公務員試験の参考書

今回は公務員試験の参考書について、前半では独学で使えるおすすめの参考書を取り上げます。

また、数多くの科目をこなすことになる大量の公務員試験の参考書に関して、古い中古の本で済ませる方法や、受験後に買取サービスを活用して売る方法、何年度版のもので勉強すれば良いのかなど、後半では公務員試験の参考書に関する基礎知識を取り上げます。

公務員試験の参考書のおすすめ

ここでは、地方上級(都道府県、政令指定都市、東京都特別区)や市役所など、標準的な大卒程度の公務員試験の参考書を対象に、おすすめ教材を取り上げていきます。

教養科目はどの試験区分・職種の方も使える参考書、専門科目は行政系・事務系の区分(行政職)を対象に、公務員試験の参考書をおすすめしていきます。

(理系公務員(技術職)の専門科目は理系公務員の専門試験、福祉系・心理系公務員の専門科目は福祉系・心理系公務員、教員採用試験は教員採用試験、高卒程度公務員試験は高卒公務員の参考書 教養試験(基礎能力試験)、大卒程度の警察官・消防官は警察官・消防官/皇宮護衛官(大卒)、保育士採用試験は保育士採用試験を参照なさってください)

教養科目の参考書のおすすめ

教養科目のうち、数的処理(判断推理、数的推理)に関しては、入門書として「玉手箱」シリーズ(数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱判断推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱の2分冊)をおすすめします。

玉手箱は数的処理を全く初めて学ぶ初学者の方が、必要とされる算数・数学の基礎をわかりやすく学習し、定型的な基本問題を通じて公務員試験で出てくる解き方のパターンを一通り習得するのにおすすめです。入門書として初めての1冊に最適な参考書といえます。

玉手箱は基礎固めの参考書であり、これをクリアしたら、「新スーパー過去問ゼミ4 数的推理」「新スーパー過去問ゼミ4 判断推理」をおすすめします。参考書部分(要点整理部分)と過去問演習が一体となった過去問集と呼ばれるメイン用途の人気教材です。

「スー過去」は要点整理部分をサッと確認したら、過去問演習で徹底した問題演習を通じて、本試験に必要な実力が身につく本格的な定番教材です。過去問集は、初学者の方でも基本から学んで本試験まで一貫して使うことができる完結型教材といえます。

スー過去はどの科目でも、1冊で基礎から本試験レベルまで習得することができるオールラウンド型の教材です。参考書で基礎固めから行うほど時間的な余裕が無い場合、スー過去1冊に絞って繰り返すだけでも、本試験に備えることは可能です。

文章理解の参考書には、「速読速聴・英単語 Core 1900」をおすすめします。大学受験で使った経験があれば、「速読英単語(2)上級編」に替えても良いでしょう。

どちらも比較的長い英文を豊富に掲載し、英文を読む中で速読と語彙力をともに身につけることができる良書です。どちらもコンパクトなサイズですし、試験勉強を通じて随時スキマ時間を活用しながらどんどん読み込んでいくと良いでしょう。

文章理解や資料解釈の過去問集にも「新スーパー過去問ゼミ4 文章理解・資料解釈」をおすすめします。文章理解・資料解釈は初学者でもいきなり過去問集から始めてかまいませんし、スー過去は問題の精度の高さや記述の正確性では最も優れた問題集だといえます。

文章理解は1日あたりの勉強量は少なくても構いませんが、勉強しない日を作らず、毎日コツコツと解き進めて問題を解く勘を鈍らせないようにしましょう。資料解釈は国家公務員、東京都、東京都特別区、警察官、東京消防庁の方は捨て科目にせず、文章理解と同じ要領で過去問集に取り組みます。

一方、一般知識は高校の教科書~センター試験レベル相当です。大学受験の入門レベルの参考書を公務員試験の入門書と位置づけ、何度かサッと通読して各科目のアウトラインを掴んだり、過去問演習の解説を読んでもわからなかった箇所を参照して知識や解法の補強に活用する使い方がおすすめです。

以下、こうした一般知識の参考書でおすすめの教材を取り上げます。すべての参考書を揃える必要は無く、必要と感じた科目に投入すると良いでしょう。

どの参考書も一気に通読して繰り返し読み返しやすく、基本から非常に丁寧な解説でわかりやすい参考書です。特に「はじめからていねいに」、「面白いほどとれる」の各シリーズは人気講師の授業を再現した講義長の文体でとても読みやすく、山川の日本史や世界史が合わなかった方もこれらのシリーズに替えて良いでしょう。

なお、化学に関しては同じ著者が、別の出版社から事実上「はじてい」の改訂版として「岡野の化学が初歩からしっかり身につく」シリーズ(理論化学1、無機化学+有機化学1、理論化学2+有機化学2の3分冊)を出しています。

ただし、これらの参考書は、あくまでも公務員試験に必要な知識や解法を補強したり、各科目の全体像をザックリつかむための導入本(入門書)です。本格的な公務員試験の学習には、やはり参考書部分(要点整理部分)と過去問演習が一体となった過去問集をおすすめします。

このうち、社会科学や人文科学は、過去問集としては要点整理の解説が詳しめで、標準的な問題演習を重視した「公務員試験過去問新クイックマスター 社会科学」、「公務員試験過去問新クイックマスター 人文科学」(2分冊)をおすすめします。

また、自然科学は非常に典型的な定型問題が頻出です。自然科学は、要点整理が丁寧でより基本問題を重視した「だからカコモンで克服 自然科学」がおすすめです。

一般知識の場合も参考書に取り組む余裕が無い場合は、これら過去問集に絞っても構いません。初めて学ぶ科目でも、過去問集だけでも基本から本試験レベルまで備えることが可能です。

また、参考書は必要と感じた科目には追加して、過去問集の解説でも分からなかった箇所が出てきたときに、調べ物的な参照用参考書としてもおすすめできます。

専門科目の参考書のおすすめ

専門科目の場合、大半の科目は過去問集1冊で乗り切ることができます。ただ、出題数が多い科目で学習量も多い科目は、先に参考書を入門書と位置づけて通読しておけば、各科目の全体像を頭に入れた上で過去問集に取り組むことができます。

具体的には、経済学(経済原論、経済理論)、憲法、行政法、民法は、参考書を読んで各科目の概要や項目ごとのつながりを細部にこだわらず、ザックリとで良いのでアウトラインを理解しておくと、過去問集を進める際にメリハリのきいた効率学習がしやすくなります。

また、行政科目(政治学、行政学、国際関係、社会政策、社会学)は暗記だけでも点が取りやすく、学習効果がとても高い科目です。これらは過去問集と併行して要点整理型参考書を読み込んでおくと、暗記事項の多い行政系科目の知識の補強になります。

このうち、経済学(経済原論、経済理論)では、最も網羅性が高い「速習!経済学 石川秀樹」(速習!マクロ経済学、速習!ミクロ経済学、基礎力トレーニング(マクロ&ミクロ)の3分冊)、最も標準的な「らくらく経済学入門 週刊住宅新聞社」(マクロ、ミクロ、計算問題編、記述・論文編の4分冊)、政令市以外の市役所なら「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)のうち1シリーズに取り組むと良いでしょう。

どの参考書も、経済学の初学者には基本から読みやすく、公務員試験にはマクロ、ミクロの2冊で十分です。この3シリーズのなかでは「らくらく」が最も標準的ですが、これが合わなかった方は他のシリーズに替えて構いません。

憲法、行政法、民法の参考書は、TACの「まるごと講義生中継」シリーズをおすすめします。

憲法の「憲法 郷原豊茂の憲法まるごと講義生中継 TAC」は約390ページのなかに、憲法のエッセンスを非常に噛み砕いて分かりやすく解説し、講義特有のライブ感のある文体で一気に読み続けられる良書といえます。

民法の「郷原豊茂の民法まるごと講義生中継 TAC出版」(1、2の2分冊)は、2冊合わせて700ページを超えるボリュームだけに非常に丁寧に噛み砕いて読みやすく、初学者にも全くの基本から分かりやすい良書といえます。ただし、(地方上級や市役所ではほとんど出ないとはいえ)家族法(親族、相続)が含まれていない点には注意が必要です。

新谷一郎の行政法まるごと講義生中継」も、さまざまな法律や判例を含んで体系的な理解が必要な行政法という科目を、約350ページで極めて分かりやすく解説してくれる良書です。基礎~標準レベルを重視して頻出事項をサッと学べます。

行政科目(政治学、行政学、国際関係、社会政策、社会学)の場合は、経済学や法律科目に比べて体系的な理解というより単純に暗記だけで通用する部分が多く、参考書も「行政5科目まるごとパスワード neo」がおすすめです。

本書は、行政5科目から頻出事項をコンパクトに抽出した要点整理型参考書です。初学者でも基本から学べる良書ですし、二色刷りでイラストや図表を交えて見やすく、多くの受験生が何度も読み返す人気の定番参考書としておすすめです。

もちろん、専門科目の場合も、参考書だけでは公務員試験には通用せず、やはり過去問集と呼ばれる参考書部分(要点整理部分)と過去問演習が一体となった教材をメインと位置づけ、本試験までに何度も徹底攻略することをおすすめします。

専門科目における過去問集としては、「新スーパー過去問ゼミ4」シリーズをおすすめします。厳選された問題の精度の高さ、解説部分の記述の正確性では突出した良書といえます。

また、スー過去が合わなかかったという科目の場合は、「公務員試験過去問新クイックマスター」シリーズに替えて構いません。スー過去に比べてやや易しめですが、解説が詳しくスー過去を挫折した科目であれば本書に替えてもよいでしょう。

このほか、「だからカコモンで克服」シリーズは演習量が不足していますが、要点整理部分が非常に丁寧で基本を重視しています。過去問集としては地方上級や市役所における刑法、労働法など出題数が少ない科目で使ったり、参考書代わりに入門書として使うのであれば、悪くない教材だと思います。

過去問集はどの科目でも、初学者が全く初めて勉強する科目の場合でも、1冊で基本から試験本番のレベルまで学習することができる完結型教材です。参考書を読んでおく余裕が無い方は、過去問集に絞って勉強して構いません。

公務員試験の参考書は古い中古本で大丈夫か

公務員試験の参考書で、古い中古本を使う方も少なくありません。公務員試験は科目数が非常に多く、そのぶん参考書の数も非常に多いため、少しでも出費を節約する賢い方法だと思います。

スー過去やクイマスなど主要な公務員試験の教材は、各社とも毎年改訂されて最新年度版が出ており、直近の頻出分野を反映してタイムリーな過去問も豊富に掲載しています。それでも、何科目も揃えるとなると、結構な出費になってしまいます。

ただし、最も注意すべきは、公務員試験の参考書の場合、科目によっては古い中古本を使うべきでは無いという点です。ひとことで言えば、新法の成立・法改正・判例の変更などを含む時事的な動向に左右されやすい科目では、最新版の参考書を使うことをおすすめします。

教養科目でいえば、数的処理(判断推理、数的推理)、文章理解、資料解釈などは時事的な動向に左右されにくい科目であり、中古本の古い参考書を使っても良いかと思います。

人文科学や自然科学も古い中古本を参考書に使っても良いかと思いますが、歴史・地理・科学上の大きな発見や学説の変化、国際基準の大幅な見直しといった時事的な出来事があれば、それに伴う公務員試験への影響も無いとはいえません。

教養科目で最も古い中古本を使うべきで無いのは時事問題・社会事情を含めた社会科学です。政治、経済、社会、時事問題の参考書は、最新年度版を使うべきでしょう。

専門科目の場合、法律科目は新法の成立・法改正・判例の変更の可能性がありますし、社会政策、国際関係、財政学などは古い中古本を参考書に使うのは避けるべきだと思います。

その一方、経済学、経済政策、政治学、行政学、社会学、経営学は、参考書は古い中古本でも構いませんが、時事的な問題について日々のニュースをしっかりキャッチアップしておきましょう。

ここまで公務員試験の参考書における古い中古本の目安を解説しました。ただ、中古本を使う場合も、あまり何年も前の版を使うのではなく、せめて1~2つ前の版を使うことや、中古本はいつ入荷されるか不確実であり、在庫なしの場合は新品を購入することをおすすめします。

なお、学生の方であれば、Amazon Studentを活用することで、参考書代の節約を行うことが可能です。

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公務員試験の参考書を売る(買取サービス)

使用した公務員試験の参考書を売る方法は、買取サービスが挙げられます。専門書アカデミーや学参ブックスなどは、市販の教材以外(LEC、TACなど予備校独自の書籍、DVD教材など)でも買い取ってくれます。また、他の中古本業者のようにどの本も同じ値段しかつかないということもなく、1点づつきちんと査定してくれます。

ヤフーオークションを利用する場合も、予備校の独自教材が出品できますし、高値が付く可能性が最も高いサービスといえます。ヤフオクの利用にはヤフープレミアム会員に登録して会員費(462円(税抜))が必要ですし、落札時に落札価格の8.64%(税込)が手数料としてかかるものの、後述するアマゾンのマケプレよりはかなり安く済みます。

ただし、一般的にネットオークションは出品から成約まで結構な手間がかかります。ヤフオクの場合も、出品物の写真撮影、説明文の作成、落札者との連絡などは基本的に自分で行う必要があります。

アマゾンのマーケットプレイスは、基本成約料100円(税抜)、カテゴリー成約料60円(税抜)、販売手数料(出品価格の15%(税抜))がかかります。出品できるのは市販の教材(アマゾンで取り扱っている教材)に限られますが、出品の手間はヤフオクに比べればとても簡単に済むことがメリットです。

ここまで見てくると、予備校の教材を売りたい場合は参考書買取サービス、手間がかかるが高値を狙う場合はヤフオク、手数料は高いが自分で手軽に売りたい場合はマケプレ、ということが言えると思います。

アマゾンのマーケットプレイスのヘルプページに行きます。

公務員試験の参考書の「年度」とは

先述の通り、実務教育出版のスー過去やLECのクイマスなど、主な公務員試験の参考書の多くはほぼ毎年度改訂されて最新年度版が出ていることが一般的です。

公務員試験の参考書の場合、例えば「2020年受験版」「平成30年度試験対応」などと明記していることが多く、この場合はそれぞれ「2020年度中に実施される公務員試験を受験する方向け」「平成30年度中に実施される公務員試験を受験する方向け」という意味です。

つまり、2020年4月~2021年3月(=2020年度)に実施される公務員試験を受験する方は「2020年度(受験)版」、平成30年4月~平成31年3月(=平成30年度)に実施される公務員試験を受験する方は「平成30年度(試験対応)版」の参考書を使うことが望ましいといえます。

ただし、公務員試験の参考書のなかには、「2020年度(採用)版」という場合、「2020年度採用の公務員試験の方向け」という場合も一部に見られます。この場合は、「2020年4月以降に採用される公務員試験の受験」という意味であるため、一般的にはその前年度つまり「2019年度中に実施される公務員試験向け」の参考書となります。

公務員試験の参考書の場合、どちらの年度を指すのか迷う場合、一般的な書籍と同様に奥付で出版の年月日(増刷や改訂があった場合はその年月日も記載されています)を確認すると良いでしょう。

例えば今年の3月に、毎年改訂されている参考書を探しているとき、その本の出版(あるいは増刷・改訂)の最終年月日が去年の6月だったら、その本は今年の6月に最新年度版が出る可能性があります。

その場合は、「とりあえず現在出ている参考書を買って勉強を進め、6月に最新年度版が出たら買い換える」か、「6月に最新年度版が出るまで待つ」ということになると思います。どちらを取るかは、その科目の重要度次第で科目ごとに判断すると良いでしょう。

これとは逆に、今年の6月に、毎年改訂されている参考書を探しているとき、その本の出版(あるいは増刷・改訂)の最終年月日が今年の3月だったら、その本の最新年度版が出る可能性があるのは来年の6月ということになります。

もちろん、この場合も、先ほどの場合と同じく、「先に買っておいて買い換える」か「最新年度版の出版を待つ」かは、科目ごとに判断すると良いでしょう。ただし、来年6月の出版を待っていては受験が間に合わないのなら、現在出ている今年3月発売ぶんの参考書で本試験まで勉強すれば良いことになります。