行政系公務員併願の総合学習計画(半年~9ヶ月)

今回は、行政系公務員を幅広く併願することを想定した独学の学習計画を取り上げます。学習期間が半年~9ヶ月程度で、全くの初学者でも、知識ゼロの基本から試験本番まで備えることができる学習計画を説明します。

この計画は、受験前年の秋(在学生は、大学3年の秋)~冬、既卒者、社会人の方を対象にしています。

今回の記事は、地方上級(東京都1類B、東京都特別区1類を含む)、市役所、国家一般職大卒、裁判所一般職大卒(※経済理論選択の場合)、国立大学法人の行政系・事務系の区分(職種)に対応しています。

まずは、数的処理(判断推理、数的推理)、社会科学、専門試験の最重要科目、論文対策の基礎固めを攻略します。

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数的処理(判断推理、数的推理)

数的処理は、「新スーパー過去問ゼミ5 判断推理」「新スーパー過去問ゼミ5 数的推理」の攻略に尽きます。スー過去は要点整理と過去問演習が一体となった過去問集であり、基本から本試験に備えた問題演習まで、1冊で済ませることが可能です。

最初のうちは、要点整理と典型的な例題である必修問題をどんどん進めて基礎を固め、2回目以降は必修問題に演習部分を加えて本試験に備えるといった使い方でも良いでしょう。

社会科学、専門科目(最重要科目)

社会科学は一般知識(知識分野)で最もウェイトが高く、特に法律、政治、経済を先行しておくと、専門科目の負担が軽くなります。

社会科学のおすすめは「公務員試験過去問新クイックマスター 社会科学」です。クイマスは、過去問集としては要点整理が詳しめで標準的な問題を重視しており、高校の教科書~センター試験レベルの一般知識には最適です。

専門試験の最重要科目は、憲法、民法、行政法、経済学(経済原論、経済理論)、財政学、政治学です。専門科目の過去問集には、問題の精度や網羅性が高い「新スーパー過去問ゼミ5」をおすすめします。

スー過去は要点整理を読み込み、必修問題→過去問演習を通じて本試験に必要な実力を身につけることができます。ほとんどの科目は過去問集だけで十分だといえます。

その一方、要点整理や必修問題の時点でうまく理解できない科目は、入門書を追加して何度か通読し、細部にこだわる必要はありませんが、各科目のアウトラインを掴んで理解の促進をはかりましょう。

入門書としては、憲法、民法、行政法は「まるごと講義生中継」がおすすめです。大手予備校の講義を再現しており、何度も繰り返し読みやすい良書です。ただし、社会科学を先行しておけば、憲法はスー過去だけでも理解できる方が多いと思います。

経済学の入門書としては、「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)、「らくらく経済学入門 週刊住宅新聞社」(マクロ、ミクロ、計算問題編、記述・論文編の4分冊)、「速習!経済学 石川秀樹」(速習!マクロ経済学、速習!ミクロ経済学、基礎力トレーニング(マクロ&ミクロ)の3分冊)の各シリーズから1つ選んで読み込んでおくことをおすすめします。

どの参考書の場合も、公務員試験にはマクロ、ミクロの2冊で十分です。3シリーズとも初学者が非常に読みやすく、定評のある入門書です。見た目や値段で選んでも構いません。

専門科目はスー過去をメインにしつつ、理解できない科目は入門書を追加して補助的に何度か読み込めば良いでしょう。財政学は経済学を学習したあとに着手すれば「新スーパー過去問ゼミ5 財政学」だけで十分ですし、政治学も暗記的要素が強く、「新スーパー過去問ゼミ5 政治学」だけで対応できると思います。

専門記述対策

東京都1類Bや裁判所一般職を受験する方は、記述式の専門試験が課されるため、専門記述対策が必要です。もちろん、受験先に専門記述試験が含まれない方は、学習の必要はありません。

東京都や裁事一般職の専門記述試験は、一行問題や説明問題といった基本的な問題が中心です。択一対策や入門書をこなした段階ならいつ取り組んでも構いませんし、高度な専門書は必要ありません。

東京都/裁事一般職の憲法は「公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ 実務教育出版」、東京都の行政法は「公務員試験論文答案集 専門記述 行政法」がおすすめです。主要な頻出論点を網羅した良書といえます。

東京都の民法は本命科目(メイン科目)にはおすすめしませんが、予備科目(サブ科目)と考えるなら、最低限の基本論点はカバーできる「公務員試験 専門記述式 民法・行政法 答案完成ゼミ 実務教育出版」をおすすめします。

経済学は、メイン科目にするなら、一定の難問にも対応できる高度な内容も含んだ「試験攻略 新・経済学入門塾 論文マスター編」、サブ科目にするなら基本~標準的な論点はおさえた「らくらくミクロ・マクロ経済学入門 記述・論文編」をおすすめします。

財政学は、「井堀 財政学 新世社」と「新スーパー過去問ゼミ5 財政学」を併用して、重要度が高い項目から論点整理していく学習が効果的でおすすめです。

会計学は、「新スーパー過去問ゼミ5 会計学」が東京都/国税/財務の過去問から20問程度の典型問題を掲載し、基本論点の確認に最適な良書です。ただし、解答例が冗長で、会計基準そのままの記述があるのが難点です。

このため、わかりやすい解説で、より幅広く重要論点を一通り網羅した「らくらく会計入門 週刊住宅新聞社」との併用をおすすめします。スー過去とらくらく会計入門の併用は、受験生に幅広く使われている定番中の定番です。

東京都の社会学、政治学、行政学、経営学は、高度な難問が出ることは無いため、「公務員Vテキスト TAC」シリーズがおすすめできます。項目別に論点整理を行うことで、基本的な一行問題や説明問題に対応できます。

一般知識(知識分野)

先述の通り先行させる社会科学はもちろん、人文科学も「公務員試験過去問新クイックマスター 人文科学」(2分冊)をおすすめします。自然科学は、本試験の多くが基本問題であることを考慮して、さらに解説がやさしめで基本問題を重視した「だからカコモンで克服 自然科学」で良いと思います。

人文科学・自然科学に本格的に取り組むのは、数的処理・社会科学・専門試験の最重要科目をクリアしたあとでも構いません。ただし、大学受験が推薦やAO入試だった方など、基礎学力に不安のある方は、クイマスやカコモンの要点整理部分や必修問題(典型問題)に先行して取り組んでおくと良いでしょう。

一般知識の全科目に着手する余裕が無い方でも、社会科学は全科目、人文科学は日本史、世界史、地理、自然科学は生物、化学(出来れば地学も)は学習することが望ましいといえます。

その他の専門科目

数的処理、専門試験の最重要科目、社会科学をクリアしたら、他の専門科目に着手します。もちろん、志望先・併願先に無い科目は学習する必要はありません。

行政科目の入門書には「行政5科目まるごとパスワード neo」をおすすめします。受験生に幅広く使われているコンパクトな参考書で、暗記科目ばかりの行政科目なら本書だけでも頻出事項を繰り返し習得することができます。

過去問集としては行政学、社会学は「新スーパー過去問ゼミ5 行政学」「新スーパー過去問ゼミ5 社会学」をおすすめします。行政学はきっちりとこなすべきです。時間的な余裕が無い場合、社会学のスー過去は、必修問題、および、学習効果が高いアイコン付きの問題に絞っても構いません。

国際関係も「新スーパー過去問ゼミ5 国際関係」が望ましいと思います。ただし、学習時間に限りのある方は、典型的な頻出問題に絞った「上・中級公務員試験 20日間で学ぶ 国際関係の基礎」に替えても構いません。その場合も、要点整理部分をしっかり読み込んだ上で、問題演習にあたりましょう。

社会政策は「行政5科目まるごとパスワード neo」と時事対策だけでも十分です。

経済政策、経済事情は、経済学・財政学の知識や、時事対策で乗り切れます。経済史も近現代史からの出題が多く、日本史・世界史の知識や、教養試験の経済の知識で解ける科目です。

経営学も択一対策なら「新スーパー過去問ゼミ5 経営学」だけで乗り切れます。ただし、国一受験者は難しい問題も出るため、「公務員Vテキスト 経営学 TAC」を併用して読み込んでおくと良いでしょう。

刑法、労働法は、「新スーパー過去問ゼミ5 刑法」「新スーパー過去問ゼミ5 刑法」「新スーパー過去問ゼミ5 労働法」がおすすめです。

学習時間に余裕が無い方は、この2科目は要点整理を熟読し、必修問題と*1つの問題だけでも構いません。出来れば、*2つの問題を少しでも多くこなしておきましょう。どちらかといえば、学習量が少なく、学習効果が高いのは労働法だと思います。

専門試験のその他の科目は、択一対策は過去問集だけで乗り切れます。要点整理を熟読し、難問を省いても過去問演習を徹底すれば十分に取れる科目です。

当然すべての科目に取り組むことを目指すべきですが、最低でも「まるごとパスワード」、行政学、経営学には必ず取り組み、出来れば社会学か国際関係、刑法か労働法を1科目づつ学習したいところです。

また、過去問集が無い科目やスー過去・20日間をパスした科目でも、科目別の過去問演習書「過去問500」や、本試験を年度別に復元した本試験問題集「本試験過去問題集 公務員試験 TAC」には取り組んでおきましょう。

文章理解

文章理解はとりあえず「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」の必修問題を何問か解いてみましょう。ここで英文を読むのが遅かったり、分からない英単語が多いと感じたら、「速読速聴・英単語 Core 1900」をおすすめします。

「速読速聴・英単語 Core 1900」は割と長めの例文を多数掲載して、速読と単語力の向上が練習できる良書です。同種の参考書として、大学受験で使った経験があるなら、「速読英単語(2)上級編」に替えても構いません。

このような参考書で速読と単語の習得を行う一方、「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」に着手します。文章理解自体は暗記科目ではなく、問題を解く勘に慣れることで点が取れる科目です。いきなり過去問集から始めても構いません。

文章理解は1日あたりの学習時間は短くても構いません。あまり早い時期から学習する必要もありません。スー過去は現代文と英文を1日1~2問ずつ解き続け、問題を解く勘を失わないように勉強しない日を作らず、本試験まで毎日コツコツ解きましょう。

なお、古文は0~1問であり、公務員試験では学習する必要の無い科目です。スー過去を解き切ったら、「公務員試験過去問新クイックマスター 文章理解」または「過去問500」に入っても構いません。

資料解釈

資料解釈は、裁事一般職以外の国家公務員、東京都、東京都特別区を受験する方はしっかり学習すべきです。文章理解と同じ時期に同じ要領で、毎日コツコツ1~2問、本試験まで問題を解く勘を失わないように過去問集を解けば十分です。

その一方、裁事一般職、東京都や東京都特別区以外の地方上級、市役所では、資料解釈は1問しか出ません。これらの受験生は、資料解釈を無理に学習する必要はありません。

資料解釈も習うより慣れたほうが良い科目です。過去問集は「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」がおすすめです。これをこなしきったら、「公務員試験過去問新クイックマスター 数的推理・資料解釈」または「過去問500」に入っても構いません。

論文対策

論文は、早期に「論文試験 頻出テーマのまとめ方」を読み終えておきましょう。幅広く読まれている人気の定番参考書ですが、情報量が膨大で、要求する答案例や記述内容が高レベルであるため、挫折率も高い参考書です。

とはいえ、本書は国家・地方公務員とも豊富な過去問を掲載し、幅広いテーマや全国自治体の直近の出題例を数多くカバーしています。なかなか本書に代わる参考書は無いと思います。

このため、答案例は参考程度に受けとめ、論点集と割り切って試験勉強の早い段階で読んでおけば、直前期に初めて読んでみて膨大な内容に挫折することは回避できると思います。

なお、本書はテーマ別対策の良書ですが、基本的な論文試験のルール・心構えや合格に結びつく答案の作成方法といった記述がありません。そこで、「1週間で書ける!! 公務員合格作文」をおすすめします。

「1週間」は第1編で論文試験の最低限知るべきルールを形式面から解説し、第2編では問題の背景を探り当て、問題点から自己主張を打ち出すことで、合格に導く答案の書き方を解説した良書です。

なお、第3編は実践的な論点集ですが、市役所以外の方には内容不足だと思います。論点集に「頻出テーマのまとめ方」を使うなら、「1週間」の第3編は飛ばしても構いません。

このように論文対策は参考書を使って、学習期間の初期のうちに、合格できる答案の書き方と、実際の出題例や主要論点を理解しておきます。

これをやっておけば、あとになって、余裕を持って答案練習ができるといえます。大手予備校、大学の学内講座・キャリアセンター、各自で頼れる先生・先輩などを活用して、答案練習と添削指導の機会は必ず確保すべきです。

面接対策

面接試験も早いうちに参考書を読んでおくと、基本的なルール・心構え、実際のやり取り、実践的な対策を理解することができます。

面接・官庁訪問の秘伝」は国家・地方公務員ともに使えますし、個別面接、集団面接、集団討論、官庁訪問に幅広く対応した良書としておすすめです。自己分析を通じて自分のコアな部分を作り、あらゆる質問に対応できるアプローチを解説しています。

公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」は、コンピテンシー面接や採点側の意図について、ここまで詳しく説明した参考書は他にありません。本書が想定する国家公務員だけでなく、地方公務員の方にもおおいに参考になると思います。

自己分析による対策を解説した「面接・官庁訪問の秘伝」と、採用する側の本音から評価基準と対策を取り上げた「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」を両方読み込めば、面接試験の実態を対照的な両面からしっかりと理解することができます。

その一方、大手予備校、大学のキャリアセンター、ハローワークなどで実施される模擬面接は、参考書を読んだあとで良いので積極的に活用しましょう。先に上記2冊の参考書を読み込んでおけば、その後の実践練習にもおおいに活かすことが出来ます。

時事対策

なんといっても公務員試験の時事対策の定番といえば、「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」がおすすめです。政治、経済、財政、国際、厚生、労働、文部科学、環境、司法警察、社会問題とカバーするだけでなく、公務員試験に特化した頻出事項のフォローが可能です。

本書には併用教材として「公務員試験 速攻の時事 実戦トレーニング編」もあります。掲載問題の難易度にバラつきがあるものの、重要な時事用語・約400語をわかりやすく解説しており、強力な時事用語集として併用がおすすめできます。

また、「直前対策ブック 実務教育出版」もおすすめです。公務員試験では頻出ながら受験生が見落としがちな白書、法改正&新法、重要判例、各種統計やデータに強く、直前期の時事対策の補強に役立ちます。

模試

受験前年の秋(在学生は、大学3年の秋)から始めた方は、主要な科目をクリアした年末~年明け頃から模試の受験を検討して良いと思います。本格的な志望別の模試は受験年度(在学生は大学4年)の2~5月、市役所向け模試はそれ以降も実施されます。

この段階では学習の理解の度合いを確認し、足りない分野や科目の補強に活かします。模試は出来る限り受験して、試験勉強への活用に還元することをおすすめします。

今回想定している公務員試験の併願であれば、LECの「地上・国家一般職<行政系>スペシャル模試パック」やTACの「公務員 公開模試」がおすすめできます。

これらの模試は、志望別の順位や合格可能性も示され、詳細な成績表が提供されます。もちろんパックではなく、各回ごとの受験も可能です。各自の到達度を知るだけでなく、その後の試験勉強に大いに活用できます。

過去問演習書/本試験問題集

過去問集を済ませた科目や、過去問集が無い科目、過去問集をやらなかった科目の問題演習には、総合的な過去問演習書である「過去問500」をおすすめします。解説が詳しく、試験別のラインナップがある定番教材として、直前期に科目別の演習量の上積みが出来る問題集です。

過去問500は、地方上級・教養、地方上級・専門、東京都・特別区1類(教養・専門)、市役所上・中級(教養・専門)、国家総合職・教養、国家総合職・専門、国家一般職大卒・教養、国家一般職大卒・専門、国家専門職大卒(教養・専門)、大卒警察官・教養(過去問350)という10冊が出ています。

本試験過去問題集 公務員試験 TAC」は、本試験を年度別に収録した復元型問題集です。問題が1年ごとに取り外し可能になっており、模試を受ける機会が無い方が本番同様に時間を測って「早く」「正確に」問題を解く練習用途におすすめできます。

この問題集は、東京都1類B(行政・一般方式)、東京都特別区1類(事務)、裁判所一般職大卒、国税専門官、労働基準監督官A、国家一般職大卒(行政)が出ています。

試験勉強を一通りクリアした段階では、こうした過去問演習書や本試験問題集に取り組み、なるべく多くの科目に同時にあたることで、総合的な実力の引き上げをはかって本試験に備えます。

行政系公務員併願の総合学習計画(半年~9ヶ月):まとめ

今回想定した行政系公務員の併願なら、まずは数的処理、社会科学、専門試験の最重要科目、英単語と速読の練習に着手します。東京都や裁事一般職で必要な専門記述対策は、択一対策や入門書をクリアしたあとから始めます。

これらの科目のめどがついた時点で、専門試験の他の科目、人文科学、自然科学、文章理解、資料解釈に取り組みます。

論文や面接は、参考書で必要な知識やノウハウをしっかりと理解します。その後、添削指導や模擬面接を受ける機会を必ず確保したいものです。時事対策も、学習期間を通じてしっかりと取り組みます。

メインの教材を済ませた科目や過去問集が無い科目などは、過去問500や本試験問題集に着手します。直前期は毎日数多くの科目をこなし、本試験に備えます。こうすることで、総合的な得点力の向上につなげていきます。

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