過去問集から始めても構いません。やはり「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」がおすすめです。

スー過去をやりきった方は、「公務員試験過去問新クイックマスター 文章理解」または「市役所上・中級 教養・専門試験 過去問500」に入っても構いません。

文章理解は、早期から行う必要はありませんが、出題数も多い重要科目です。現代文と英文を毎日1~2問づつ、1日あたりの学習時間は少なくても良いので、試験本番まで勉強しない日を作らず、問題を解く勘を鈍らせないようにすることが重要です。

人文科学、自然科学

人文科学は日本史、世界史、地理を学習すれば十分です。市役所も国立大学法人も、これらの科目が2~3問づつ、合計6~7問出ることが一般的です。

6月実施の市役所で思想が1問、国立大学法人で文学・芸術が1問出る以外は、思想、文学・芸術、国語が課されることが無く、これらの科目は学習する必要がありません。

人文科学のメイン教材は「公務員試験過去問新クイックマスター 人文科学」(2分冊)をおすすめします。社会科学で説明したとおり、解説が詳しめで標準問題を重視した良書です。

人文科学は社会科学ほど優先度が高くないものの、やはり文系の受験生を中心に取りこぼしが少ない分野です。重要科目のめどがついてからで良いので、社会科学と同じ要領で、必修問題~基本レベルの問題は必ず取り組み、応用レベルの問題も自力で出来る問題を増やしていきましょう。

自然科学は、生物が2問、化学、物理、地学、数学が1問づつ、合計6問出ます。これは市役所も国立大学法人も同じです。自然科学は1科目あたりの出題数がとても少なく、後回しにして最低限の学習でも構わない分野です。

自然科学の過去問集は、より丁寧な解説と基本問題が大きなウェイトを占めている「だからカコモンで克服 自然科学」をおすすめします。カコモンは、定型的な基本問題が頻出の自然科学に最適な過去問集といえます。

カコモンを使う場合、要点整理と典型問題は必ず取り組み、1回目はこれに絞って基礎レベルを攻略します。2回目以降は典型問題と過去問演習を繰り返します。市役所の方は「地上」で重要度が高い問題に絞り、国総の問題は飛ばしても構いません。

また、各章の冒頭にテーマ別の出題頻度の一覧があります。科目あたりの出題数が少ない自然科学なら、市役所の方は「地上」で○~◎のテーマだけに絞り込んで取り組んでも良いでしょう。

人文科学は数的処理、社会科学など最重要科目をクリアしたあとならいつ取り組んでも良いと思います。自然科学は後回しにして構いませんし、直前期に集中して最低限の学習に絞り込んでも良い分野です。

時事対策

公務員試験の時事対策には、まずは「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」が受験生に幅広く使われている定番参考書としておすすめです。政治、経済、財政、国際、厚生、労働、文部科学、環境、司法警察、社会問題と幅広い分野から、公務員試験に特化した時事対策を行うことができる良書です。

本書には併用教材として「公務員試験 速攻の時事 実戦トレーニング編」があります。問題ごとの難易度にバラつきがあるため、問題集として出来不出来を気にする必要はありません。むしろ、時事問題の出題可能性が高い項目が分かる貴重な参考材料としておすすめです。

トレーニング編のほうは、重要な時事用語から約400語をスマートに解説しています。速攻の時事で各分野の基礎知識を理解したら、トレーニング編を強力な時事用語集としてキーワード対策をこなすことができます。

また、「直前対策ブック 実務教育出版」は、公務員試験では頻出なのに受験生が見落としがちな白書、法改正&新法、重要判例、各種統計やデータを非常によくまとめており、直前期の時事対策の補強に役立ちます。

時事対策は、公務員試験では特に重要です。市役所においては、社会科学や社会事情として出題される場合もありますし、論文試験のテーマ対策にもつながります。時事対策はいつ始めるかというよりも、学習期間を通じて随時行うべき学習といえます。

資料解釈

資料解釈は市役所でも国立大学法人でも1問です。無理に学習すべき科目ではありませんが、いきなり過去問演習から始めて構いませんし、比較的容易に点が取れる科目でもあります。

資料解釈は文章理解と同じ時期に同じ要領で、「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」から毎日1~2問程度、コツコツと解けば容易に解ける科目です。勉強しない日を作らず、問題を解く勘を失わないようにします。

とはいえ、出題数を考慮すれば、資料解釈は他の科目の学習時間を割いてまで取り組む必要の無い科目といえます。

論文対策

論文試験 頻出テーマのまとめ方」はとにかく受験生の間でよく使われている定番の参考書としておすすめします。ただし、情報量が膨大で、要求される記述や答案例のレベルがやや高度すぎるため、挫折率が高い参考書でもあります。

とはいえ、本書は実に豊富にさまざまなテーマから最新の過去問を掲載し、全国自治体の実際の出題例を数多くカバーしています。論文試験の過去問集やケーススタディとしては、なかなか本書に代わる参考書は無いと思います。

このため、答案例は参考程度に読む程度で構いませんし、直近の出題傾向を知り、テーマ別の知識をしっかり叩き込む論点集と割り切って、試験勉強の早いうちから読み込んでいけば、大きな学習効果が得られる良書としておすすめします。

なお、本書は過去問分析やテーマ別対策として優れた参考書ですが、基本的な論文のルールや、実践的な文章の組み立て方・書き方に関する説明がありません。このため、「1週間で書ける!! 公務員合格作文」をおすすめします。

「1週間」は、第1編で時間配分・分量、段落、キーワード、接続詞と言った形式面から論文の基本的なルールを解説し、形式を整えることで「減点されない」答案づくりを丁寧に解説しています。

第2編では、課題に対して全体像を把握し、まず現状を定義付け、背景から問題点を浮かび上がらせ、問題点と自己主張を結びつけることで結論にもっていくという、内容面から合格に結びつく論文の組み立て方・書き方をわかりやすく説明しています。

このように、「1週間」は、論文試験のあらゆる課題に対応できる書き方を身につけることができる非常に優れた参考書としておすすめします。こうした参考書を先行して読み込んでおくと、実践的な練習がやりやすくなります。

なお、「1週間」の第3編は論点集であり、「頻出テーマのまとめ方」を使っている方は飛ばしても構いません。「まとめ方」を挫折した方なら、「1週間」の第3編でも、地方の市役所専願であれば、最低限知っておくべき典型課題の基礎知識は習得できます。

このように、過去問分析とテーマ別対策は「まとめ方」、合格答案の作成方法は「1週間」を使って、なるべく早期から理解しておきます。これをやっておくと、あとになって答案練習が優位に進められると思います。

答案練習は、大手予備校の利用でなくても、大学の学内講座・キャリアセンター、あるいは、知り合いの方にお願いするなどの形で、早期からでなくても良いので、必ず添削指導を受ける機会を確保すべきです。

面接対策

市役所では面接試験が課されることが一般的です。試験形式は自治体によって異なり、個別面接、集団面接のほか、集団討論を課す自治体も見られます。なお、地方公務員で官庁訪問が課されることはありません。国立大学法人には機関訪問があります。

面接対策には2つの参考書をおすすめします。自己分析によって、自分のコアな部分を作ることで、あらゆる質問へ対応する手法を取り上げた「面接・官庁訪問の秘伝」、面接官の事情を明らかにし、採用する側が要求する回答を導くアプローチの「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」です。

どちらの参考書も基本的な面接試験の流れや基本的なルール・心構え・準備すべきもの、具体的な項目ごとの想定問答集があり、1つの質問に対して複数の回答例を提示してその是非を検討しており、受験生がさまざまな見方で検討するのに最適です。

2つの参考書は、自分が出来る備えを行うことでさまざまな質問に対応できる軸を作る「秘伝」、採用する側の背景事情を考察し、どんな人材が求められ、それが面接試験という形で端的にいえば何か、というアプローチで、コンピテンシーや圧迫面接にも対処できる「現職人事」という、非常に好対照な面接対策を取り扱っています。

この2冊の参考書を、学習期間の早いうちから繰り返し熟読することで、面接試験に対する自分なりの強力な方針が身につきます。

市役所の受験生なら、「秘伝」は1章で基本を確認し、官庁訪問に関する2章は飛ばして、面接対策の中核となる3章では、「コア」な部分の作り方や想定問答集など、早期から何度も読み込みましょう。4章は、集団討論が課される方は読んでおきましょう。

また、「現職人事」は、1章は最低限の当たり前の事柄を確認し、2章は官庁訪問以外の部分を参考に読み込みます。3章で、面接官が何を思ってどこを評価基準にしているか、あるいは、コンピテンシー面接への対処法をしっかり理解します。4章が想定問答集、5~6章も参考にして欠かさず読んでおきます。

こうした早期から参考書を熟読しておくと、あとになって模擬面接を心のゆとりを持って臨むことができます。模擬面接は早期でなくても構いませんが、大手予備校の利用のほか、大学のキャリアセンター、ハローワークなど必ず練習する機会を確保しましょう。

なお、市役所の方は官庁訪問が無いため対策は不要ですが、国立大学法人の方は機関訪問があります。「国立大学法人等職員採用試験攻略ブック」が毎年改訂される貴重な情報源として、国立大学法人受験の方は必ず入手しましょう。

過去問演習書/模試

各科目の学習を一通りクリアしたら、「市役所上・中級 教養・専門試験 過去問500」をおすすめします。直近の過去問を豊富に掲載した総合問題集であり、直前期に一気にこなします。

国立大学法人では、先ほどの「国立大学法人等職員採用試験攻略ブック」が実際の過去問を豊富に掲載しています。

また、市役所や国立大学法人の模試としては、LECの「地上・国家一般職<行政系>スペシャル模試パック」やTACの「公務員 公開模試」がおすすめできます。

もちろん、模試はパックではなく、各回ごとに申し込むことができます。科目別の学習を一通りこなしたあとは、過去問演習書や模試のように、なるべく一度に多くの科目を解く機会を設け、総合的な得点力のアップをはかることが重要です。

市役所(教養のみ)の学習計画(半年~1年):まとめ

市役所教養の方は、まずは数的処理と社会科学の攻略が最優先です。文章理解も幾つか問題を解いてみて、不安なら単語集を先にこなしておきます。

文章理解や時事問題も、重要な分野です。文章理解は数的処理や社会科学の理解のめどがついたらいつ始めても構いません。時事対策、論文対策、面接対策はいつ始めるかということではなく、スキマ時間も含めて参考書をどんどん読み込んでおきましょう。

人文科学は社会科学のあとに取り組んで構いませんが、日本史、世界史、地理を手堅く取れるように学習します。自然科学や資料解釈は優先度は低く、最低限の学習でテーマを絞った学習でも構いません。

各科目の理解のめどがついたら、過去問演習書や模試に着手して総合的な実力の引き上げをはかります。論文試験や面接試験の直前期には、添削指導や模擬面接の機会を必ず確保しましょう。

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