公務員の技術職

公務員の技術職(理系公務員)とは、理系(技術系)の試験区分ごとに採用される公務員のことです。一括で採用されてさまざまな部署や業務を担う行政系・事務系公務員とは異なり、技術職公務員はそれぞれの専門に応じた仕事に従事することが一般的です。

技術職公務員は電子・電気・情報、化学、機械、建築、土木、農業、畜産、水産など、理系のすべての専門分野で採用試験が行われます。当サイトでは、技術職公務員の試験内容・試験対策について、理系公務員(技術職)で一括して取り上げています。

技術職は国家総合職、国家一般職大卒、地方上級(都道府県、政令指定都市、東京都特別区)、市役所、国立大学法人などで採用試験が行われます。実際の試験区分の名称や分け方は公務員試験によって異なり、採用予定が無い区分では試験が実施されません。

公務員の技術職のうち、国家総合職は新法や法改正を伴う政策の企画・立案、安全基準などの策定といった、国家的な行政業務に技術的な観点から深く関わります。国家一般職大卒は個別事業の進行運営、公共施設の維持管理、資料作成といった調査業務など、より実務的で現場に近い業務を担います。

その一方、技術職の地方公務員は、各自治体における条例などの立案から各事業の遂行管理まで、一通り幅広い業務に技術的観点から関わります。調査・検査・研究業務や公共施設の維持管理も、地方公務員の技術職の大きな仕事です。

技術職の地方公務員の場合も、都道府県は広域的・長期的な視野に立った政策立案が多く、市役所は住民サービスに身近な業務が多いといえます。政令指定都市は都道府県と同格の権限を持ちつつ、市役所と同じ基礎自治体としての性格を併せ持ち、東京都特別区は基礎自治体ですが都心特有の課題にも取り組んでいます。

技術職公務員の試験内容

技術職公務員の試験内容は、筆記試験(教養試験、専門試験)、人物試験(面接試験)、論文試験を課すことが一般的です。これらを1次試験と2次試験に分け、1次試験の合格者だけが2次試験を受験でき、最終合格者から採用される試験が一般的です。ただし、技術職公務員の場合も、なかには3次試験まで課す公務員試験もあります。

また、面接試験は個別面接が一般的ですが、技術職公務員であっても、集団面接や集団討論などの形式だったり、面接試験を複数回実施する公務員試験もなかにはあります。

技術職公務員の筆記試験は、教養試験(一部の試験では基礎能力試験と言いますが、試験内容は同じです)と専門試験を課す試験が一般的です。どちらも5つの選択肢から正答を選ばせるマークシート形式の択一式(多肢選択式)試験が主流です。

ただし、国家総合職は専門試験を択一式と記述式それぞれ別々に実施します。地方公務員の場合も、東京都のように専門試験を記述式で課す自治体もあります。当サイトでは、技術職公務員の専門試験対策は、理系公務員の専門試験で総合的に説明しています。

教養試験(基礎能力試験)は技術職、行政系・事務系、福祉系・心理系問わず、それぞれの試験や自治体ごとに共通の試験内容を課すことが一般的な試験です。専門試験は試験区分ごとに試験内容が異なる試験です。

技術職公務員の難易度と倍率

技術職公務員の難易度は、国家総合職が最難関で、地方上級と国家一般職大卒がほぼ同等ですが、人気の高い地方上級のほうが合格するにはやや難しめともいえます。政令指定都市以外の市役所は地方上級と同等かやや易しめです。

特に地方公務員の場合、全国の約94%の自治体が、公益財団法人・日本人事試験研究センターに試験問題の作成・提供から採点処理までを委託しています。

このため、技術職公務員の場合も、地方上級とそれ以外の市役所では難易度が若干違いますが、一般的な大卒程度公務員向けの試験対策で対応できます。地方上級と国家一般職大卒は標準的な大卒程度公務員試験の難易度であり、政令市以外の市役所はそれと同等か易しめといえます。

また、東京都、大阪市、札幌市など独自に問題を作成する自治体の場合も、試験形式などを独自に設定する場合があっても、難易度や試験範囲自体は一般的な同等の自治体に準じています。

技術職公務員の倍率に関しては、試験区分によっても異なりますし、年度によっても違います。景気が悪いほど公務員人気が高まり倍率が上昇する傾向は技術職でも見られます。

技術職公務員は採用人数が少ない区分も多く、採用予定が若干名に対し、倍率が数十倍~数百倍という区分もあります。ただ、技術職に限らず、公務員試験は受験料がかからないこともあって、いわゆる記念受験や民間との併願など、本気で受験する気が見られない方も数多く存在します。

このため、よほど少ない採用予定に対して極端に高倍率の場合を除けば、技術職公務員においても、あまり倍率だけで志願先を絞る必要は無いと思います。志望先・併願先は、ご自身の学習の進捗状況と試験ごとの試験内容を照らし合わせて絞り込むのが良いでしょう。

技術職公務員への転職

技術職公務員への転職を考える場合も、まずは新卒やフリーターなどの方と同じく、一般枠の公務員試験を検討しましょう。公務員試験は新卒に限った試験では無く、年齢制限や学歴要件などの受験資格さえ満たしていれば、誰でも受験できる公平な試験です。

もしも一般枠の受験資格に該当せず、それでも技術職公務員への転職を考えるのであれば、「社会人試験」「経験者採用試験」を調べてみましょう(実際の名称は試験によって異なる場合があります)。

社会人試験は受験可能な上限は低めですが、民間企業などの職務経験が不要とされ、主に国家公務員の採用試験で見られる試験です。経験者採用試験は年齢要件は緩めですが、職務経験を必要とする試験が多く、主に地方公務員の採用試験で見られます。

社会人試験・経験者採用試験とも、一般枠の公務員試験とは別に実施されます。教養試験(基礎能力試験)や専門試験の試験内容や難易度は一般枠と同等ですが、面接試験や論文試験では転職者向けに固有の課題や質問が課される点には留意しましょう。

また、技術職公務員の転職者向け試験は、採用予定がある区分のみ実施されます。すべての区分で毎年実施されるわけでは無いことに注意が必要です。

公務員技術職:建築

公務員技術職のうち建築職は、建築および建築物に携わる理系公務員です。国家総合職(工学区分)からは国土交通省、環境省、経済産業省などの採用があります。

このうち、国土交通省では都市再生事業やマンションの立替を円滑に進める法案の整備など、環境省では大気汚染や産業廃棄物処理をはじめとする各種基準の策定など、経済産業省では技術関連施策、地球環境問題、資源エネルギー行政などに関与します。

また、建築職公務員のうち国家一般職大卒では、国土交通省に採用されて耐震性能、環境対策、ユニバーサルデザインといった基準策定に関する調査および地方への普及業務に従事したり、文部科学省に採用されて科学技術に関する現場の調査・研究業務に従事する公務員もいます。

地方公務員の建築職は、まちづくりのマスタープランや条例づくりに関わり、公共の建築物や都市の整備に従事します。各種建築物の検査などにもあたります。

公務員技術職:土木

技術職の公務員のうち、土木職も国家総合職の場合は工学区分からの採用です。国土交通省、農林水産省、環境省、経済産業省などの採用があります。

国土交通省は港湾整備、河川事業、道路整備、空港・鉄道整備などのインフラ整備のほか、開発途上国への開発計画策定や技術支援といった対外的な業務もあります。農林水産省では、水産庁における港湾海岸事業などが挙げられます。

環境省では土木に関わる環境規制や各種基準の立案、計画の策定などに従事します。経済産業省においても、産業振興や資源エネルギー行政といった国家的な政策に土木という専門的な見地から関わります。

国家一般職大卒の土木職は、各地方におかれた国土交通省・地方整備局において、河川、道路、港湾、空港、公園などの社会資本の整備と管理を行ったり、会計監査院において、技術系行政官として公共事業費などの検査に従事するといった業務を行います。

地方公務員の土木職では、公共施設の整備・維持・管理、再開発の指導など、まちづくりに関するさまざまな業務を行います。

公務員技術職:機械

技術職公務員のうち機械職においても、国家総合職は工学区分からの採用が中心です。国土交通省、経済産業省、特許庁(経済産業省外局)などに採用されます。

機械職は国家総合職で国土交通省に採用された場合、船舶の安全基準、海洋汚染防止、社会資本の維持管理や災害対策に関する制度設計・法整備などに関わります。

経済産業省では次世代自動車の開発・普及の促進業務など、特許庁では特許審査官として特許権を付与するか否かの決定を行う審査業務につくこともあります。

国家一般職大卒の機械職では、国土交通省の運輸支局や車検場、地方運輸局などで、車検の更新窓口業務や原動機付自動車などの型式認定審査など、警察庁では大型通信施設の整備や警察情報通信システムの開発などに従事することがあります。

地方公務員の機械職では、各自治体が関わる機械設備の整備や維持管理などの業務に携わります。

公務員技術職:電気・電子・情報・物理・数学

技術職公務員のうち、国家総合職では電気・電子職に相当するのは工学区分、数学職・情報職・物理職に相当するのは数理科学・物理・地球科学区分です。

国家総合職では、電気・電子職相当(工学区分)は総務省、国土交通省、経済産業省(特許庁)など、数学職・情報職・物理職相当(数理科学・物理・地球科学区分)は総務省、経済産業省(特許庁)、気象庁などに採用されています。

総務省では電気通信行政における基準の策定や国際的取り組みに関わったり、国勢調査など統計行政に関わって統計調査の企画・設計・指導を行います。国土交通省では社会資本整備、経済産業省では産業振興や技術開発に関わる法制度の整備などに関わります。

特許庁では特許審査官として審査業務を行うだけでなく、特許に関する国の制度設計にも関与します。気象庁では気象レーダーや緊急地震速報など、気象行政に関する法体系や枠組みの制度設計・企画立案に関わります。

国家一般職大卒の電気・電子・情報職では、国土交通省や総務省などに採用されます。国土交通省では社会資本や交通機関など、国が定めた基準の適合性検査や技術開発、広報活動などに従事します。総務省でも、情報通信行政における同様の業務に従事します。

地方公務員の電気・電子・情報職は、各自治体が関わる各種施設・設備の整備や維持管理の業務に従事します。

公務員技術職:化学

技術職公務員の化学職に相当するのは、国家総合職では化学・生物・薬学区分であり、環境省、厚生労働省、国税庁などに採用されています。

このうち、環境省では環境保護事業や環境基準の法制化、厚生労働省では医療・福祉・労働など国民の生命と健康に関わる政策の企画・立案、国税庁では酒税や揮発油(ガソリン)税などの適正な基準策定などに専門的な見地から関わります。

国家一般職大卒の化学職の場合、財務省税関で輸出入貨物の化学的分析や不正薬物の鑑定等、経済産業省の化学物質管理課で新規に開発された化学物質のリスク評価などを行う職員が採用されます。

技術職公務員のうち、地方公務員の化学職は、環境保全に向けた企画・立案、大気汚染、水質汚濁、廃棄物問題などに対する監視、調査、指導、試験研究などの役割が期待されています。

公務員技術職:農業(農学)・水産

技術職公務員のうち、農業(農学)職・水産職に相当するのは、国家総合職では農業科学・水産区分です。農林水産省では、食品の製造・流通に対する指導・監督・支援の制度設計と実施、農林水産業の振興策の企画・立案、対外的な貿易政策などを担います。

また、水産庁(農林水産省の外局)においても、水産業の発展や漁業者の福祉の増進を担っています。

国家一般職大卒の農学職においては、農林水産省などに採用されます。食の安全の確保、食育の推進、農家の経営サポート、地方への先進性の高い農業を普及させる施策、農山漁村の活性化など、現場に近く実務的な業務を行います。

地方公務員の農業職は、農業試験場に勤務して施肥技術の研究を行ったり、地元の農作物を広くPRするイベントの企画・運営などに従事します。また、環境保全や各種基準に関する監視・調査・指導などの業務もあります。

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