公務員の給与は削減すべきか?

今回は、公務員の給与は削減すべきかどうかについて取り上げます。

「日本は公務員の給与を削減すべき」「我が国の公務員の給与は高すぎる」「そもそも日本は公務員の数が多すぎる」といった意見が、マスコミや世論の意見として、よく流される考え方かと思います。

日本は公務員の数が多いのか?

日本において、一般政府及び公的企業の雇用者数が労働力人口に占める割合は、OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかで、最も低い水準にあります。日本は、OECD諸国のなかで、最も公務員の数が少ない国です。

これに対しては、「政府機関だけでなく、地方自治体や特殊法人など政府系企業を入れると、日本の公務員は多いはずだ」という言う方もおられます。しかしこれは、明らかに間違っています。

このOECDの国際統計でいうところの「一般政府」とは、あらゆるレベルの政府(中央、州、地方、社会保障)を含んでいますし、省庁や独立部局以外の政府のコントロール下にある非営利組織も含んでいます。

また、OECDの統計では、「公的企業」とは、政府によって所有あるいはコントロールされている法人であり、経済的に意味のある価格で市場取引されている財・サービスの生産を主とするものであるとされています。

このため、日本の場合、国立大学の教授や自衛隊員、特殊法人や独立行政法人といったあらゆる政府系企業の職員も含んでいます。これを踏まえた上で、日本は対労働人口比で見るとOECD諸国の中で最も公務員の数が少ない国といえます。

日本の公務員は給与を削減すべきか?

日本の公務員の給与水準も、OECD加盟国のなかでは最低の水準です。こちらは、一般政府の雇用者給与の対GDP比率の統計が取られており、日本はOECD諸国のなかで最小の国となっています。

もちろん、こうした統計は、日本経済全体から見た全ての公務員の統計であって、地域や職種による違いが存在します。職種や地域によっては、民間企業の給与水準より高い公務員も見られます。

ただし、日本の公務員全体を見たときのマクロ的な観点から言えば、我が国は公務員の数も給与も、決して高くは無いといえます。むしろ、国際比較を見れば、最低水準といえます。

さて、ここまで国際比較ばかり見てきましたが、公務員の給与水準を考える上では、「公務員の給与は景気変動に左右されない」という点を見逃すべきではありません。

公務員の給与は民間並みに削減すべき?

「公務員の給与は民間企業並みに削減すべき」という意見もあります。これに関しては、公務員と民間企業の給料の決まり方の違いに留意すべきと思います。

公務員の給料が上がる仕組みで述べた通り、公務員の給料は号と級で決まります。つまり、日本の場合、公務員の給料は昇給または勤務年次によって確実に上がります。

これは公務員の場合、民間企業のように、企業の業績や個々の職員の営業成績によって給料が左右されないということです。もっと言えば、公務員の給料は、景気変動に左右されないということを意味します。

景気が低迷する時期は、物価も賃金も下がりがちのデフレ状態に陥りがちです。公務員の給料も物価水準を参考にはしますが、民間企業のほうが反映されるスピードは早い傾向があります。

このため、デフレ状態が長引けば、民間企業の給与水準は下がり続け、公務員と差が生じます。しかしこれは、公務員の給料が上がったためではありません。

これとは逆に、バブル経済のように景気が上向いて加熱した時期には、物価も賃金も高まり、民間企業の給与水準も高まります。公務員と民間企業の給料の差は、公務員が招いたものとは限らない点に留意すべきでしょう。

公務員の給与削減はデフレを招く?

公務員の給与を削減すれば、それだけ消費に回るお金が減ります。公務員も同じ国民として、お金を使って消費を行います。

公務員も国民経済のなかでは、消費者であったりします。もしも、公務員の給与を削減すれば、デフレギャップは拡大し、結果として公務員以外の国民の所得や仕事が減る可能性があります。

確かに公務員のなかには、無駄な仕事や厚遇されすぎている部分があると思います。それはそれとして、国民経済を考える上では、公務員の給与削減よりも、デフレ脱却と富の再分配こそが問題だと思います。

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