横浜市(大卒・事務)の参考書

今回は、横浜市(大卒・事務)の参考書を取り上げます。一次試験で教養試験、二次試験で専門時事論文と面談、三次試験で面接が課されており、以下の通り独自の公務員試験となっています。

一次試験
教養試験:択一式、2時間50分、60問全問解答
二次試験
専門時事論文:法律、政治、経済、経営、社会、教育の各専門分野における時事的課題についての記述式試験(6分野中1問選択解答、1時間)
面談:個別面談(一部屋に3~5組、机をはさんだ対面式)
三次試験
面接:個別面接

横浜市(大卒・事務)では、それぞれの段階の合否判定に、それぞれの試験の配点比率を以下のように定めています。

  • 一次試験の合否判定:一次試験の教養試験610点満点
  • 二次試験の合否判定:二次試験の面談200点満点、専門時事論文100点満点として判断(一次試験の結果は考慮しない)
  • 三次試験の合否判定:一次の教養試験15点満点、二次試験の面談30点満点、専門時事論文15点満点、三次試験の面接600点満点として判断

このように横浜市は、一次→二次→三次試験と進むにつれ、面接試験・面談試験の配点比率が圧倒的に高くなることがわかります。

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今回は、地方上級、市役所大卒、国家一般職大卒の参考書を取り上げます。必ずこなすべきメイン教材や、分からなかったところが出てきたときに助けとなる参考書、演習量の上積みとなる演習書を紹介します。

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必ずこなすべきメイン教材(択一対策)

一般的な公務員試験では、択一式試験で教養試験(基礎能力試験)・専門試験合わせて十数科目を短期間で習得する必要があります。このため、知識や解法を理解しながら過去問演習ができる「過去問集」と呼ばれるメイン用途の教材が各社から出ており、まずは真っ先にこれに取り組むことが定石といえます。

なお、独自試験を課す横浜市の教養試験で比率がとても高いのは、数的処理(数的推理、判断推理)、社会科学、文章理解の3分野です。また、横浜市の教養試験では、他の公務員試験とは異なり、社会科学で専門科目から出題されています。必ず、憲法、行政法、経済学(ミクロ経済学、マクロ経済学)に取り組みましょう。

スー過去

新スーパー過去問ゼミ5」(実務教育出版)は、基礎知識や解法のインプット部分と、項目別に無理なく整理された過去問演習が一体となった、「過去問集」と言われるオールラウンド型教材です。初学者でも本試験直前まで使えるメイン教材の定番といえます。

本書は横浜市はもちろん、大卒程度の公務員試験に最も幅広く対応できる科目別教材です。全く学習経験の無い科目でも、基本事項を習得しながら本試験までに過去問演習を1冊で済ませることができます。

公務員試験では、教養試験だけでも10科目以上を短期間でこなす必要があります。このため、インプットとアウトプットが一緒になった「過去問集」と呼ばれる一体型教材で、科目別に一通り効率良くこなすことが定石といえます。

過去問集は各社から良い教材が出ていますが、どれか迷うようであれば、まずはこの「スー過去」がおすすめです。教養・専門合わせて科目別に20冊以上出ており、地方上級・市役所大卒や国家一般職大卒はもちろん、非常に幅広い公務員試験に対応できます。

特に横浜市の場合、教養試験の各分野・各科目に取り組むだけでなく、先述通り、憲法、行政法、経済学(ミクロ経済学、マクロ経済学)にも取り組みましょう。過去問集はどの科目も、知識ゼロから試験本番まで使える優れたメイン教材です。

過去問集はすべての科目を同じシリーズで揃える必要はありません。スー過去が合わなかった科目は後述する他社のものに切り替えて構いません。ただ、「まずはどれから?」という場合、真っ先におすすめできるのがこの「新スーパー過去問ゼミ5」といえます。

クイマス

一方、LEC東京リーガルマインドの「公務員試験過去問新クイックマスター」も、先ほどの「スー過去」と同じコンセプトで構成され、試験勉強の初めから本試験まで使える一体型教材(過去問集)としておすすめできます。

こちらも必要な知識をインプットしながら本試験の過去問演習をこなすことで、初学者が短期間で合格に必要な実力を身につけることができる科目別教材となっています。やはり横浜市はもちろん、地方上級、市役所大卒、国家一般職大卒を中心に、大卒程度の公務員試験に幅広く対応します。

「クイマス」と「新スーパー過去問ゼミ5」を比べると、収録問題の網羅性や厳選した過去問の精度の高さはスー過去が上だと思います。また、クイマスも主要科目は漏れなくおさえていますが、スー過去からは出ている国際関係、経営学、会計学などが出ていません。

その一方、「クイマス」のほうがインプット部分はより優しく、ビジュアル的には見やすくて読みやすい工夫がされています。このため、スー過去では挫折した科目があった場合、これに代わるメイン教材として、「公務員試験過去問新クイックマスター」は十分おすすめできる良書だといえます。

カコモン

TACの「だからカコモンで克服」も、テーマ別に基本事項の習得と過去問演習が効率良く出来る、過去問集と言われる一体型教材です。

本書は他の過去問集に比べ、インプット部分が非常に分かりやすく、イラストや図表を交えてとても詳しく解説されています。ただし、問題部分のほうは、基本問題を重視しており、出題数の多い分野・科目のメイン教材には向きません。

ただし、一般に公務員試験では、自然科学が各科目1問しか出ない場合、どの科目も定型的な基本問題ということが多く見られます。横浜市では自然科学が生物が2問出る程度で他の科目は1問しか出ていません。

このため、「だからカコモンで克服」は、出題数が少なくても基本問題がほとんどで、捨て科目にすべきでない自然科学対策としては、「新スーパー過去問ゼミ5」や「公務員試験過去問新クイックマスター」が合わなかった場合におすすめできる過去問集といえます。

参考書(択一対策)

公務員試験では、横浜市の択一式試験も、過去問集をメイン教材と位置づけ各科目こなすだけで、合格に必要な実力は十分身につきます。ただし、過去問集だけでは理解しにくかったり、解説を何度読んでも過去問が解けない科目の場合には、参考書で補充することを検討すべきです。

参考書は必ず必要なものではありません。まずは過去問集(「新スーパー過去問ゼミ5」や「公務員試験過去問新クイックマスター」など)だけ進めることで、公務員試験の合格は十分可能です。しかし、科目によっては参考書を追加して、知識や解き方の理解を補充することも頭に入れておきましょう。

まるごと講義生中継

スー過去もクイマスもメイン教材の定番教材であり、各科目どちらかをこなすことで、本試験の問題を解くことができる実力を身につけることができます。初学者でも効率よく攻略できる良書ですが、これだけでは分からないという場合、テキストを補助的に使うこともおすすめできます。

このうち憲法や行政法に関しては、TACの「まるごと講義生中継」をおすすめします。TACの人気講師の公務員講義を再現した文体で、知識ゼロの初学者でも非常に分かり易い参考書といえます。

本書は講義調の文体で非常に読みやすく、授業を受けているかのようなライブ感で学習経験が無い科目でも基本から噛み砕いて理解できる良書です。二色刷りでイラストや図表を多用して非常に分かりやすく、一気に読んで各科目のおおまかな概要を頭にいれることもできます。

こうしたことから、まずは過去問集をやってみて、科目によってはついていけないという場合に「まるごと講義生中継」を併用し、解説を読んでも分からなかった問題に関して調べてみたり、知識が足りないと感じたら該当箇所を読み込むといった補助的な使い方がおすすめです。

もちろん、「まるごと講義生中継」は入門書的なテキストですからこれだけで本試験の問題が解けるわけではなく、メイン教材としてやはり過去問集(「新スーパー過去問ゼミ5」や「公務員試験過去問新クイックマスター」など)で、徹底した重要事項の確認と過去問演習を欠かさないようにしてください。

経済学の参考書

横浜市は教養試験(択一式)で経済学(ミクロ経済学、マクロ経済学)が出ています。やはり過去問集だけで対応できますが、それだけでは難しいという方は、参考書の併用も検討すべきでしょう。

経済学は、ある程度体系的な理解が必要ですし、単純な暗記では通用しない問題が含まれます。こうした問題も、過去問集(「新スーパー過去問ゼミ5」や「公務員試験過去問新クイックマスター」など)だけで解けるようになりますが、時間的な余裕があれば、参考書を併用するとスムーズに理解できます。

こうした用途の参考書は、過去問集が自力でこなせる方には不要です。しかし、過去問演習で躓くことが多い場合は、インプットの補充として、以下の3つのシリーズから1つ選んで追加することをおすすめします。

1.「速習!経済学 石川秀樹」(速習!マクロ経済学、速習!ミクロ経済学、基礎力トレーニング(マクロ&ミクロ)の3分冊)は、3つのなかで最も網羅性が高く、踏み込んだ内容を含んでいます。時間的余裕があり、経済学を得点源にしたい方におすすめです。

2.「らくらく経済学入門 週刊住宅新聞社」(マクロ、ミクロ、計算問題編、記述・論文編の4分冊)は、3つのなかで最も標準的な内容といえます。地方上級や国家一般職大卒が第一志望で、経済学の攻略に悩む方に幅広くおすすめできます。

3.「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)は、経済学がとても苦手な方におすすめです。3つのなかで最も基本的な内容を重視しており、最低限の得点は確保したい方に向いています。

3つの経済学の参考書それぞれについて、同じ項目でも解法へのアプローチが異なっており、難しいからといって合わないとか、易しい内容だから自分に合うということはありません。このため、1つのシリーズが合わなかったら、他のシリーズを検討することもおすすめできます。

もちろん、これら経済学の参考書も「知識の習得」が中心のインプット本であって、必ずしも必要な教材ではありません。公務員試験の基本は過去問演習であり、最終的には必ず過去問集(「新スーパー過去問ゼミ5」や「公務員試験過去問新クイックマスター」など)に取り組んで、重要事項の理解と過去問演習を徹底して行いましょう。

解法の玉手箱(数的推理/判断推理)

横浜市の教養試験は、数的処理(数的推理、判断推理)の出題数がとても多い試験です。過去問集だけで乗り切れないという方は、基本的な解法パターンを習得できる問題集を基礎固めに活用しましょう。

数的推理と判断推理も、単純な暗記が通用せず、求められる解法パターンが一定の範囲のなかから課される科目です。しかし、数字が出てきただけで苦手意識を持つ方や、計算や論理的思考に慣れないという方も少なくありません。

数的推理も判断推理も、過去問集だけでこなせる方もたくさんおられます。その一方で、算数や数学の知識が抜けていたり、何度過去問を解いてもできないという方には、入門書として実務教育出版の「玉手箱」シリーズ(数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱判断推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱の2分冊)がおすすめです。

この参考書は、小・中の算数・数学レベルのうち数的推理・判断推理に必要な部分だけを抽出して無理なく学び直しが出来る良書です。それとともに、本試験で出題される問題を、必要な解き方のパターンごとに類型化した問題部分で、あらゆる解法を駆使できるようになります。

数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱」「判断推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱」は、数的推理や判断推理の本試験を解くのに必要な知識と解法を、ごく基本的な典型問題の練習を通じて全く学習経験が無い時点から習得できる入門書です。過去問集がさっぱり解けない方には、基礎固めの定番として十分おすすめできます。

もちろん、これら定型問題だけをやっていたのでは本試験には足りませんし、この参考書をこなす場合でも、最終的には過去問集(「新スーパー過去問ゼミ5」や「公務員試験過去問新クイックマスター」など)で本格的な問題演習を欠かさないようにしましょう。

文章理解の英単語集

横浜市の場合も他の同様の公務員試験と同じく、文章理解の英文は高校の教科書~センター試験レベルが中心です。高校・大学受験や英語の資格試験(TOEIC、英検など)でしっかりした学習経験のある方であれば、いきなり過去問集から進めても難なく解けると思います。

その一方、まずは過去問集を解いてみて、語彙・速読・文法など英語力に不安を感じた方には、「速読速聴・英単語 Core 1900」をおすすめします。または、大学受験で使った経験があるなら、「速読英単語(2)上級編」でも構いません。

どちらか1冊で良いのですが、両書とも比較的長めで良質の英文を多数掲載し、単語力だけでなく速読力も含めた英語力を身につけることができる良書です。英単語集ではありますが、公務員試験に必要な英語力を固めるのに最適な参考書といえます。

公務員試験の英文は長めの課題文ですが、文法や構文的にはさほど高度で難解な内容が盛り込まれず、早く正確に読む速読力と、標準的な語彙さえ理解できていれば、さほど難しい英文ではありません。

このため、大学受験や英検、TOEICなどの学習経験があれば、過去問集(「新スーパー過去問ゼミ5」や「公務員試験過去問新クイックマスター」など)だけでも十分に公務員試験に対応できる実力が身につきます。ただし、過去問の英文がうまく読み取れないという方は、こうした英単語集を追加して基礎固めを並行することをおすすめします。

専門時事論文の傾向と対策

専門時事論文は、横浜市特有の試験種目です。法律、政治、経済、経営、社会、教育の6つの専門分野から時事的な課題を1題選んで解答します。各分野の専門科目の理解に加え、時事的な問題意識が要求されます。

過去問に出題された実際の問題は、以下の通りです。

法律
(1)契約自由の原則とその修正について「電気の需給契約」を例に説明しなさい。 (2)(1)を踏まえて、電力行政について法的観点からあなたの考えを述べなさい。
(1)日本国憲法で保障されている生存権について説明しなさい。(2) (1)を踏まえ、現代社会での孤立死(孤独死)について自由に論じなさい。
(1)行政訴訟(行政事件訴訟)の一類型である民衆訴訟について説明しなさい。 (2) (1)を踏まえ、日本で、これまで多くの選挙訴訟が提起されてきたことについて、あなたの考えを述べなさい。
政治
(1)衆議院、参議院の比例代表選挙では、ドント方式による議席配分が行われている。下記の政党に対してドント方式で議席配分を行った結果を示すと同時に、なぜその結果が比例代表制と呼べるのかを説明しなさい。総定数:5議席 得票:A党12,000 B党7,500 C党3,300 D党1,200 (2)各県に1議席ずつ配った後に最大剰余方式で議席配分を行っているために、衆議院小選挙区には著しい定数不均衡があるが、それに対する容認論も散見する。容認論を紹介するとともに、あなたの考えを述べなさい。
(1)日本の地方財政調整制度について、具体的な内容を述べなさい。 (2) 地方分権の理念に基づき、日本の地方財政調整制度を評価しなさい。
(1)比較政治学的な知見を踏まえ、二院制の意義を説明しなさい。 (2) (1)を踏まえ、日本の二院制を評価しなさい。
経済
(1)外部性について説明しなさい。(2)産業用ロボットの生産はどのような外部性をもたらすと考えられるだろうか。また、この外部性を内部化するために政府はどのように働きかけることができるかについて、あなたの考えを述べなさい。
(1)比較優位について説明しなさい。(2)(1)を踏まえ、日本によるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の締結について、あなたの考えを述べなさい。
(1)家主が借家人請求する家賃に対して、政府が上限を設定すると仮定する。このような家賃規制が賃貸アパート市場に対して与える影響について、需要曲線と供給曲線を用いて説明しなさい。(2) 家賃規制の導入から借家人はどのような影響を受けると想定されるか、あなたの考えを述べなさい。
経営
(1)「イノベーション(革新)」について具体的な内容を述べなさい。 (2)「イノベーション」に関する事例を挙げ、あなたの考えを述べなさい。
(1)日本企業が関わるクロスボーダーM&A(国境を越えた企業合併・買収)について、近年の動向、その背景及び問題点を説明しなさい。(2)(1)の説明内容を踏まえ、国内市場での日本企業の今後の経営活動のあり方について、あなたの考えを述べなさい。
(1)純粋持株会社という組織形態のメリット及びデメリットについて説明しなさい。(2) (1)を踏まえ、日本企業の純粋持株会社経営のあり方について、あなたの考えを述べなさい。
社会
(1)近代社会における「伝統」の意味について説明しなさい。単なる「伝統芸能」や「文化遺産」ではなく、私たちの思考や行動に影響を及ぼす「伝統」に注意して説明すること。(2) (1)の「伝統」を踏まえて、グローバル化が進む現代社会における人間のアイデンティティについて、あなたの考えを述べなさい。
(1)「リスク」とは何かを述べたうえで、現代社会における「リスク」の特徴について説明しなさい。 (2) (1)を踏まえ、リスク対策について具体例を挙げ、あなたの考えを述べなさい。
(1)近年、不安定就労(非正規雇用、フリーター等)の問題が深刻化している。不安定就労が増加した要因について、経済的不況や個人的選択だけに括られない「社会構造的」な背景を説明しなさい。 (2) 不安定就労の問題を改善するためにどのような取組みが必要か。企業・政府・自治体(地域社会)が行っている対策の実例を挙げ、あなたの考え(評価)を述べなさい。
教育
(1)人間にとっての「社会規範」の意味について説明しなさい。(2)近年、青少年の規範意識の低下が指摘され、学校の道徳教育に対する関心が高まってきている。このことについて、あなたの考えを述べなさい。 
児童相談所への児童虐待の相談件数が増加し、乳幼児の死亡事例が顕著であるなど、児童虐待は緊急の課題である。(1)児童虐待とは何か、我が国の「児童虐待の防止等に関する法律」に基づいて、説明しなさい。(2)乳幼児の子育て家庭が養育困難に陥る要因を整理し、地域社会はどのような支援が可能か、あなたの考えを述べなさい。
(1)「道徳の教科化」とは何かを述べた上で、問題点を説明しなさい。 (2) (1)の説明内容を踏まえ、現代社会における子どもの道徳性育成について、あなたの考えを述べなさい

過去問を見ると、法律は憲法(生存権)、行政法(民衆訴訟)、民法(契約自由の原則)と幅広く出題されて対策が難しく、政治は国会議員の選挙制度、地方財政調整制度、二院制と政治学から出ており、行政学の知識もあると更に良いですが、比較的取り組みやすいと思います。

経済は外部性、比較優位、価格の上限(家賃規制)と、テーマ自体は経済学の基本事項ですがこれを時事的な実践例において説明させる点で難易度がやや高いといえます。経営はイノベーション、クロスボーダーM&A、純粋持株会社経営とタイムリーな課題ですが、比較的やりやすい分野といえます。

社会は、伝統と人間のアイデンティティ、現代社会のリスクと対策、不安定就労と対策と、社会学の基本を踏まえて現代的な課題を記述する必要があります。教育は、社会規範と学校の道徳教育、児童虐待と地域社会の支援、道徳の教科化が出ています。

ここまで見ると、比較的やりやすいのは政治、教育、社会、経営、難しいのは法律、経済だと思います。どの分野にせよ、ある程度専門科目と時事的問題の理解を両立させる必要があるといえます。

直近の出題例では、経済では産業用ロボット、TPPなど、経営ではイノベーション、M&Aなどの時事テーマがあります。専門科目で学んだ基本理論や学説を取り上げながら、問われた時事的課題に対して自分の考えをまとめていくことがポイントといえます。

専門時事論文の参考書

ここまで過去問を見てきた通り、横浜市の専門時事論文は、以下の各専門科目に時事対策を加味して取り組む必要があるといえます。

  • 法律:憲法、行政法、民法
  • 政治:政治学、行政学
  • 経済:経済学(ミクロ経済学、マクロ経済学)
  • 経営:経営学
  • 社会:社会学
  • 教育:教育学

横浜市の専門時事論文は、どの分野も小問2つで構成され、1つ目がいわゆる説明問題、2つ目がそれを踏まえた時事問題という傾向が見られます。難解な事例問題が出ることは無く、入門書で重要事項や専門語句をまとめた上で、専門記述に特化した参考書に取り組めば、強力な試験対策になります。

入門書は各科目を一通りまとめられるものの、あくまでもテキストです。専門記述対策の参考書は論点整理がしやすいものの、あくまでも頻出項目に絞った論点集です。両者を併用することでそれぞれの長所を活かし、数多くの論点をクリアするべきでしょう。

もちろんこれに加え、後述通り時事対策は必ず行うべきです。

憲法、行政法、民法の参考書

憲法、行政法、民法の入門書は、TACの「まるごと講義生中継」シリーズをおすすめします。大手予備校TACの授業を再現したような講義調の文体で、非常に分かり易くて読みやすい参考書といえます。

本書は、授業を受けているかのようなライブ感で、知識ゼロの初学者でも初歩から理解できる良書です。イラストや図表も多くて二色刷りで見やすい工夫もされており、真っ先に読み込む導入本として最適です。

その一方、入門書をクリアしたら、憲法は「公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ 実務教育出版」、行政法は「公務員試験論文答案集 専門記述 行政法」がおすすめです。どちらも横浜市においても、主要な論点は一通り抑えられる良書といえます。

民法は、「公務員試験 専門記述式 民法・行政法 答案完成ゼミ 実務教育出版」をおすすめします。こちらは最低限の論点をカバーできるタイプの参考書ですが、他の科目と同様、入門書(「まるごと講義生中継」)と併用することで主要な項目を整理すると良いでしょう。

政治学、行政学、社会学、経営学の参考書

政治学、行政学、社会学、経営学の入門書としては、「公務員Vテキスト TAC」シリーズがおすすめです。大手予備校TACの講義で使われる標準テキストですが市販もされており、独学でも十分に使える良書といえます。

政治学、行政学、社会学、経営学に関しては、特に論点整理集のような専門記述に特化した参考書は市販されていませんが、横浜市や東京都1類Bなどの専門記述試験は、Vテキスト1冊で十分だと思います。

特にVテキストは、他の入門書とは異なり、冗長で無駄な記述が無く、重要項目を簡潔かつストレートに説明しています。横浜市でも難解な事例問題が出ることは無いため、このようなスマートな入門書1冊で基礎固めから論点整理まで出来ると思います。

これらの科目は法律科目や経済科目と異なり、論理的な思考が要求されることは少ないのですが、暗記すべき量が多い科目といえます。このため参考書は、法律系科目なら「まるごと講義生中継」がおすすめですが、政治学、行政学、経営学、社会学には「公務員Vテキスト TAC」のほうがおすすめだといえます。

経済学の参考書

経済学の入門書としては、以下の3つから1つ選ぶことをおすすめします。

1.「速習!経済学 石川秀樹」(速習!マクロ経済学、速習!ミクロ経済学、基礎力トレーニング(マクロ&ミクロ)の3分冊)は、3つの参考書のなかで取り扱う領域が最も幅広く、経済学をまんべんなくしっかり取り組んでおきたい方に向いています。

2.「らくらく経済学入門 週刊住宅新聞社」(マクロ、ミクロ、計算問題編、記述・論文編の4分冊)は、3つのなかで最もバランスの取れた内容です。横浜市、東京都や地上、国一、市役所など志望の方が目指すべきひとつの目安といえます。

3.「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)は、3つのなかで最も基本的な内容を重視しています。本書でも最低限の論点を抑えるには十分だといえます。

3つの経済学の入門書は、同じ論点でも解説のアプローチが異なっています。奥深い論点だからといって難しいとか、よくある論点だからといって易しいとは限りません。このため、どれか1つの入門書が合わなかったら、他の入門書に替えることも十分おすすめできます。

経済学は入門書をクリアしたら、専門記述対策の参考書として以下の2つをおすすめします。もちろん、どちらか一方で構いませんし、入門書との併用が効果的です。

1.「試験攻略 新・経済学入門塾 論文マスター編」は一定の難問にも対応できる高度な内容を含んでいます。経済学はしっかりやっておきたい方におすすめです。

2.経済学は最低限の論点にとどめるなら「らくらくミクロ・マクロ経済学入門 記述・論文編」をおすすめします。本書でも基本~標準的な論点整理を行うことができます。

教育学の参考書

教育学の入門書としては、「教員採用試験 教職教養らくらくマスター」をおすすめします。教員採用試験向けの要点整理型参考書ですが、特に「教育原理」の部分を重点的に読んでおくと、道徳教育、いじめ、不登校、食育、学校防災など基本的な論点を理解することができます。ただし本書はあくまでも入門書であり、これだけでは足りません。

公務員試験の教育学(教育学概論)は教員採用試験の教職教養と重なりますし、あとは、児童虐待、道徳の教科化、社会規範など、教育に関わる時事的な課題を幅広く、市販の書籍やメディアなどでしっかり追うことが重要な試験対策になると思います。

時事対策の参考書

時事対策は、横浜市では絶対に必要な試験勉強といえます。公務員試験の時事対策に特化した定番中の定番として、「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」に必ず取り組むことをおすすめします。

「速攻の時事」は、政治、経済、財政、国際、厚生、労働、文部科学、環境、司法警察、社会問題を幅広くカバーしており、毎年最新版に改訂される参考書です。特に、公務員受験生が敬遠しがちな経済や財政に関するデータも本書で整理することができます。

横浜市の場合は、時事問題が教養試験や専門時事論文で出ることはもちろん、面談や面接試験でも問われる可能性を考慮し、「速攻の時事」だけでなく、それぞれの試験種目の内容に沿った情報をしっかりと追い続けることに留意しましょう。

面接試験/面談試験の参考書

横浜市はエントリー(受験申込)の時点で、面接で使われるエントリーシートを作成する必要があります。シート作成の4~5月と実際に面接を受ける7月では時間的間隔が大きく、エントリーシートを徹底的に考えて作り上げなくてはなりません。

特に面接の配点比率が非常に高い横浜市では、エントリーシートの作成は入念な準備の上で十分に考え、「話せる面接」に持ち込む必要があります。さらに過去の傾向から言えば、エントリーシート作成に加え、横浜市の市政研究も行いましょう。

横浜市の場合も、面接試験の参考書としては、以下の2冊をおすすめします。特に横浜市であれば、以下の通り面接対策に活かせる目的を考慮して、できれば両方読むことをおすすめします。

1.「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は、国家総合職や国家一般職の面接試験、官庁訪問、集団討論を想定した面接本ですが、横浜市をはじめ、地上・市役所大卒の方にも大いにおすすめできる人気の定番参考書といえます。

本書は、公務員試験の面接官の本音=採用する側から見た「求められる回答」へのアプローチや、公務員特有のコンピテンシー面接に触れている点で、国家公務員だけでなく、地方上級や市役所といった地方公務員の方にも必見の参考書といえます。

もちろん、面接試験の準備・心構え、面接カード・個別面接・集団面接・集団討論・官庁訪問の進め方や極意について、基本から実践的な内容をカバーしています。「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は国家・地方問わず、あらゆる大卒程度の公務員受験生におすすめできる人気の面接本といえます。

2.「面接・官庁訪問の秘伝」は、TACの人気講師・山下純一氏による非常にわかりやすく読みやすい参考書です。

本書は毎年改訂されて最新版が出ており、当然横浜市の方にもおすすめですが、国一、地上、市役所、町村役場、国税、裁判所一般職、国家専門職、国家特別職など、国家総合職を除く大卒程度の公務員試験を対象にした定番参考書です。個別面接はもちろん、集団面接、集団討論や官庁訪問にも対応しています。

こちらの本は自己分析を通じて「自分だけのコアな部分」を作り、面接カードやエントリシートの記述から実際の面接の応答に至るまで、一貫したブレない軸をベースに、あらゆる質問や場面に対応しようとする手法を解説した良書といえます。

また、想定問答集が25問掲載されており、回答例は複数のダメな回答と無難な回答が提示され、著者の指摘がポイントとしてまとめられています。このため、徹底した自己分析やセルフシミュレーションなど、より試験本番に近い面接対策本として使えます。

もちろん、面接試験の基本的なマナーや心構えから学べます。「面接・官庁訪問の秘伝」は二色刷りで豊富な図解やイラストを交え、非常に読みやすい面接・官庁訪問の人気参考書です。どんな質問にも対応できる自分のコアづくりというアプローチで、しっかりと備えることが出来る定番のメイン参考書としておすすめします。

ここまで見てきた通り、横浜市は面接や面談という人物試験のウェイトが非常に高く、しっかりと2冊の参考書に取り組むことをおすすめします(もちろん、集団面接、集団討論、官庁訪問など、横浜市と関係無い部分は飛ばして読んで構いません)。

公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は採用する側がどこを評価するのか、その評価を得るためにどんな対策が必要か、「面接・官庁訪問の秘伝」は「自分のコアな部分」を作る自己分析を行うことで、あらゆる質問に対応できる核を作るという、2冊の参考書に取り組むことで、面接や面談の両面から見た対応を理解することができます。