東京都特別区1類の学習計画(半年~1年/専願・併願とも対応)

今回は、全くの初学者が基本中の基本から本試験まで、東京都特別区1類を第一志望にしつつ、専願、または、他の地方上級(道府県、政令指定都市)、市役所、国家一般職大卒などとの併願のどちらにも対応し、独学で安心して取り組める学習計画を取り上げます。

この学習計画は、本試験まで半年~1年程度の学習期間を想定していますが、1年半を切った時期ならば、いつ始めても構いません。大学3年~4年、既卒者、社会人を対象とした学習計画です。

東京都特別区1類は教養・専門とも択一式であり、東京都特別区1類と地方上級・市役所(専門あり)・国一との併願はもちろん、専門試験が課されない市役所や国立大学法人との併願にも対応しています。

なお、東京都特別区1類では、教養試験(基礎能力試験)の知識分野(一般知識)と専門試験は選択解答制です。また、教養試験では知能分野(一般知能)の出題比率が非常に大きくなっています。

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数的処理(判断推理、数的推理)

数的処理(判断推理、数的推理)は、教養試験(基礎能力試験)における出題比率が最低でも3割を占める最重要科目です。単純な暗記が通用せず、一定の解法パターンを習得する必要があるため、真っ先に取り組むべき科目です。

数的処理のメイン教材には、「新スーパー過去問ゼミ5 判断推理」「新スーパー過去問ゼミ5 数的推理」をおすすめします。要点整理と過去問演習が一体となった過去問集であり、初学者が全くの基本から本試験まで一貫して使える良書です。

「スー過去」は、1回目は要点整理をよく読んで、必修問題に取り組みましょう。2回目以降は、必修問題と過去問演習を解き進めます。過去問部分は特別区や地上の問題を中心に、なるべく多くの問題に幅広く取り組みます。国総の問題は飛ばしても構いません。

必修問題や*1つの問題は必ず自力で解けるようにすべきです。それ以外の問題は、2回も3回も解説を読んでも分からない問題は飛ばしても構いませんが、解説を読んで理解できる問題は、本試験までに少しでも多くの問題を自力で解けるようにすべきです。

社会科学

東京都特別区は社会科学のウェイトが少ないものの、学習経験が無い方は、真っ先に取り組んでおくと、専門科目の基礎固めにつながります。また、社会科学は文系の受験生を中心に、取りこぼす受験生が少ない分野であり、先に攻略しておくべき分野といえます。

社会科学のメイン教材には、「公務員試験過去問新クイックマスター 社会科学」をおすすめします。

「クイマス」は要点整理と過去問が一体となった過去問集としては、解説が詳しめで標準的な問題を重視しています。これは、高校の教科書~センター試験レベルの問題が中心の知識分野(一般知識)には最適な良書といえます。

クイマスの場合も、1回目は要点整理と必修問題に取り組み、ここまでは必ず自力で解けるようにすべきです。

過去問演習は基本レベル・応用レベルどちらの問題も、東京都特別区が第一志望の方は、特別区の頻出度が星3つの問題に絞っても構いません。また、各章の冒頭の一覧表を参考に、特別区での出題が無い項目(セクション)をまるごと省いても構いません。

また、過去問演習の部分は、2回も3回も解説を読んでも分からない問題は省いて構いませんが、解説を読んで理解できる問題は自力で解けることを目指しましょう。

このように、社会科学は真っ先に学習することが望ましい分野ですが、特別区が第一志望なら、最低限の内容に絞った節約学習で良いと思います。その代わり、特別区では、後述どおり、時事対策には本格的に取り組みましょう。

東京都特別区の専門試験(最重要科目)

東京都特別区1類の専門試験は、55問中(11分野・各5問)40問の選択解答制です。出題される11分野は、以下のとおりです。

※憲法、行政法、民法1(総則・物権)、民法2(債権・親族・相続)、マクロ経済学、ミクロ経済学、財政学、経営学、政治学、行政学、社会学

上記の通り、東京都特別区では、民法と経済学(経済原論、経済理論)は2分野に分けて出題されます。その一方、地上・市役所で課される刑法、労働法、経済政策、経済事情、経済史、社会政策、国際関係が出ていません。

特別区が第一志望の場合、やはり憲法、行政法、民法、経済学(マクロ経済学、ミクロ経済学)は、数的処理や社会科学と同様、試験勉強の初めから取り組むべき最重要科目です。これらは単純な暗記が通用せず、ある程度まとまった理解が必要な科目です。

専門科目の過去問集も、過去問の無駄な重複が少なく、収録問題の精度が高い「新スーパー過去問ゼミ5」シリーズをおすすめします。

過去問集は、数的処理と同じ進め方で、要点整理から必修問題・*1つの問題は必ず自力で解けることを目指し、*2つの問題も出来る限り出来る問題を増やします。その一方、専門の最重要科目においては、各科目の全体像を把握するため、入門書の併用をおすすめします。

憲法、民法、行政法の入門書には、「まるごと講義生中継」がおすすめです。大手予備校TACの授業を再現し、教室の臨場感さながらに活き活きとした文体で、初学者にも非常に分かりやすく、何度も読みやすい良書です。

ただし、民法の「まるごと講義生中継」は、家族法(親族、相続)が含まれていません。民法に限っては、特別区の民法2(債権・親族・相続)もしっかり学習するつもりなら、「公務員Vテキスト 民法 TAC」(上・下の2分冊)に替えることもおすすめできます。

「Vテキスト」は「まるごと講義生中継」に比べて丁寧さには欠けるものの、ページ数が少なく、簡潔な記述で手っ取り早く重要事項をインプットしたい方には最適だと思います。

経済学の入門書としては、「最初でつまずかない経済学」(マクロ編/ミクロ編の2分冊)、「らくらく経済学入門 週刊住宅新聞社」(マクロ、ミクロ、計算問題編、記述・論文編の4分冊)、「速習!経済学 石川秀樹」(速習!マクロ経済学、速習!ミクロ経済学、基礎力トレーニング(マクロ&ミクロ)の3分冊)の各シリーズから1つ選んで読み込んでおくことをおすすめします。

3シリーズを比較すると、「つまずかない」が最も基礎を重視、「らくらく」は入門書の定番、最も網羅性が高いのは「速習」ということがいえます。特別区が第一志望なら、どのシリーズでも適切ですし、迷うこと無く、例えば本の値段で選んでも構いません。

どの入門書も、経済学の初学者が基本から本試験に備える知識のインプットに最適です。3シリーズのどれを使う場合でも、公務員試験にはマクロ、ミクロの2冊で十分です。

専門試験は択一式試験なら、過去問集(スー過去)だけで十分対応できます。その一方、初めて学ぶ科目なら、入門書を併用して何度も繰り返し読み込んでおくことで、各科目の概要を掴み、過去問集が進めやすくなります。

専門科目(重要科目)

数的処理、社会科学、専門の最重要科目をクリアしたら、財政学、経営学、政治学、行政学、社会学に着手します。このなかでは、財政学、経営学、政治学→行政学、社会学(→併願なら併願先の科目)という流れで良いと思います。

財政学、経営学は、特別区以外の試験で最重要科目の次に出題数が多い科目であり、併願の受験生を中心に、取りこぼすことが少ない科目です。政治学は、先にやっておくと他の行政科目の理解が進めやすい科目です。

行政学、社会学は、財政学、経営学、政治学と並行して学習しても構いませんし、先の3科目のあとでも構いません。行政科目は暗記的な要素が強く、早期からの着手にこだわる必要はありませんが、まとまった時間をとって集中的に攻略したほうが良い科目です。

これら財政学、経営学、政治学、行政学、社会学についても、メイン教材には「新スーパー過去問ゼミ5」シリーズをおすすめします。網羅性が高く、択一対策なら本書だけで初歩から本試験まで備えることができます。

なお、行政科目(政治学、行政学、社会学、社会政策、国際関係)については、入門書として「行政5科目まるごとパスワード neo」の併用をおすすめします。受験生の間で幅広く使われている人気の高い参考書です。

「まるごとパスワード」は、暗記科目である行政科目から頻出事項を抽出したコンパクトな参考書です。過去問集をメインにしつつ、本書を繰り返しチェックすることで、記憶すべき重要事項をしっかり定着させることができます。

財政学や経営学は、択一対策ならスー過去だけで十分です。行政科目もスー過去だけで良いのですが、暗記が苦手な方は「まるごとパスワード」を使う価値があると思います。もちろん、特別区専願なら、不要な科目は飛ばして使います。

文章理解

東京都特別区1類の文章理解は、教養試験40問中8問出るとても重要な科目です。古文は出ないため学習する必要がなく、現代文5問、英文3問出ています。

文章理解はまず、「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」から現代文と英文の必修問題を何問かづつ解いてみましょう。

ここで、英文が速読できない、あるいは、分からない英単語がいくつもあると感じた方は、「速読速聴・英単語 Core 1900」をおすすめします。大学受験で使った経験があれば、「速読英単語(2)上級編」に替えても良いでしょう。

これらの参考書は、比較的長めの英文を豊富に掲載し、英文の速読を練習するなかで単語力を向上させることができる良書です。スキマ時間を活用し、何度もこまめにチェックしていきましょう。

文章理解自体は、暗記すべき事柄がほとんど無く、いきなり過去問集から初めて問題を解く中で慣れていけば良い科目です。メイン教材には「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」をおすすめします。

文章理解のスー過去は、現代文と英文を1日1~2問づつ、毎日コツコツと解き続ければ十分です。1日あたりの学習時間は少なくても良く、早期から始める必要は無いものの、着手したら本試験まで、勉強しない日を作らず、問題を解く勘を鈍らせないことが重要です。

スー過去をやりきったら、「公務員試験過去問新クイックマスター 文章理解」または「東京都・特別区1類 教養・専門試験 過去問500」に入っても構いません。「習うより慣れろ」の感覚で、継続的な問題演習が重要な科目といえます。

資料解釈

資料解釈は東京都特別区1類なら4問も出る重要科目です。とはいえ、問題演習を続ければ比較的容易に点が取りやすく、学習の負担は軽い科目といえます。資料解釈も暗記的要素は皆無に近く、いきなり過去問集から始めて良い科目です。

資料解釈の過去問集には、やはり「新スーパー過去問ゼミ5 文章理解・資料解釈」をおすすめします。文章理解と同じ時期に同じ要領でこなせば十分です。

資料解釈もスー過去をこなしきったら、「公務員試験過去問新クイックマスター 数的推理・資料解釈」または「東京都・特別区1類 教養・専門試験 過去問500」に入っても構いません。

資料解釈は学習の負担が小さい科目ですし、本試験まで毎日コツコツと1~2問づつ解き続ければ得点が取れる科目です。文章理解と同様に、勉強しない日を作って問題を解く勘を鈍らせてはいけません。

時事対策

東京都特別区1類では、時事対策は極めて重要です。教養試験で「社会事情」として4問出ていますし、論文試験や面接試験でも時事的なテーマが問われます。

公務員試験の時事対策といえば、なんといっても「公務員試験 速攻の時事 実務教育出版」がおすすめです。多くの受験生が使ってきた実績のある良書であり、政治、経済、財政、国際、厚生、労働、文部科学、環境、司法警察、社会問題を幅広くカバーしています。

「速攻の時事」は、公務員試験の時事対策に特化した参考書としては最も優れており、とても人気の高い参考書といえます。なお、この本には「公務員試験 速攻の時事 実戦トレーニング編」という併用教材も出ています。

トレーニング編は、収録問題に難易度のブレがあるため、問題の出来不出来は気にせず、出題可能性が高い時事事項を知る貴重な参考材料としておすすめです。また、重要な時事用語を約400語、スマートに解説しており、サッとチェックできる時事用語集としてもおすすめです。

その一方、公務員試験にしか出ないような時事対策には、「直前対策ブック 実務教育出版」がおすすめです。こちらは、法改正・新法&重要判例、白書・審議会の答申など、各種統計・データといった、公務員試験特有の時事対策に学習効果を発揮してくれる良書です。

時事対策を始めるのに「いつから」ということはありません。試験勉強を通じて、気づいたときに参考書を何度も読み込んだり、スキマ時間を活用してサッとチェックを行い、さまざまな分野の知識を総合的にインプットしていきましょう。

人文科学、社会科学

東京都特別区1類の知識分野20問は、人文科学4問(倫理・哲学、歴史及び地理)、社会科学4問(法律、政治及び経済)、自然科学8問(物理、化学、生物及び地学)、社会事情4問と告知されています。

特に自然科学は8問と多いものの、20問中12問選択解答ということを考慮すれば、自然科学を選ばずに解答することも出来ます。その一方、初めから科目を絞り込んで学習するのは、年度によって科目別の難易度が異なる可能性を考えると、リスクが高すぎます。

このため、特定の科目に深入りしすぎず、どの科目も頻出事項に絞ってまんべんなく取り組み、試験本番で問題を見て幅広い科目から「出来る問題」を選べる余地を残したほうが賢明といえます。

そもそも東京都特別区の場合、教養試験は解答数ベースで知能:知識=28問:12問です。知識分野は深く突き詰めず、最低限の学習で頻出事項を広く浅く学習すべきですし、早期から取り組む必要もありません。

人文科学は日本史、世界史、地理、思想(倫理)が1問づつです。メイン教材には「公務員試験過去問新クイックマスター 人文科学」(2分冊)をおすすめします。社会科学で説明したのと同じ要領で、思い切って項目や問題を絞り込んだ学習で良いと思います。

自然科学は物理、化学、生物、地学が2問づつです。高校の教科書レベルの非常に単純な基本問題も多く、「だからカコモンで克服 自然科学」をおすすめします。過去問集としては解説がやさしめで、定型的な典型問題を重視した良書です。

「カコモン」を使う場合、1回目は要点整理と典型問題に取り組み、ここまでは必ず自力で出来るようにします。2回目以降は典型問題と過去問演習を繰り返します。国総の問題は飛ばしても構いません。

これ以外の問題は、特別区の「重要度」が最も高い問題に絞っても構いません。また、各章の冒頭にテーマ別の出題頻度の一覧があります。「特別区1類」で○~◎のテーマだけに絞り込んで取り組んでも良いでしょう。

人文科学、自然科学は、数的処理、社会科学、専門試験の重要科目までクリアしたあとで着手しても構いません。頻出問題や頻出項目で絞り込み、最低限の学習を集中的に行い、特に記憶すべき事柄はしっかり暗記しておきましょう。

併願科目の対策

特別区1類と他の公務員試験(地上、市役所、国立大学法人、国家一般職大卒など)を併願する場合、いくつかの科目の対策を追加する必要があります。

地上、市役所との併願なら、専門試験で刑法、労働法、経済政策、経済事情、経済史、社会政策、国際関係の学習を加えるべきです。このうち、国家一般職との併願だけなら、国際関係だけ加えれば十分です。

このうち経済系科目(経済政策、経済事情、経済史)や社会政策は、市販の過去問集がありません。経済系科目は経済学・財政学や時事対策の知識で対応出来ますし、社会政策は政治学や行政学などの説明で取り上げた「行政5科目まるごとパスワード neo」がインプット教材としておすすめできます。

過去問集が無い科目は、科目別の過去問演習書「過去問500」や、本試験を年度別に復元した本試験問題集「本試験過去問題集 公務員試験 TAC」から併願先のものを選んで、どんな項目からどんな問われ方で問題が出ているのかを必ず確かめておきましょう。

国際関係、刑法、労働法は、択一対策は「新スーパー過去問ゼミ5」シリーズだけでこなすことが出来ます。

スー過去を使う科目は、数的処理で説明した通り、要点整理と必修問題・*1つの問題は必ず自力で解けるようにします。他の問題は、併願先が地上か国一なら幅広く取り組み、市役所との併願なら*2つの問題に取り組みます。

刑法、労働法は地上・市役所とも出題数が少ないマイナー科目です。学習時間に限りのある方は、各テーマの見出しに試験ごとの頻出度があるため、併願先に応じて地上または市役所の頻出度が高い項目に絞って取り組んでも構いません。

特別区との併願先がある方は、国際関係、社会政策、経済系科目は手堅く取り組み、刑法、労働法は最低限の学習でも良いでしょう。これらは、どの自治体でも出題数が多い科目ではなく、特別区の出題科目をクリアした後に着手して良い科目ばかりです。

もちろん、併願先で出題科目になっていない科目を学習する必要はありません。また、時間的な余裕が無い方は、学習すべき量が多い割に出題数が少ない刑法について、学習しないということを検討しても良いと思います。

東京都特別区1類の論文対策

東京都特別区の論文試験は毎年2つの課題が出て1つを選択解答する形式です。どの課題文も2つの段落に分かれ、前段で現状はこうなっているが、後段でそれを踏まえて特別区の職員として受験者の考えを論じなさいという形式です。

どの課題を取っても、高度で難解なテーマがでているわけではなく、1,000字以上1,500字程度という文字数はやや長めですが、地方上級と比べると標準的な難易度で、年度によって大きなブレが無い論文試験といえます。

東京都特別区の論文試験では、問題文に沿って現状分析と課題を抽出し、現状がどうなっているのかという点と、問題文で問われている課題に関して現状を踏まえた問題点を提示し、特別区の職員としてその課題にどう取り組む、という論述が出来れば十分です。

こうした論文の基本的なルール・心構えや、合格に結びつく論文の組み立て方・書き方については、「1週間で書ける!! 公務員合格作文」をおすすめします。

本書は第1編で、論文の最低限のルールや、望ましい分量や接続詞の使い方、ワンセンテンス・ワンテーマなど、どこが重視されるのかを形式面から解説しています。

第2編では、課題の全体像をつかんで定義をはっきりさせ、問題点から背景を探り当て、その問題点と自己主張を結びつけることで結論に導く書き方を解説しています。また、全く知らない問題が出たときはどうするかなど、内容面から強力な論文の組み立て方・書き方を習得することができます。

第3編は実際の出題例をもとに20のテーマを取り上げた論点集です。各テーマでは、問題文の下にキーワードが列挙され、まずは各自で第2編までに学習したことをもとに、答案練習を行うことができます。

その後、「解説」と、解説を図表で表した「答案構成」があります。これは問題ごとの答案構想例であり、各自が書いてみた答案と比較・検討することができます。最後に、「解答例」があります。

「解答例」は100点満点のものではなく、受験生でも到達可能な、現実的な合格ラインの一例です。これと「解説・答案構成」を結びつけて検証し、自分が書いた答案と比較して、自分が足りなかった点を確認し、あるいは、自分のほうが良かった点も検討できると思います。

1週間で書ける!! 公務員合格作文」は、基本的な論文のルールや合格答案が書ける書き方を理解し、頻出論点のテーマ別対策にも使える良書としておすすめです。時間的な余裕が無い方には、本書だけでも最低限の学習は十分だと思います。

ただし、「1週間」は、直近の過去問研究や本格的なテーマ別対策には、やや不足だと思います。タイムリーな課題が多く、やや長めの論述が要求される特別区を受けるのなら、「公務員 論文試験の秘伝」の追加をおすすめします。

本書は直近数年間の全国の自治体の過去問を豊富に掲載し、テーマ別にとても詳しい論点対策ができる参考書です。市役所が第一志望なら「1週間」だけで良いのですが、特別区や地方上級が第一志望なら、これに「秘伝」を加えるべきだと思います。

「秘伝」は、25のテーマごとに、過去問や類題を提示→出題意図・キーワードを解説→対話形式による基礎知識と論文作成のポイント→実際の答案例と講評を詳しく掲載しています。本書は、テーマごとの派生問題も網羅しているのが強みといえます。

なお、「秘伝」は一般的な論文のルールや書き方といった部分が手薄ですので、こうした基礎固めには「1週間」をおすすめします。そのうえで、「秘伝」を使って、論点ごとに単純な問題だけでなく、さまざまなバリエーションの問題にもしっかり備えましょう。

もちろん、論点集に「秘伝」を使うつもりなら、「1週間」の第3編は飛ばしていっても構いません。「公務員 論文試験の秘伝」は特別区や地方上級など、多彩な出題が予想される論文試験のテーマ別対策・過去問研究に最適な参考書といえます。

これら「1週間」「秘伝」をクリアするのは、なるべく早いほうが良いと思います。あとになって論文対策で予想以上に慌てるということが無いようにしたいものです。これをやっておくと、答案練習や添削指導を余裕を持って臨むことができます。

答案練習は早期でなくても構いませんが、大手の予備校を利用する以外にも、大学の学内講座・キャリアセンターを利用する、知り合いの方にお願いするなど、各自で必ず添削指導を受ける機会を確保することをおすすめします。

東京都特別区1類の面接対策

東京都特別区1類の面接試験は、2次試験で実施されるものと、採用試験の最終合格者を対象に各区で実施されるものがあります。受験生の間では、2次面接のことは「人事院面接」、各区ごとの面接は「区面接」と呼ばれています。

ちなみに、実際には東京都特別区の「人事院」というものは存在しません。東京都特別区の職員採用試験は、23区の事務の一部を共同で行う特別区人事・厚生事務組合に置かれた特別区人事委員会が実施します。ここが面接試験を行うため、便宜上、「人事院面接」と呼ばれています。

人事院面接は2次試験において、個別面接の形式で実施されます。特に志望動機は、なぜ他の自治体では無かったのか、どうして特別区なのかは多くの方が聞かれます。さらに希望の区に行けない時はどうするか?といった突っ込みもあります。

その一方、区面接とは、各区が本当にそのひとを採用するかどうかを決める採用面接です。東京都特別区1類の最終合格者は、成績順や志望度に応じて各区から連絡が来ます。その指示にしたがって、採用面接を受け、それをクリアすれば最終的に採用が決まります。

区面接で残念だった方は、東京都特別区1類の採用試験合格者名簿に逆戻りです。ここで他の区からの連絡待ちということになります。毎年必ず一定数の採用漏れの方がおられますので、油断せず区面接にもしっかり備えましょう。

区面接でも面接カードの記入が求められる場合が一般的です。また、この場合の面接カードは区ごとに内容が異なります。さらに、区面接は個別面接とは限らず、集団面接、集団討論、プレゼンテーションを行う区もあります。

東京都特別区は、人事院面接も区面接もとても厳しいことで知られています。面接対策の参考書として「公務員試験 現職人事が書いた面接試験・官庁訪問の本」をおすすめします。

本書は、特別区でもよく見られる圧迫面接やコンピテンシー面接の実態と対処法が詳しい参考書です。面接官つまり採用する側がどこを見ているのかを詳細に取り上げ、採用側が臨むものに適した回答が考えられるようになる良書です。

その一方、公務員試験では面接カードを書くことはほぼ必須となっていますし、書いたことは必ず聞かれます。また、想定外の質問が多いのも特別区の面接試験です。こうした「自分自身の対応能力」に備えるために、「面接・官庁訪問の秘伝」をおすすめします。

「秘伝」のほうは、面接カードの書き方や想定問答にとどまらず、あらゆる質問に即応できるだけの自分のコアな部分を作るアプローチを丁寧に解説しています。自己分析を通じて、典型的な質問でも予想外の質問でも対処できるようにする優れた参考書です。

面接対策には2冊の参考書を併せて読むことをおすすめします。両書とも面接試験の実際の流れや心構え・準備するもの・マナーに関する記述もしっかりしています。また、特別区や地上・市役所を受験する方は、地方公務員は官庁訪問が無いため、官庁訪問に関する部分は飛ばして読みましょう。

面接対策を始めるのに「いつ」ということはありません。特に参考書は、試験勉強の早期から、筆記試験の勉強の合間にも読み込んでおきましょう。先に面接試験の実態や対策を理解しておくことで、模擬面接も余裕を持って受けられます。

模擬面接は早いうちから受ける必要はありません。参考書を読み込んだあとで良いので、大手の受験予備校の利用でなくても、大学の学内講座・キャリアセンター、ハローワークなど、各自で模擬面接の機会を必ず確保しましょう。

東京都特別区1類の模試

特別区1類が第一志望の場合、LECでは、年末から年明けに実施されるトライアル模試(全2回)、3月に実施される東京特別区I類択一記述公開模試がおすすめです。

また、特別区と他の地上・市役所・国一を併願するなら、地上・国家一般職<行政系>スペシャル模試パック(全7回)と東京特別区I類択一記述公開模試がおすすめです。このほか、TACの公務員公開模試やクレアールの模試もおすすめできます。

これらの模試はパックはもちろん、各回ごとに申し込むことも出来ます。受験前年の年末から年明け~直前期に実施されており、早ければ重要科目をクリアしたらいつ受験しても良いと思います。

公務員模試は、試験本番の予行練習として実際に制限時間のなかで、どれだけ総合的に得点できるかを測る貴重な機会です。同じ自治体志望者どうしの成績順位や合格可能性も計測されますし、弱点分野を発見して補強に活かすこともできます。

過去問演習書/本試験問題集

東京都特別区1類が第一志望なら、過去問演習書として「東京都・特別区1類 教養・専門試験 過去問500」をおすすめします。科目別の学習をクリアした段階で着手して演習量を積み重ね、試験を控えた時期に総合的な実力の底上げを行います。

また、「本試験過去問題集 特別区1類 (事務)  TAC」は、特別区の直近の試験問題を年度別に復元した本試験問題集です。問題は年度別に取り外し可能な冊子となっており、模試代わりに時間を測る予行演習に使うことも出来ます。

過去問演習書や本試験問題集は、科目ごとの学習のめどが一通りついた時点で投入し、本試験を控えた時期になるべく多くの科目を一度にこなすことで、自分の実力をトータルで高めていく学習に最適な教材としておすすめです。

特別区と国一を併願する場合

国家一般職大卒を併願先に含む場合、知能分野(一般知能)は東京都特別区も国一も、基礎能力試験(教養試験)に占める出題比率が高い、数的処理・文章理解とも重要だが古文は0問で学習する必要が無い、資料解釈も3~4問出るためしっかり学習する、という同様の対策で対応できます。

一方、知識分野(一般知識)は知能分野に比べ、東京都特別区も出題比率が低いのですが、国家一般職大卒はさらに低く、各科目が1問づつしか出ません。国一は人文科学は日本史・世界史・地理、自然科学は生物・化学・物理しか出ません。

その一方、国一は時事が3問、東京都特別区も時事問題が社会事情という科目として4問出るため、どちらも時事対策はしっかり行うべきです。

このように教養試験(基礎能力試験)対策は、特別区と国一のどちらを第一志望にする場合でも、知能と時事対策を重視して知識は集中的な効率学習で対応するという、今まで説明してきた学習で十分対応できます。

その一方、国一との併願は、地方上級と併願する場合と同様の学習で対応できます。過去問集の志望先を「地上」から「国一」に置き換えて対処すれば十分です。

基本的には地上との併願と同様に、まずは憲法、民法、行政法、経済学と数的処理、社会科学を先行させ、他の科目も今回の記事で説明してきた通りの要領で順次取り組めば十分です。

なお、国一の専門試験は、民法や経済学が2科目に分かれて出る、社会政策、刑法、労働法、経済史、経済政策が出ない、経済事情が出る、という特徴があります。

このため、国一を受験する方は、過去問演習書や本試験問題集に取り組む段階で、「国家一般職大卒専門試験 過去問500」や「本試験過去問題集 国家一般職 大卒程度・行政 TAC」に一通り取り組むことをおすすめします。特に経済事情など、過去問集が無い科目はしっかりチェックしましょう。

東京都特別区1類の学習計画(半年~1年/専願・併願とも対応)

東京都特別区1類を第一志望にするなら、数的処理、専門試験の最重要科目、社会科学に真っ先に着手すべきです。文章理解の単語集、時事対策、論文や面接の参考書もスキマ時間を活用して早期から取り組みます。

数的処理、最重要科目、社会科学をクリアしたら、専門試験の重要科目、人文科学、自然科学に着手します。知識分野(社会科学→人文科学・自然科学)は、特別区が第一志望なら取り組むべき問題や項目を絞り込みます。

特別区以外に併願先のある方は、その他の専門科目も着手しますが、それはここまでの科目をこなしたあとで構いません。また、併願先が第一志望なら、社会科学や人文科学は項目を絞らず、しっかりこなします。

文章理解や資料解釈の過去問集は早期から取り組む必要は無いものの、特別区ならどちらもしっかり取り組むべき重要科目です。時事対策も特別区なら、あらゆる参考書に取り組み、万全の対策を行います。

各科目の学習を一通り終えたら、模試や過去問演習書/本試験問題集を活用し、本試験に備えます。論文や面接は、添削指導や模擬面接の機会を確保しましょう。

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