スピード解説(実務教育出版)

今回取り上げる公務員試験の参考書は実務教育出版の「スピード解説」シリーズです。実務教育出版では「早解き」×「早回し」で短期攻略できる、公務員試験対策の新シリーズとして打ち出しています。

このシリーズは、項目ごとの解説と問題演習で構成されており、過去問をベースにして1冊で各科目が理解できる教材です。公務員試験では一般的な「過去問集」と呼ばれる教材ですが、同種の教材に比べて基本問題に絞った教材といえます。

実務教育出版では、同社の定番メイン教材「スー過去」などにいきなり取り組むのはしんどいという方や、市役所しか受験せず国家公務員の過去問は不要という方向けに推奨しています。

「スピード解説」を読むと、標準的な大卒公務員試験の6~7割程度の網羅性であり、実務教育出版では地方上級、国家一般職大卒、市役所向けとしています。

しかし実際読むと、難化傾向にある地方上級や国家一般職大卒では、本書をメインにするのは、絶対合格を目指す方には容量不足では無いかと思います。国家公務員も含め、大半の大卒公務員では確実に受かりたいのなら、スー過去やクイマス(LEC)など、もっと本格的で網羅性の高い過去問集を使うべきだと思います。

その一方、現実的に試験まで時間が無い方が基本的な頻出問題をざっくりとクリアできる教材としてはおすすめできます。特に、政令指定都市や中核市以外の一般的な市役所だけを受験する方なら、本書をメイン教材に替えることも選択肢になるでしょう。

ただし、政令指定都市以外の一般的な市役所といっても県庁所在地、中核市を中心に、規模の大きな市役所になればなるほど、地方上級(都道府県、政令指定都市)や国家公務員と併願する受験生が多くなる傾向が見られます。

こうした受験生は、一般的な市役所における標準~難問であっても、それなりに解けるだけの実力を身につけています。こうした方々と競合する可能性の高い都市部の市役所では、確実に合格を目指したいと思うなら、やはりスー過去やクイマスのほうが良いと思います。

スー過去やクイマスでは、代表的な例題とは別に最低限取り組むべき問題が明示されており、これらをこなすだけでも、一般的な市役所なら一通りの対応が出来ると思います。

このほか、「スピード解説」は基礎問題に特化したスマートな過去問集ということもあり、志望先によって出題数が非常に少ないマイナー科目について、最低限の学習で良いからサッと済ませておきたい科目がある場合には、とてもおすすめできる教材といえます。

これとは別に、「スピード解説」は、本格的なメイン教材に取り組む前に、全くの初歩から基礎部分を固める入門書・導入本としておすすめします。大学2~3年のうちに各科目の基礎を習得しておきたい方には十分おすすめします。

本書は2015年発売開始で、憲法、数的推理、文章理解の3冊から出版されています。その後、行政法、資料解釈など順次発売されており、現在では公務員試験の主要な科目が一通り出版されています。

このように、「スピード解説」は主要科目のメイン教材としては容量不足でおすすめしにくいのですが、マイナーな科目を効率重視で済ませたい場合や、大学2~3年のうちに初めて学ぶ科目の導入本・入門書としてはとてもおすすめできる良書だと思います。

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