心理学における研究方法に関する基礎(心理学の調査・研究法/心理統計)

今回は、「心理学の調査・研究法」と「心理統計」を取り上げます。国家総合職・人間科学区分(大卒)や家庭裁判所調査官補・総合職大卒ではメインの参考書、法務省専門職員(人間科学)や地方公務員では参照用の参考書としての用途を想定しています。

なお、国家総合職・人間科学区分(大卒)の専門試験(択一式)の2部で選択A(心理系)には、「心理学における研究方法に関する基礎」が4題出ます。多くの問題は、心理学の入門書や他の科目の参考書でも対応できます。

その一方、入門書をクリアしても過去問が解けないという方は、今回取り上げる「心理学の調査・研究法」や「心理統計」の参考書に取り組むと良いでしょう(以下のリンクは、それぞれの名称によるアマゾン(Amazon.co.jp)の検索結果ページを含みます)。

まず、心理学の調査・研究法の参考書を紹介します。どれか1冊には取り組むべきでしょう。

心理学研究法入門 調査・実験から実践まで 東京大学出版会」は、実験的方法、統計的分析方法、観察・面接・フィールドワークなどの質的研究、教育・発達や臨床における実践研究など、心理学の研究法を豊富に解説した良書です。

これが合わなかった方には、「心理学研究法 心を見つめる科学のまなざし 有斐閣」をおすすめします。どちらの本も基本的には実験演習の副読本として書かれた本ですが、一般向けにも配慮して心理学の代表的な研究方法をバランスよく掲載しています。

このほか、「心理学・倫理ガイドブック―リサーチと臨床 有斐閣」は、心理学における質問紙法、観察法、面接法、実験法など様々な研究法に加え、倫理上の考え方や注意点を紹介した参考書です。

こちらは、それぞれの研究法における倫理マニュアル、あるいはガイドラインといった性格が強い本であり、より専門性が高い参考書といえます。ここまでは、心理学の調査・研究法に関する参考書です。

一方、心理統計の参考書には、以下のようにさまざまなタイプの良書がたくさんあります。メイン向けの本を1冊決めて取り組むのも、複数の参考書を併用するのも良いでしょう。

1.「心理統計学の基礎(有斐閣アルマ) 有斐閣」は心理統計を最も系統的に学べる参考書としておすすめできます。「基礎」と書いていますが、本格的な教科書として心理統計をしっかりと習得できるレベルであり、国総の方はこれくらいじっくりと取り組むべきだといえます。

2.「調査法講義 朝倉書店」も、「調査法」となってますが、公務員試験の調査統計に該当する参考書です。こちらは心理統計のプロセスや必要な知識といった導入部分は非常に優れた丁寧な記述の一方、具体的な心理統計の記述はやや簡素な印象を受けます。

このため、「心理統計学の基礎(有斐閣アルマ) 有斐閣」の導入部分でつまづいた方は、「調査法講義 朝倉書店」を補助的に併用してスムーズに理解を深めるといった使い方がおすすめできます。

3.「心理検査法入門―正確な診断と評価のために 福村出版」も、非常に丁寧に心理統計と心理検査を解説する参考書としておすすめできます。なお、心理統計・心理検査および臨床心理を対象にした入門書であり、心理統計に特化した「心理統計学の基礎(有斐閣アルマ) 有斐閣」より網羅性では劣ります。

しかし、「心理検査法入門―正確な診断と評価のために 福村出版」は、心理統計を超基本からわかりやすく解説しており、臨床心理学が苦手な方にも使える参考書としておすすめできます。「心理統計学の基礎(有斐閣アルマ) 有斐閣」がきつかった方にも代替策となりますし、家庭裁判所調査官補ならこちらでも妥当な記述量といえます。

4.「本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本 北大路書房」は、数学による解説を極力除外しており、統計学が苦手な方には初歩から極めて分かりやすい入門書です。

このため、「心理統計学の基礎(有斐閣アルマ) 有斐閣」に比べると、心理統計を理解する基礎部分で数学的知識を構築しないという意味では不安が残ります。その一方で、公務員試験における心理統計は、何も学術的に究めることを求められるものでもありません。

公務員試験と同じく、必要な知識という点では、「本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本 北大路書房」は「心理統計学の基礎(有斐閣アルマ) 有斐閣」と並び、臨床心理士指定大学院を目指す方には定番参考書となっています。

このため、この本だけで公務員の過去問すべてをクリア出来るとは思いませんが、「本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本 北大路書房」は、「心理統計学の基礎(有斐閣アルマ) 有斐閣」で理解しきれない部分が出てきた場合、数学ではなく順序立てた解説で理解の補充を行う用途にはおすすめできる参考書といえます。

5.「試験にでる心理学 心理測定・統計編 北大路書房」は、国家総合職をはじめ、あらゆる福祉系・心理系公務員の方におすすめできる参考書です。

こちらは解説自体は非常にコンパクトであるため、他書との併用が必要と思います。とはいえ、公務員試験に特化した高い網羅性の良書で、要点整理だけでも本書は必須のおすすめ教材といえます。

心理統計の参考書は、上記1~5の参考書から、受験生それぞれの理解度や必要性に応じて、1冊に絞っても構いませんし、複数の参考書を併用して取り組むのも良いでしょう。