大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)

今回は大卒公務員の教養試験(基礎能力試験)を取り上げます。教養試験は国家公務員や一部の地方公務員では基礎能力試験と言いますが、試験内容は同じです。

教養試験は、区分(職種)ごとに異なる試験内容を課す専門試験と違って、どの区分でも共通の試験内容が一般的です。

このためこの記事も、行政系・事務系、理系(技術系)、福祉系・心理系、資格免許職など、大卒程度の公務員試験ならどの試験区分・職種にも対応します。

今回の記事では、地方上級(都道府県、政令指定都市、東京都特別区)、市役所、国家一般職大卒、国立大学法人、国家総合職、裁事、国税/財務/労基/航空管制官、経験者採用試験、防専/外専、衆・参事務局/国立国会図書館、文教団体職員のあらゆる区分の教養試験(基礎能力試験)に対応します。

数的処理(判断推理、数的推理)

数的処理(判断推理、数的推理)は、教養試験(基礎能力試験)の出題数の3~4割を占め、単純な暗記だけでは通用しないことから、試験勉強の初めから真っ先に取り組むべき最重要分野です。

数的処理の入門書

教養科目のうち、数的処理(判断推理、数的推理)に関しては、入門書として「玉手箱」シリーズ(数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱判断推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱の2分冊)をおすすめします。

玉手箱は数的処理を全く初めて学ぶ方が、公務員試験で必要な範囲に絞った算数・数学の基礎を理解することができます。それとともに、例題と練習問題という形で典型的な基本問題を豊富に掲載し、本試験で要求される解法パターンを一通り習得できる優れた入門書です。

また、後述する過去問集で、過去問を2回も3回も繰り返してるのに解説を見てもさっぱりわからないという方は、入門書を補助的に参照して基本の解法パターンを理解してから、過去問集に戻るというやり方でも構いません。

数的処理の入門書は必須の参考書ではありませんが、本格的なメイン教材に取り組む前に一通りこなしておくと、基礎的な解き方のパターンが頭に入りやすくなる「初めての導入本」としておすすめできます。

数的処理のメイン教材(過去問集)

その一方、数的処理のメイン教材としては、「新スーパー過去問ゼミ5 数的推理」「新スーパー過去問ゼミ5 判断推理」をおすすめします。参考書部分(要点整理部分)と過去問演習が一体となった過去問集と呼ばれるタイプのメイン教材です。

過去問集は、全くの初学者でも試験勉強の初歩から本試験問題を解く力まで身につけることができる完結型教材です。入門書抜きで、いきなり過去問集から着手しても構いません。

過去問集は、1回目はきつくて時間もかかるかもしれませんが、試験勉強の開始から本試験まで、何度も何度も繰り返すうちに、公務員試験の問題を解くのに必要な解法や知識が身につく定番教材です。

本試験レベルの問題が解けなければ、公務員試験に通らないのは同じことです。入門書を使うかどうかは別にして、試験勉強の中心は過去問集と位置づけ、過去問集を徹底的に攻略することをメインに考えましょう。

過去問集は、1冊で基礎から本試験レベルまで習得することを想定したオールラウンド型の教材です。入門書から始めるほどの時間的な余裕が無い場合、過去問集1冊に絞って繰り返すだけでも、本試験に備えることが可能です。

文章理解、資料解釈

文章理解も教養試験(基礎能力試験)では出題数の1~2割を占める重要分野です。ただし、古文は0~1問であり、学習効果も低いことから、無理に学習する必要の無い科目です。英文と現代文に絞って学習すれば十分です。

資料解釈は、国総で2問、国家一般職/外専、国税/財務/労基/航空管制官/防専で3問、東京都、東京都特別区で4問出るため、これらの方は学習すべき科目と言えます。東京都や特別区以外の地方上級、市役所、国立大学法人、裁事では1問であり、無理に学習する必要はありません。

文章理解の入門書(単語集)

文章理解は、まずは過去問集の「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」を買っておいて、現代文と英文の必修問題だけをいくつか解いてみましょう。

過去問集とは、公務員試験の要点整理(ポイント)と過去問演習が一体となった完結型教材です。過去問集だけで、全くの初歩から本試験で通用する実力を鍛えることができます。

このうち文章理解の場合、まずは過去問集で典型的な試験問題に相当する「必修問題」から、現代文と英文を適当に5~6問ずつ選んで解いてみましょう。

ここで、英文を読むのが遅かったり、分からない英単語が多いと感じたら、
速読速聴・英単語 Core 1900」をおすすめします。大学受験で使ったことがあるなら、「速読英単語(2)上級編」に替えても構いません。

どちらの単語集も、比較的長めの英文を豊富に掲載し、英文の速読と単語力の向上が両立できる良書です。どちらもコンパクトなサイズですし、スキマ時間を活用しながら、何度も読み込んで練習するのが賢い使い方だといえます。

ここで英単語集をおすすめするのは、文章理解を解くのに必要な単語力や速読の基礎固めが必要な方です。必修問題を解くのに不安を感じた方は、単語集を追加して公務員試験に必要な単語と速読の練習を併行しましょう。

文章理解、資料解釈のメイン教材(過去問集)

その一方、英単語や速読に自信がある方なら、単語集は絶対に必要ではありません。過去問を解けない方が本試験で通用することはありませんので、単語集を併用するかしないかに関わらず、過去問集は絶対に取り組むべきメイン教材といえます。

文章理解自体は、暗記的な要素が皆無といえます。「習うより慣れる」ことを通じて、問題を解き続ける中で、問題を解くコツを身に付けていくことができる科目です。このため、いきなり過去問集から取り組んで構いません。

文章理解は出題数が多い重要分野ですが、問題を解くコツは忘れやすいため、あまり早くから取り組む必要はありません。とはいえ、本試験まで半年~3ヶ月を過ぎている方は、必ず着手すべきでしょう。

また、資料解釈も、暗記すべき事柄が皆無に近く、問題を解く中で実力が付くという意味で、文章理解ととても良く似た性格の科目です。学習効果が高い科目でもあり、問題練習を続ければ比較的容易に点が取りやすい科目でもあります。

文章理解や資料解釈の過去問集にも「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」をおすすめします。文章理解・資料解釈は初学者でもいきなり過去問集から始めてかまいませんし、問題を解く中で出題形式に応じた解き方のコツに慣れていくことが必須といえます。

文章理解は現代文と英文を毎日1~2問づつ、資料解釈も毎日1~2問づつ取り組みます。本試験まで勉強しない日を作らず、問題を解く勘が身についたら、それを失わないように解き続けましょう。

文章理解は、1日あたりの勉強量は少なくても構いませんが、勉強しない日を作らず、毎日コツコツと解き進めて問題を解く勘を鈍らせないようにしましょう。資料解釈は国家公務員、東京都、東京都特別区、警察官、東京消防庁の方は捨て科目にせず、文章理解と同じ要領で過去問集に取り組みます。

なお、文章理解や資料解釈に早期から取り組んで、スー過去をクリアした方は、同種の過去問集である「公務員試験過去問新クイックマスター 文章理解」および「公務員試験過去問新クイックマスター 数的推理・資料解釈」の資料解釈の部分、または過去問演習書で知られる「過去問500」シリーズから志望先に応じたものに入って構いません。

これらの2冊めの問題集に着手する方も、進め方はやはり同じです。文章理解も資料解釈も、知識や解法を暗記すれば解ける科目ではありませんが、試験勉強の初めから本試験までの間に途切れること無く、毎日少しづつでも解き続けることで、十分な得点源となれる科目といえます。

一般知識(知識分野)

一般知識(知識分野)は地方公務員(道府県、政令指定都市、市役所)や国立大学法人なら一般知能(知能分野)とほぼ同じ出題比率であり、知能と知識をバランス良く学習する必要があります。

国家公務員や東京都では知能が6~7割、知識が3~4割の出題数であり、一般知識は頻出度や重要度が高い問題に絞って効率よく学習すべきです。特別区はそれよりも知識の比率が低く、知識科目は選択解答制になっています。

一般知識(知識分野)の入門書

公務員試験の一般知識(知識分野)は、高校の教科書~センター試験レベル相当の知識が問われる分野です。そこで、大学受験の入門レベルの参考書を公務員試験の入門書と位置づけます。

入門書は、何度かサッと通読して各科目のアウトラインを掴んだり、過去問演習の解説を読んでもわからなかった箇所を参照して基礎知識の補強に活用する使い方がおすすめです。

社会科学の入門書は、「センター試験 政治・経済の点数が面白いほどとれる本」、「センター試験 現代社会の点数が面白いほどとれる本」がおすすめです。

人文科学の入門書は、「もういちど読む山川日本史」、「もういちど読む山川世界史」、「センター試験 地理の点数が面白いほどとれる本」がおすすめです。

「もういちど読む」は、山川出版社の歴史教科書を社会人向けに再編集した大人向けの教科書といえます。公務員試験においては、過去問の解説を読んでもわからない事柄が出たときに、随時参照して知識の補充を行う用途におすすめできます。

その一方、日本史、世界史に関しては、山川の教科書が合わなかったり、「面白いほど」のほうが合う方は、「センター試験 日本史の点数が面白いほどとれる本」、「センター試験 世界史の点数が面白いほどとれる本」に替えても構いません。何度も通読して、各科目の流れやアウトラインを掴む入門書としては「面白い」のほうが読みやすいかと思います。

自然科学の入門書は、「センター試験 生物の点数が面白いほどとれる本」、「センター試験 地学の点数が面白いほどとれる本」、「岡野の化学をはじめからていねいに」シリーズ(理論化学編/無機・有機化学編)、「橋元の物理をはじめからていねいに」シリーズ(力学編/熱・波動・電磁気編)がおすすめです。

なお、化学に関しては同じ著者が、別の出版社から事実上「はじてい」の改訂版として「岡野の化学が初歩からしっかり身につく」シリーズ(理論化学1、無機化学+有機化学1、理論化学2+有機化学2の3分冊)を出しています。

入門書はスキマ時間などを活用して繰り返し通読し、ざっくりと各科目の概要を頭に入れる導入本としておすすめです。また、過去問の解説を読んでもわからないというレベルの方が、基礎知識の補充を行う使い方もおすすめです。

どの参考書も、初学者向けに基本からセンター試験レベルまでわかりやすく解説した大学受験の参考書です。特に「はじめからていねいに」、「面白いほどとれる」の各シリーズは人気講師の授業を再現した講義調の文体でとても読みやすく、何度も一気に読み込んでアウトラインを理解するのに最適な入門書です。

ただし、こうした入門書は、もともとはあくまでも大学受験向けの参考書です。公務員試験にとって、入門書は必ず必要な教材というわけではありません。

入門書だけでは公務員試験の問題を解くレベルには到達しません。本試験の傾向や難易度に見合った本格的な学習となると、後述どおり公務員試験に特化したメイン教材を中心にすべきでしょう。

一般知識(知識分野)のメイン教材(過去問集)

社会科学や人文科学のメイン教材には、過去問集である「公務員試験過去問新クイックマスター 社会科学」、「公務員試験過去問新クイックマスター 人文科学」(2分冊)をおすすめします。

ただし、国家公務員、東京都、特別区は、人文科学が各科目1問づつしか出ません。これらを志望する方で、人文科学に割く時間的な余裕が無い場合は「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ 日本史・世界史(文学・芸術)の基礎」「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ 社会・地理(思想)の基礎」に替えることもおすすめできます。

また、自然科学は非常に典型的な定型問題が頻出です。自然科学は過去問集のなかでも、要点整理が丁寧でより基本問題を重視した「だからカコモンで克服 自然科学」がおすすめです。

自然科学も、国家公務員、東京都、特別区の方なら、自然科学に割く学習時間に余裕が無い場合は、カコモンでは無く、「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ 生物・地学の基礎」および「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ 物理・化学(数学)の基礎」をメイン教材に替えることもおすすめできます。

過去問集とは、公務員試験に必要な要点整理(ポイント)と過去問演習が一体となった完結型教材です。これを何度も繰り返すことで、初めて学ぶ科目でも全くの初歩から本試験の問題が解けるレベルまで到達できます。

同種の過去問集に比べて、「クイマス」は要点整理や解説が詳しく、イラストや図表も多用して、標準的な問題演習を重視しています。「20日間で学ぶ」は、重要度が高い頻出問題に絞っており、出題数が少なく時間をかけたくない科目に向いている速習型の過去問集です。

また、自然科学は、特に定型的な典型問題が頻出です。暗記問題が中心で出題数が少なく、計算問題が出るとしても、基本的な法則や公式さえ覚えていれば解ける非常に単純な出題が中心です。

このため、自然科学の「カコモン」では、問題ごとに3段階表示された試験別の重要度のうち、志望先の重要度が最も高い問題に絞っても構いません。また、各章の冒頭にテーマ別の出題頻度の一覧があり、志望先で○~◎のテーマに絞っても良いでしょう(市役所の方は「地上」を参照します)。

国家公務員、東京都、特別区の方も、人文科学や自然科学で「20日間で学ぶ」を使う場合、時間的な余裕が無い方は、重要度・難易度からテーマや問題ごとに絞り込んで取り組んでも構いません。

過去問集は、1回目は1問解くのにも時間がかかってしんどいかと思います。しかし、2回め、3回め、、、と何度でも繰り返すうちに、公務員試験に必要な知識や解法が定着し、本試験問題が解ける力が身につきます。

公務員試験は、過去問集だけでも乗り切れます。初めて取り組む科目でも、試験勉強の初めから我慢強く徹底的に繰り返すことで、本試験の問題を解くのに必要な知識や解法が自然に身につきます。

時事対策

大卒程度の公務員試験の教養試験(基礎能力試験)では、時事という科目で国総、国一/外専、国税/財務/労基/航空管制官/防専で3問、社会事情という科目で東京都で6問、東京都特別区で4問出ています。

東京都や特別区を除く地方上級、市役所、国立大学法人、裁事では、社会科学を中心に時事的な出題が目立ちます。自治体によっては東京都や特別区のように時事科目を設ける試験もあります。

公務員試験の時事対策は教養試験にとどまらず、論文(作文)試験、面接試験、専門試験の対策にもつながります。行政系・事務系に限らず、理系(技術系)/福祉系・心理系/資格免許職といった専門職種(区分)でも、時事的な出題はとても多く見られます。

時事対策の参考書

時事対策の参考書には、「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」をおすすめします。最新年度版が毎年出ており、受験生に幅広く使われてきた定番教材です。公務員試験の出題傾向に特化した優れた時事対策参考書といえます。

本書は政治、経済、財政、国際、厚生、労働、文部科学、環境、司法警察、社会問題をカバーしており、受験生が専門外とする各分野の時事対策もしっかり取り組むことができます。

なお、「速攻の時事」には併用教材として「公務員試験 速攻の時事 実戦トレーニング編」もあります。こちらは掲載問題の難易度にバラつきがあるのが難点ですが、時事を題材にした問題集として非常に貴重です。このため、問題の出来不出来は参考程度にとどめ、出題可能性が高い分野を知る参考材料として活用すれば大いに役立ちます。

また、トレーニング編は重要な時事用語を約400語スマートにわかりやすく解説しており、時事用語集としても優れています。「速攻の時事」に取り組んでいる方には、知識を補強する併用教材としておすすめできます。

その一方、「直前対策ブック 実務教育出版」もおすすめします。こちらは、速攻の時事ではまとめきれない情報をカバーする補強用参考書として最適です。

直前対策ブックは、白書や各種統計・データ、法改正や重要判例、審議会の答申などから重要な事柄をわかりやすくまとめています。過去の出題頻度から出題可能性が高い情報を凝縮しており、公務員試験にはよく出るのに受験生が見過ごしがちな情報を補強する参考書としておすすめします。

時事対策には「いつ始めるか」ということはありません。教養試験に限らず公務員試験では重要ですし、気づいたときにはその時に参考書を読み込んだり新聞やニュースに接するといった習慣を受験生活のなかに組み込んでいきましょう。